POD HD500X:デモ演奏・新製品レビュー
- 2013-08-22 (木)
POD HD500が更に進化
Line 6のギター・マルチエフェクト・プロセッサーPOD HD500。
ベストセラーを記録するこの機種が更にパワーアップし、新モデル『POD HD500X』として発表されました。
Line 6 Japan様のご好意で、発売前のこの新機種をいち早く使わせていただける機会を得ました。
その際に収録したデモ演奏を公開しましたので、まずはこちらをご覧ください!
Line 6製モデリング・ギター『JTV-69』と組み合わせて、このコンビならではの特徴的な音色と機能を活用しました。
この動画でのセッティングの詳細や演奏内容については、今後改めて書きたいと考えています。
今回の記事ではまず、このPODの魅力を紹介します。
HD500Xの魅力
新モデルHD500『X』は基本的に前モデル『HD500』の仕様をそのまま受け継いでいます。
つまり前モデルの魅力は全てそのまま残っており、その上で更にグレードアップしているわけです。
私はHD500を発売当初から愛用しています。様々なライブやレコーディング、ほとんどの場面でこの機材をマルチエフェクター / アンプ・シミュレーター / ルーパーとして活用してきました。
近年の私のギタリスト生活は、常にHD500と共にあったといえます。
愛用の主な理由:(クリックするとスクロールします)
- アンプ・シミュレーター / マルチ・エフェクターとして、実機と比べても遜色ない高音質
- ルーティングの自由度が高く、様々な設定を手軽に試せる
- アンプやエフェクトの全パラメーター、更には同社のギター“Variax”の設定も操作可能
それでは上記3つの理由について簡単に説明しましょう。
1.実機と比べても遜色ない高音質のモデリング
まずアンプ・モデリングの音質が素晴らしい。
厳選されたギター・アンプ群をモデルに、それぞれの個性を活かしつつ更に幅広い音作りが出来るようになっています。
そして100種以上用意されたエフェクトも、クオリティの高いものばかりです。
- アンプ・リスト
- Bogner® Uberschall
- Divided by 13 JRT 9/15
- Dr. Z® Route 66
- ENGL® Fireball 100
- Fender® Bassman®
- Fender® Blackface Deluxe Reverb®
- Fender® Twin Reverb®
- Gibson® EH-185
- Hiwatt® Custom 100 (DR103)
- Line 6 Doom
- Line 6 Epic
- Line 6 Elektrik
- Marshall® JCM-800 (2204)
- Marshall® JTM-45 MkII
- Marshall® “Plexi” 1959 Super Lead
- Mesa/Boogie® Dual Rectifier®
- Park 75
- Soldano® SLO100
- Supro® S6616
- Vox® AC-15
- Vox® AC-30 (Top Boost)
- Ampeg® B-15NF Portaflex®
2.ルーティングの自由度の高さ
マルチ・エフェクターには大抵特有のルールというか制限があり、そこに不満を感じる方も多いでしょう。
それは「エフェクトがカテゴリー毎に1種類しか選べない」という仕様です。
エフェクターの一般的なカテゴリー:
- コンプレッサー等のダイナミクス系
- EQ / フィルター等のトーン補正系
- オーバードライブ / ディストーション / ファズ等の歪み系
- コーラス / フェイザー / トレモロ等のモジュレーション系
- ディレイ
- リヴァーブ
このような仕様は一般的かと思います。
しかし実際には「オーバードライブとディストーション」「テープ・エコーとリヴァース・ディレイ」「コーラスとトレモロ」等々、同カテゴリーのエフェクトを同時に使いたくなる場面は多々あります。
POD HD500ではエフェクトのカテゴリーに関わらず、最大8個のエフェクトを自由に選んで同時使用出来るようになっています。
つなぐ順番も簡単に入れ換え可能です。ワウ・ペダルをディストーションの前に置くか後に置くか、そんな音色の違いをすぐに比べる事が出来ます。
