Hotone XTOMP【動画&レビュー】
- 2016-06-21 (火)
遂に発売された話題の万能ペダル
Hotoneの新製品XTOMPをレビューします。
(リンク先は公式ページです)
このXTOMPは2015年1月のNAMMで発表され、話題になったエフェクターです。
Bluetooth搭載で、iOS / Androidアプリと連動して様々なエフェクトを使用出来る機能を持っています。
そして何よりルックスがカッコ良いです。シンプルなデザインと色鮮やかなLEDがインパクトあります。
発表後も開発が続けられ、約1年半かかってようやく発売となりました。
ずっと弾いてみたいと願っていたのですが、運良くHotone本社からデモ動画制作のオファーをいただきまして、一足先に入手する事が出来ました。
現時点で50種以上のエフェクトが使えるという事で、いつもよりたくさんの音色を使って弾いてみました。
それでは渾身の動画を是非ご覧ください!
Hotone XTOMP
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- Fujigen
- Caparison Guitars
- OKADA International Inc.
- PURUS Picks
- corgi-corgi
- Garret Works
解説
それでは動画の詳細について解説します。
XTOMPについては公式ページでかなり詳細に説明されていますので、そちらも参照していただければと思います。
http://www.allaccess.co.jp/hotone/xtomp/
使用機材
デモで使用した機材は下記リストの通りです。
- ギター
- FGN EFL-FM (with DeMont PU)
- FGN NST200
- FGN JIL-AL-R-HH
- Caparison Horus FX-AM
- アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head
- ベース
- FGN NJB200
- Bass
- 2 (時方向)
- Mid
- 2
- Treble
- 3
- Gain
- 1
- Level
- 3
- Volume
- 12
- HP/LP
- LP
- Drive
- 12
- Tone
- 12
- Overdrive
- 9
- Level
- 5
- Tone
- 1
- Vol
- 1
- Gain
- 12.5
- Tone
- 3
- Voice
- 1
- Depth
- 5
- Rate
- 1
- Level
- 5
- Output
- 12
- Threshold
- 3
- Ratio
- 3
- Attack
- 7
- Release
- 1
- Tone
- 11
- Depth
- 5
- Rate
- 11
- T.Rate
- 5
- Pre Delay
- 9
- F.Back
- 3
- T.Depth
- 3
- Lo Oct
- 5
- Hi Oct
- 5
- Dry
- 3
- Mix
- 11
- F.Back
- 12
- Time
- 9.5
- Mix
- 12
- F.Back
- 1
- Time
- 9.5
- Mix
- 1
- F.Back
- 2
- Time
- 9.5
- Mix
- 12
- Time
- 9.5
- F.Back
- 1
- Speed
- 5
- Depth
- 5
- R.Mix
- 3
- Tone
- 12
- Decay
- 5
- D.Mix
- 12
- Time
- 3
- F.Back
- 9.5
- Presence
- 2
- Master Volume
- 5
- Pre-Amp Volume
- 3
- Bass
- 12
- Middle
- 4
- Treble
- 4
- Level
- 2
- Mid Freq
- 2.5
- Dist
- 2
- Low
- 5
- Middle
- 9
- High
- 5
- Depth
- 5
- Rate
- 11
- F.Back
- 2
- Level
- 12
- Pre Delay
- 12
- Overdrive
- 3
- Depth
- 3
- Color
- 12
- Speed
- 5
- Level
- 12
