【4週連続レビュー#4】One Control Purple Plexifier
- 2016-05-27 (金)
プレキシ系「アンプ・イン・ア・ボックス」
今月は4週連続でOne Controlのエフェクターをレビューしています。
Little Copper Chorus、Tiger Lily Tremolo、Lemon Yellow Compressorに続く第4弾。
最後に紹介するのは本日発表された最新作Purple Plexifierです。(機種名は公式ページへのリンクとなっています)
まずは動画をご覧ください!
One Control | Purple Plexifier [Designed by BJF]
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- ミュージックランドKEY
- OKADA International Inc.
- Fujigen
- Caparison Guitars
- TC Electronic
- PURUS Picks
- corgi-corgi
プレキシとは、アクリルを用いて作られる透明な板です。なぜこの言葉が、ことロックギタリストの感性に突き刺さるのでしょうか。
通称“プレキシアンプ”と呼ばれるそのアンプは、1969年頃までに制作された、プレキシグラス(アクリル板)のコントロールパネルを持つ英国製のヴィンテージアンプを指します。世界中のトップギタリストがステージでその威力を発揮し、現在でも多くのギタリストの相棒として、また多くのギタリストが憧れる存在として、プレキシアンプは圧倒的な存在感を放ち続けています。“プレキシサウンド”と言って思い起こさせるサウンドといえば、伝説の名手達が奏でたトーンそのものに他なりません。Purple Plexifierが目指したのはそのトーンです。“ホットロッド”なカスタムが施された、あの華やかなプレキシサウンド。さらには世界中のギタリストが憧れ、今なおそのサウンドの検証が続けられている“ブラウン”サウンド。Purple Plexifierなら、いわゆる“あの音”が手に入ります。
そんなプレキシサウンドを再現する上で、最も重要なことがあります。それは、アンプの歪みであるということ。
フルゲインセッティングであっても、強く弾けば強く歪み、弱く弾けばクリアになる。ギタリストの手元で、その歪みの強さを自在にコントロールでき、細部まで表現を余すこと無く伝える。かと言ってセンシティブに過ぎることなく、プレイヤーが余裕を持って音を楽しむことが出来るものであること。つまり、本物の名ギターアンプと同様のレスポンス、クリーンと歪みのバランスが必要です。アンプそのもののようなバランスとレスポンス。それはPurple Plexifierを設計したBJFの最も得意とするところです。
Purple Plexifierは、多くのプレキシアンプに共通する、スウィートスポットでの美しいトーンをクリーンからフルゲイン、さらにカスタムされ、ハイゲイン化されたプレキシの領域までをカバーします。それを小さな筐体、そしてシンプルな3ノブとトリムポット1つで自在に音色をコントロールします。Purple Plexifierは、ギターそのものの低域を基準として音を作ります。ここをコントロールしないことで、歪み全体の足元を基準とし、そこから音色を簡単に調整できるように設計されています。
Purple Plexifierで音を作り始める時、まずはMidrangeトリムポットがトレブルとミッド周辺の音を調整します。反時計回りに回せばミッドレンジがカットされ、シュレッドなトーンへと変化します。ソリッドでタイトなトーンを維持するため、ミッドをカットしても音が霞んでしまうようなこともありません。そして時計回りに回せばミッドレンジを強調し、暖かなトーンを作ります。
音色の基本的な方向が決まったら、最後にTrebleを調整します。Trebleノブは2kHz辺りのトーンバランスをコントロールします。Midrangeトリムポットでミッドを強く押し出す設定にすると、Trebleノブは音色の微調整程度となります。ミッドをカットすると、Trebleノブの効果がより強くなります。まさに永遠のロックトーン。Purple Plexifierが、ギタリストなら誰もが1度は求める“あのトーン”へのチケットとなります。
Purple Plexifier(PP)は、いつまでも残るロックの音を作る、ブリティッシュなAIAB(アンプ・イン・ア・ボックス)だ。どんな世代でも弾いて楽しむことの出来る音だ。他の歪みデバイスと組み合わせて使えば、その使い方も大きく広がるだろう。私はSRODやLYCと組み合わせ、PPをディストーションボックスとして使っている。
───Bjorn Juhl
解説
それでは動画の詳細について解説します。
使用機材
デモで使用した機材は下記リストの通りです。
- ギター
- FGN EFL-FM (with DeMont PU)
- FGN NST200
- Caparison Horus FX-AM
- アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head
- ベース
- Fujigen NJB200
- Treble
- 12 (時方向)
- Vol
- 12
- Dist
- 12
- Midrange
- Center
- Treble
- 3
- Vol
- 1
- Dist
- 8.5
- Midrange
- Center
- Treble
- 3
- Vol
- 2
- Dist
- 10
- Midrange
