L’ Roger & PV動画&レビュー【歪み・ブースター】

  • 2017-09-17 (日)

Leqtiqueと異なる個性/魅力を持った2モデル

Leqtique (レクティーク)の姉妹ブランド「L’」 (エル) の新作2機種「Roger」と「PV」をレビューします。
今回の新作はそれぞれLeqtiqueのRogerとProVoostを、L’のフォーマットで新たにデザインしたペダルです。
Leqtique版では3ノブだったRogerには4つめのコントロールとしてLow-Cutが追加され、2ノブだったProVoostはSoftコントロールが無くなり1ノブになりました。
どちらもノブの数のみならず音色にも違いがあるようです。

今回も公式デモ動画を制作させていただきました。
各モデルの音色を確かめてみてください。

L’ | Roger [Overdrive / Distortion] Designed by Shun Nokina (Leqtique)

L’ | PV [Provoost] Designed by Shun Nokina (Leqtique)

Credit
Music / Movie / Cast
Jake Cloudchair
Thanks to
フジゲン
OKADA International Inc.
荒井貿易

使用機材リスト
ギター
Fujigen Expert ODYSSEY
ギター・アンプ
Koch Studiotone 40XL Head : クリーン・トーンにセッティング

Roger

それでは動画の内容を基にレビューしていきます。

Fat Drive [0:12〜0:50]

まずはLow-Cut以外を全て12時方向にした基本的なセッティングから。ここではLow-Cutは最小にしました。
“ギターアンプの歪みチャンネルの持つサウンド”を目指したと公式説明にある通りアンプライクな、ワイドレンジで太いトーンです。
歪みの粒は細かめ。オーバードライブ/ディストーションどちらにもカテゴライズ出来そうな歪みの質です。歪みは結構強めなんですが分離感が良く、ニュアンスも出しやすいです。コンプ感は割とあり、アタックの感触にハリがあって心地良いです。

Leqtique版には無かったLow-Cutコントロールは結構効きが強いです。
単純に低域を操作するだけでなく、全体的な音の太さや歪みのパワー感まで影響する重要なコントロールだと感じました。
Leqtique / L’の他モデルにあるLow-Cutとも効き方が違うように思います。
このノブは新たに追加されたオマケではなく、むしろ音楽的で主要なコントロールといえます。

Sound Check [0:51〜1:19]

Volume以外の各ノブの効き方をチェックしてみました。
Gainは最小でも軽いサチュレーションがありますね。歪みとともに音圧が上がっていく感触があります。
Toneは音の太さにあまり干渉せず明るさ/暗さを調整するような効き方で、どのポイントでも使いやすいと思います。
そしてLow-Cutによるトーンの変化がおわかりいただけるでしょうか。結構キャラクターが変わりますし、GainやToneとの連携で追い込んだ音作りが出来るでしょう。

Tight Crunch [1:20〜1:57]

Low-Cutを強めにしたタイトな設定です。
冒頭ではギターのボリュームを少し絞ってクリーンな響きにしています。ボリュームへの反応性は非常に高いと思います。

ネック側のシングルコイル・ピックアップの甘く枯れた質感に合う、所謂ブルージーなテイストもあります。
ブリッジ・ハムバッカーではコードをかき鳴らす感じに合う軽めのクランチとなります。

Dark Drive [1:58〜2:36]

Toneを最小近くまで絞り中低域にフォーカスした設定です。
ヨーロピアン的といいますか、暗めで粘りのあるトーンです。
くぐもった音色ながらこもった感じはしない、実用的な設定だと思います。

Hot Drive [2:37〜Last]

Gainを最大に、それ以外は12時にした設定です。
ゲインはLeqtique版より少し控えめにしているそうです。ゲイン最大でも激しい歪みにはなりませんね。
Low-Cutのおかげで特に低域がタイトに鳴ります。
全体的な解像度も高いままで、ニュアンスも出せます。


PV

Clean Boost [0:22〜0:59]

まずはクリーン・トーンに対し、Boostを12時方向にしてみました。
倍音感が少し強くなり音が際立ちます。所謂エンハンス感ですね。
コンプ感もあって音にハリが出ます。クリーン・ブースターとしては味付けが濃いめといえるでしょう。
特にアルペジオに合う使い方だと思います。ネック/ブリッジどちらのピックアップでも良い感じです。

Fat Boost [1:00〜1:58]

ここではRogerでドライブ・トーンを作り、PVはその前段で強めにブーストしました。ゲインと共に倍音も増え太く派手な歪みになります。
PVによるエッジ感がブルージーな歪みを演出します。
特筆すべきはギター・ボリュームを絞った際の、鈴鳴り感のあるクリーン・トーン。Rogerだけだとここまでの鈴鳴りは感じません。
個人的にこの2台の組み合わせはとても気に入りました。

Sound Check [1:59〜2:16]

Boostノブを回しながら、音の変化を試してみました。
最小ではほとんど音色の違いを感じません。この状態でバッファとして使う方法もあります。
アンプの種類・設定にもよりますが、12時付近までは歪み感が少なくクリーン・ブースターとしてブースト量を微調整出来ます。
2時以降くらいからはアンプがプッシュされて歪んできます。最大ではクランチまで持っていけました。

Pre/Post/Full Boost [2:17〜Last]

最後にTS系オーバードライブMATと組み合わせ、PVをそれぞれ前段/後段に置いてブーストした音色を比較しました。
まずMATのみの音、次にPVを後段に繋いでポスト・ブーストしました。輪郭がはっきりした明るいトーンになりますね。勿論音量も上がります。
ダイレクト感が強く生々しいトーンですが、ある意味演奏のアラが目立ちやすくなります。
この辺は歪みペダルとの相性次第で使い勝手が変わるかも知れません。

そして途中から、前段に置いてプリ・ブーストした設定に切り替えています。
MATのみの場合と後段でブーストした場合の中間的なサウンドと言えます。歪みペダルのキャラクターを活かしながら、PVのテイストが加わります。

更にその状態からBoostを最大にしました。
歪みが強くなるというより、音の密度が上がるような変化を感じました。PVの持つコンプ感がこの密度に影響しているのでしょうか。

前段/後段どちらに置くかでやはり効果が違いますね。
どちらもアリだと思いますので他の機材との相性を探ると効果的に使えるでしょう。


総評

これまでリリースされた4機種は、基本的にLeqtiqueの各モデルが持つキャラクターを継承したものだったと思います。

L’ | Roch, MAT, Red & 9/9

今回のRogerとPVはLeqtique版と勿論共通点はあるのですが、異なる個性を持つモデルに仕上がっていると感じました。
特にRogerのLow-Cutは非常に実用的だと思います。
L’の方が低価格ですが、単純に廉価版とは言えない魅力があります。音のクオリティも問題ありません。

PVに関しては、2016年の楽器フェアでL’から限定配布されたPro Boostという非売品を連想させますが、両者を比べるとやはり別物でした。
Pro Boostも良い感じのブースターなのですが、音が際立つエンハンス感やコンプ感の味付けなど、PVはより個性的に仕上がっています。
そして解像度の高さもPVに軍配が上がるように思います。

まだローンチから1年に満たないL’ですが、今回の2機種からは既に成長を感じさせられました。
同時期にリリースされたTosin Abasiシグネチャーモデル”起源”もかなり気になりますし、今後も新作が控えているようで楽しみです。


L’販売リンク | デジマート

http://www.digimart.net/〜

関連記事

Return to page top