- Overdrive
- 3
- Mix
- 9
- Time
- 12
- F.Back
- 10
- Tone
- 12
- Level
- 3
- Dist
- 12
XTOMPはアプリとセットで使用するペダルです。アプリでエフェクト・モデルを選択する事で様々なエフェクターに変化します。
今回の動画では18種類のエフェクトを使用しました。
私の動画の中で最も視聴されているPOD HD500では16種類を使いましたが、今回はそれを上回りました。
数が多いですが順に紹介していきます。
Governor
Marshall Guv’Norをモデルにしたディストーションです。デジタル・エフェクターの歪みに「冷たく平面的」なイメージを持たれる方も多いと思いますが、XTOMPの歪みはかなりナチュラルだと感じます。自然なあたたかみを動画から感じていただけるのではないでしょうか。
Force
Fulltone OCDをモデルにしたオーバードライブです。輪郭がはっきりとして音圧感も高いです。定番モデルを基にしただけあって安心感があるトーンです。
Green Drive
Ibanez TS-808がモデルのオーバードライブです。マイルドな中域やコンプ感はTSらしさを感じます。それでいて実機よりレンジ感が広く抜けも良い所は現代的と言えます。
ちなみにTS-9を基にしたモデルもあり、そちらは若干ゲインが高く高域が伸びている感じでした。
Zen Garden
Hermida Audio Zendriveがモデルのオーバードライブです。タッチ・レスポンスに定評のあるペダルですのでそれを意識して弾いてみました。かなりニュアンスが出せるので、リードを弾くのが楽しいです。
Aquaria+
Hotoneオリジナル・アルゴリズムのコーラスです。三角波オシレーターによるハードで深くモダンなコーラス効果が得られるとの事です。 深めにかけてみましたが嫌味のない涼しげな音色だと思います。
Squeezer
Hotoneオリジナルのコンプレッサーです。現時点では唯一のダイナミクス系モデルです。パラメーターが充実していて音を作り込める仕様になっています。強めにかけてみましたが、自然に音を持ち上げてくれる感触です。
Trem Jet
Hotoneオリジナル、クラシックなフランジャーにトレモロをプラスしたモデルです。ストロークやアルペジオに表情を付けられるモジュレーションです。
Clean Octa
Hotoneオリジナルのポリフォニック・オクターバー。1オクターブ上/1オクターブ下の音を加えます。アルペジオにも綺麗に追従します。それぞれのバランスを調整可能なので、設定しだいで様々な効果を演出できます。エフェクト音には僅かながらレイテンシーがありますが、原音をカットしなければ違和感はありません。
Pure Eko
ここからはディレイ系を立て続けに弾いていきます。いずれもHotoneオリジナル・モデルです。まず最初はデジタルらしい素直でクリーンなディレイ。
Analog Eko
ヴィンテージ・スタイルのアナログ・ディレイです。エフェクト音がハイカットされてあたたかみを感じます。ちなみにこのモデルはフィードバックを上げると発振します。動画の最後には発振したディレイ音を入れていますので参考にしてみてください。
Mag Eko
ソリッドステートのテープマシンのサウンドをシミュレートしたエコーです。ディレイ音にワウフラッター的な深めのモジュレーションがかかります。
Spaceko
クリーンなディレイ・サウンドにコーラスを加えたモジュレーション・ディレイです。こちらのモジュレーションはきらびやかで広がりを感じます。
Backroom
これはリバース・ディレイとホール・リバーブのコンビネーションです。XTOMPの中で最も幻想的なトーンを出せるエフェクトだと思います。アンビエント系がお好きな方にお薦めです。
XTOMPにはいくつかコンビネーション・エフェクトが用意されていて、このように2種類を掛け合わせた効果を得る事が出来ます。
Marshell 800
今回唯一紹介するアンプ・シミュレーターで、Marshall JCM800のエミュレーションです。動画ではこのモデルのみアンプを使わず、XTOMPからオーディオ・インターフェースへ直接入力して録音しています。ダイナミック・レンジが広く正にアンプ的な歪みです。ちなみにXTOMPはステレオ出力可能ですが、このモデルではR OUTからキャビネット・シミュレーターを使用した音が出力され(今回収録したのはこちら)、L OUTにはキャビネット・シミュレーターがかからない仕様になっています。