- Center
- Treble
- 7
- Vol
- 2
- Dist
- 12
- Midrange
- Center
- Treble
- Min – Max
- Vol
- 12
- Dist
- Min – Max
- Midrange
- Min – Max
- Treble
- 5
- Vol
- 2
- Dist
- 3
- Midrange
- 2
- 【4週連続レビュー#3】One Control Lemon Yellow Compressor
- 【4週連続レビュー#2】One Control Tiger Lily Tremolo
- 【4週連続レビュー#1】One Control Little Copper Chorus
Basic Setting
まずは全てのノブを12時にしました。
太く厚いトーンが飛び出してきます。低域の音圧や中低域の粘りは正にマーシャルのスタックを思わせます。チューブ・アンプで歪ませたような質感を強く感じます。ニュアンスの出しやすさもアンプライクと言えます。
なおPurple Plexifier (以下PP)の側面にはMidrangeトリムポットがあります。この動画では基本的に真ん中の設定で使用しています。
Crunch Setting
Distを絞ったローゲイン設定です。ナチュラルなクランチ・トーンですね。
王道のオーバードライブのようなマイルドさも感じますが、コンプ感が薄くトーンのレンジも広いので、よりアンプの歪みに近い感覚です。
心地良いトーンだったので、ついつい往年の名フレーズを引用してしまいました。
Bluesy Drive
ストラトのブリッジ・ピックアップで弾いてみました。PPをオンにすると一気に太いトーンになります。
シングルコイルのギラついたエッジ感が強調されて迫力があります。豊かな低域のおかげで薄さは全く感じさせません。その反面、アンプによってはネック・ピックアップだと低域がブーミー過ぎて扱いづらいかも知れません。
演奏的にはマーシャル系という事でジミヘンへのオマージュのつもりで弾いたのですが、むしろSRVっぽくなってしまいました。
Fat Drive
Trebleを絞り切った設定です。こもったりする事なく、程良く甘いトーンです。
ここではギターのボリュームへの反応性もテストしています。最初はボリュームが5で、歪みが落ちたクリーン・トーンで指弾き。次に8まで上げてクランチに。そして10まで上げてピックでリードを弾きました。
ギター・ボリュームや指とピックの使い分けで、かなり幅広いトーンが出せます。「アンプ・イン・ア・ボックス」という公式説明は伊達じゃないですね。
Knobs / Midrange Cut & Boost
各ノブの効き具合をテストしました。
TC Electronic Ditto X4 Looperにフレーズを録音し、その後にPPへと繋ぎ、ノブをいじっています。各ノブのうちVolは純粋な音量調整で音質変化が無いように感じたので、ここでは触れていません。
Distのゲイン幅はかなり広いと思います。Trebleの効果は少し独特で、これはBJFらしいパラメーターと言えるかも知れません。
Midrangeトリムポットはトーンの固さをコントロールします。Midrangeがフルだと太くあたたかみを感じるトーンに、そして絞り切るとミッドスクープされたタイトでモダンなトーンになります。Midrangeの設定によってTrebleの効き方が変わります。設定幅は広いので好みのトーンへ追い込めると思います。
Hot Drive
ハイゲインな設定で、所謂ブラウン・サウンド的なトーンを目指してみました。
ギターはCaparison Horus FX-AMで、前出の2モデルより出力が高くモダンなタイプです。
Midrangeトリマーは目盛りがわかりにくいですが、ここでは真ん中より若干右側へ回して中高域をブーストしています。
とにかくご機嫌な歪みですね。あまり弾く機会の無いエディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)的な演奏をしてみましたが、ピッキング・ハーモニクスやタッピング、ハミングバード・ピッキングなど全てがハマるトーンです。ついつい演奏もいつも以上に熱くなってしまいました。
総評
厚みとあたたかさを持つ歪みは正にプレキシ・トーンです。
同ブランドのStrawberry Red Over Driveもナチュラルで太くアンプライクな反応性を持つ歪みペダルですが、このPPも同様の要素を備えています。
クオリティが高く個性もあり、なにより安心感のある心地良い歪みが手軽に得られるのが魅力です。今後定番になる可能性を持ったエフェクターだと思います。
他の歪みペダルやブースターとの組み合わせも楽しめそうです。今回の動画ではPPのみで幅広く音を作れたので紹介しませんでしたが、例えばLittle Green Emphaserを前後に繋ぐとよりモダンでメタリックなトーンに出来たりもします。是非色んなペダルとの組み合わせを試して欲しいです。
PP発表の際にOne Controlから「前作Lemon Yellow Compressorをリリースして、ほぼ全方位のペダルをリリースし、One Control BJFシリーズ1stシーズンはひとまず終了したと考えています。ここからは、より趣味性の高い、私たちがリリースしたいものをどんどん出していきたいと考えています。」というツイートがありました。
これから更に面白くなりそうで実に楽しみです。
というわけで5月は4週連続でOne Controlの動画を紹介しました。
来月も色んな動画を公開予定です。どうぞお楽しみに。