更に、音を2系統に分けてそれぞれに個別のエフェクト / アンプを設定するデュアル・シグナル・パスも使えます。
「全く違う音色をブレンドして新しいトーンを作る」という、実験好きのギタリストには特に嬉しい機能です。
DSPの向上で更にパワーアップ
上記のように自由度の高いセッティングが出来る仕様のHD500ですが、実際には処理能力の制限があります。
「負荷の高いエフェクトばかりを選んでいくと処理能力の上限に達してしまい、8個以下のエフェクトしか使えない」という事態があったのです。
(どのエフェクト / アンプが高負荷なのかは公式データが無く不明です。)
この「見えない制限」はハードウェア的な限界だったわけですが、新モデルではここが改善されました。
『X』ではDSPをパワーアップした事で、処理能力を大幅に向上しています。
スペック通りの機能を最大限に発揮出来るようになった、というわけですね。
3.セッティングもフレキシブル
どのフットスイッチでどのエフェクトをON/OFFするかを、自分好みに指定可能です。
1つのフットスイッチに複数のエフェクトを割り当てる事も出来ますから、「ディストーションとフランジャーとディレイをオフにすると同時にコンプとコーラスをオンにする」という操作もワンアクションで可能です。
本体右端のエクスプレッション・ペダルにもあらゆるパラメーターをアサイン出来ます。ボリュームやワウとしてのみならず、例えば「アンプのゲインを下げつつトレブルとプレゼンスを上げる」なんて事もこのペダルだけで同時に操作出来たりします。
そうして自由にルーティングした自分だけのパッチは、512個まで本体に保存出来ます。
James Tyler Variaxとの連携
同社Line 6製モデリング・ギター『James Tyler Variax』(以下JTV)と組み合わせた際には、その可能性が更に広がります。
JTVはヴィンテージ・エレクトリック・ギターやアコースティック・ギター、そしてシタール等も含めた数多い音色を再現するギターで、各弦毎にピッチを変更する事も可能という優れものです。
JTVとHD500Xを専用のケーブル『VDI (Variax Digital Interface)』で接続すれば、パッチ毎にギターの種類やチューニングの設定を保存出来ます。
つまりギターを持ち替える事なく、「レスポールからストラトの音色へ」「ドロップDから全弦1音半下げチューニングへ」「アンプのモデリングをボグナーからメサブギーへ」等々といった変更を、フットスイッチを一度踏むだけで切り替える事が出来ます。
この、PODとJTVとの連携機能は他に類を見ない程に個性的で、しかも非常に実用的なものです。
今回の動画では、「PODのツマミを回してJTVの6弦のピッチを5度下げる」設定シーンを一瞬入れてみました。
HD500Xの特徴
視認性の向上
『X』は外観もパワーアップしています。
フットスイッチにLEDリングを装備した事で、今まで以上に見やすくなりました。
またディスプレイも見やすく改善され、操作しやすくなったように感じます。
その他の特徴
- 48秒までの録音が可能なルーパー
- USB 2.0、MIDI、S/PDIF、XLRバランス出力、など豊富な入出力
- 専用エディターを使い、PCで音作りが可能
- スピーカー・キャビネット、マイクのモデリングも選択可能
- シグナル・チェーン内のどこにでもインサートできるステレオFXループ
- インピーダンス可変のギター入力
- フルアサイナブルMIDIコントローラー — フットスイッチとエクスプレッション・ペダルで外部ハードウェア&ソフトウェアをコントロール
- L6 LINK™によりDTシリーズ・アンプやStageSource®シリーズ・スピーカーを連携
- 内蔵クロマティック・チューナー
- タップテンポ・フットスイッチ
- 折曲加工による金属製筐体、クロム製ロールバー、ダイキャスト製エクスプレッション・ペダルを装備するプログレードの構造
とにかく多機能・高品質な逸品です。
もうすぐ発売予定(2013年8月末)です。
ギタリストは是非チェックしてみてください!
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