Metaland
BOSS MT-2 Metal Zoneのエミュレーションです。わかりやすくメタリックな歪みです。ここではミッド・カット気味の設定ですが、ミッド・ブーストすると質感がかなり変わります。調整幅の広いEQを搭載しています。
Yellow Jet
BOSS OD-1 Over DriveのエミュレーションとHotoneオリジナルのフランジャーのコンビネーションです。オーバードライブはオリジナルよりもゲイン幅が広く、単体でも結構歪みます。フランジャーは強めにかけていますが、エグみが少なめで使いやすいと思います。
Square Drive
前出のBOSS OD-1をモデルにしたオーバードライブと、矩形波のハードなトレモロのコンビネーションです。なかなか派手な効果が得られる、デジタル・マルチらしいエフェクトだと思います。
Mag Dist
最後はBoss DS-1 Distortionをモデルにしたクラシックなディストーションと、前出のテープ・エコーMag Ekoのコンビネーションです。歪みは程良いエッジがあって抜けが良いです。テープ・エコーによる奥行き感もあり、立体的なリード・トーンを演出できます。
総評
とにかくエフェクト数が多いですが、実用的な音色に仕上がっているものが多くて感心しました。
中でも歪みのクオリティはかなり高いと思います。入手する前は外観のイメージから空間系に強いペダルかと思い込んでいて、歪みには特に期待していなかったので尚更でした。
モデルになったエフェクターと完全に同じ音にはならないと思いますが、レンジ感の広さなどオリジナルに比べて使いやすい要素もありますし、何よりしっかり使える音です。
空間系なども勿論使えるクオリティです。これ1台で殆どのエフェクト・カテゴリーをカバー出来てしまいます。
Eventide H9を購入した方から良く聞く事ですが、「何でも出来るので、逆に何に使うか決められない」という悩みが出てくるかも知れません。あと「もう1台欲しくなってしまう」という悩みも同様です…
なおアプリは毎月最終金曜にアップデートされ、エフェクト数も随時追加されるとの事です。今週には早速また増えるわけですね。
各エフェクトはXTOMPに読み込む初回のみ、読み込み時間が1分ほどかかります。一度読み込んだエフェクトは次回から一瞬で切り換えられます。
何故かコンプレッサーのSqueezerは毎回読み込み時間がかかってしまうのですが、この辺は今後アプリまたは本体ファームウェアのアップデートで対応してくれるのではないでしょうか。
アプリに関しては現時点では未成熟といえるかと思います。各エフェクトの読み込みは勿論出来ますが、書き込みは出来ません。つまりノブの位置を保存したりは出来ないので、エフェクトを読み込む度にノブを設定する必要があります。この辺の操作性はアナログ的と言えます。
また、各パラメーターの可変幅は広めになっているように感じますが、そのせいで例えばディレイ・タイムなどのシビアな調整が若干難しいという面もあります。
しかしHotone本社のスタッフに以上の点を伝えた所、データ保存やディレイのタップ・テンポ対応なども開発中との事でしたので、今後諸々改善される可能性は大いにあります。
追記:
2016/11/25のファームウェア・アップデートでタップ・テンポが使えるようになりました。
ルックスは予想以上にかっこ良かったです。Apple製品と並べても違和感のない洗練されたデザインです。筐体の薄さもかなり独特ですが、亜鉛合金製という事もあって薄さの割にずっしりと重量感があり、これが高級感にも繋がっているように思います。
7色に変化するLEDリングも美しいです。動画にも収録しましたが、光による演出はやはり盛り上がりますね。
フット・スイッチは形状と同様に感触も独特で、柔らかいタッチで踏み込めるのが個性的です。
これまでHotoneは超小型のペダルをリーズナブルな価格で多数販売してきたので、XTOMPの価格を若干高く感じる方もいるかも知れませんが、機能やデザインそして今後の発展性を考えれば破格といえるのではないでしょうか。
Hotoneの技術力の結晶といえるような挑戦的な製品です。個人的には1年半待った甲斐がありました。是非お試しください。