【話題のマーシャル再現プリアンプ】Flying Teapot 59 Preamp
- 2016-10-08 (土)
名機の操作感と音色をコンパクトに実現
Flying Teapotの59 Preampをレビューします。(リンク先は公式ページです)
独創的なルックスと仕様、そしてサウンドが話題となり楽器店でも品薄のこのエフェクター。
まだ参考音源が少なく、気になっていた方も多いと思います。
デモ動画を制作しましたので是非ご覧ください。
Flying Teapot | 59 Preamp
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- Fujigen
- OKADA International Inc.
- PURUS Picks
- Garret Works
解説
マーシャルの名機1959を彷彿させるパネル、ノブ、そしてトーレックス張りの筐体は強い存在感を放ちます。
特筆すべきはやはり4つのインプットを搭載している点ですね。
実機の1959と同様に、2つのチャンネルをリンクした音作りが可能です。
外観も仕様もアイデアの勝利といえるインパクトがあります。
それでは動画のデモ演奏について解説します。
使用機材リスト
- ギター
- FGN NST200
- FGN EFL-FM (with DeMont PU)
- アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head
- Input
- Channel Link
- Master
- 3 (時方向)
- Loudness 1
- 5
- Loudness 2
- 5
- Bass
- 12
- Middle
- 12
- Treble
- 12
- Input
- Channel Link
- Master
- 3.5
- Loudness 1
- 3
- Loudness 2
- 5
- Bass
- 3
- Middle
- 1
- Treble
- 9
- Input
- Channel Link
- Master
- 5
- Loudness 1
- 5
- Loudness 2
- 2
- Bass
- 10
- Middle
- 2
- Treble
- 10
- Input
- Channel 1 Only
- Master
- 5
- Loudness 1
- 5
- Loudness 2
- –
- Bass
- 12
- Middle
- 12
- Treble
- 10
- Input
- Channel 2 Only
- Master
- 5
- Loudness 1
- –
- Loudness 2
- 5
- Bass
- 12
- Middle
- 3
- Treble
- 1
- Input
- Channel Link
- Master
- 4
- Loudness 1
- 5
- Loudness 2
- 5
- Bass
- 5
- Middle
- 7
- Treble
- 5
- Input
- Channel Link
- Master
- 5
- Loudness 1
- 5
- Loudness 2
- 5
- Bass
- 5
- Middle
- 5
- Treble
- 5
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本機はアンプのエフェクト・リターンに繋ぐ使い方も可能ですが、今回は通常のインプットへ入力しました。
Basic Setting
まずはメインの使用法といえる、チャンネルリンクで弾いてみました。双方のチャンネル・ボリュームは最大、EQは全てフラットです。
低域の厚み、高域のブライト感、歪みの質など正にマーシャルを感じる音色です。ピッキングへの反応も良く、上質なアンプを語る際に使われる「音が速い」という感触を得られます。
Crunchy Single Coil
ストラトのブリッジ・ピックアップで弾いてみました。トレブリー過ぎないよう、Loudness1をLoudness2より少し下げて重心低めにしています。EQは強い効き方ではありませんが、ギターの欲しい帯域を程良くカット/ブースト出来て使いやすいと思います。シングルコイルと合わせた場合の歪みの強さはこんな感じで、粗めのクランチといった所でしょうか。
Fat Single Coil
今度はストラトのネック・ピックアップを使い、EQを中域にフォーカスした設定で弾きました。まずはギターのボリュームを7に絞っています。歪みを落としたトーンも色気があって実に良いです。ギター・ボリュームへの反応性もかなり高いです。
ボリュームを上げるとシングルコイルのジャキっとしたアタックにジューシーな歪みが絡み、ブルース・ロック的なトーンとなります。
Input 1 [High Treble]
ここで、各チャンネルによる音色の違いを紹介してみます。まずはInput1のみに繋いだ設定です。
Loudness1ノブの上に”High Treble”と記されているように、ブライトな音色です。突き抜けるような高域の伸びは正にマーシャル的。それも所謂「名盤のあの音」というよりは実機を鳴らした時の空気感を再現しているように感じます。
Input 2 [Normal]
今度はInput2のみに繋ぎました。Loudness2ノブの上には”Normal”と書いてありますが、そもそも実機のマーシャル1959はフェンダー・ベースマンを基にしており、ベース向けに低域寄りにフォーカスした音を”Normal”としていたようです。製作者としてはこちら側のチャンネルのみを使う事は想定していないとの事ですが、これも中々良い音していると思います。
ちなみにこの後にChannel Linkのサウンドで弾いていますが、ツマミの設定は最初に紹介したBasic Settingと同じです。チャンネル1のブライトなトーンに、チャンネル2のスタック的な低域の厚みが加わります。
Mid Scoop
BassとTrebleを最大、Middleを最小にしたミッドスクープ・サウンドです。中域をカットするとザクザクしたリフに合う質感になります。モダンなアンプや歪みペダルほどのタイト感ではないですが、比較的ゲイン抑えめのエフェクター単体でここまでの重さと切れを表現出来るのは秀逸だと思います。
Maximum Setting
全てのノブを最大に上げた設定です。このエフェクターの真骨頂といえる音圧を体感出来ます。生々しいアタック感で、アンサンブルの中でも前面に飛び出すような抜けの良さを持っています。
総評
噂に違わぬマーシャル・サウンドでした。
マーシャル、特にプレキシを志向したエフェクターはいくつもありますが、実機の操作感を再現しているという点が突出して個性的です。
ノブを回した際の動作がとてもリアルですし、ピッキングやギター・ボリュームへの反応も含めて実にアンプらしい感触を持っています。
非常にセンシティブである意味演奏のアラも増幅されるので、人によっては弾きづらさを感じる事もあるかも知れません。それくらいにリアルな音色です。
On/Offスイッチが付いていないという潔い仕様です。プリアンプとして常に繋ぎっぱなしで使う前提ですね。
今回動画では試していませんが、他の歪みペダルとの組み合わせも面白そうです。
色んな面で方向性がはっきりしているので好みが分かれそうな製品とはいえます。
ただ、「あのアンプの音」が好きなら間違いないと思います。
余談ですが今回チャンネルリンクに使用した極短パッチケーブル(約2.5cm)はLava Cable TightRope Solder Free Kitを使って製作しました。