【レクティーク初のリヴァーブ】Leqtique「Stellaclasm」レビュー
- 2018-12-17 (月)
特殊な空間演出から自然な残響までを実現
Leqtique(レクティーク)からリリースされた初のリヴァーブ「Stellaclasm」を紹介します。
設計者Shun Nokina氏が自信作と語るこのペダルの実力を探ります。
今回も公式動画を作らせていただきましたので、まずはご覧くださいませ。
Leqtique | Stellaclasm [Stella Reverb]
Credit
使用機材リスト
- ギター
- FGN (Fujigen) NST11
- FGN NSG100
- FGN AG1E
- Ibanez Talman TC825
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)
解説
それではデモ動画での設定・音色について解説します。
各ノブの詳細については下記”Controls”の項をご参照ください。
いつもの動画と同様にアンプの設定は一定の状態です。
どのパートもLeqtiqueまたはL’のエフェクターで音作りをした上で、最後段つまりアンプの直前に”Stellaclasm”を繋いでいます。(一部アンプのエフェクト・ループを使用)
なお公式サイトにはペダルの詳細な説明がありますので、是非そちらもご参照ください。
Leqtique Stellaclasm公式ページ
Stella Reverb [演奏箇所:0:19〜1:04]
- Mix
- 5(時方向)
- Tone
- 7
- Decay
- 5
- Stella
- 5
まずはリヴァーブをかけないドライ・サウンドから。CLHD(正式名称:Caeruleum Lightdrive High Definition 特集インタビュー記事)でクリーン・ブーストしています。
そして”Stellaclasm”の効果が最もわかりやすいと思われる設定でオンにしました。
とても幻想的なリヴァーブ・サウンドです。奥行きとともに高さをも感じさせるような立体的な響きを持っています。
リヴァーブの質感は、スプリングとプレートを組み合わせた上にモジュレーションが加わり、更にシマー的なきらびやかさも感じさせるという複合的なエフェクトだと感じました。正に「Stella Reverb」としか言いようのない、個性的なエフェクトだと思います。
動画の冒頭と最後のサウンドもこの設定で弾いています。
Warm Reverb [1:05〜1:27]
- Mix
- 5
- Tone
- 10
- Decay
- 12
- Stella
- 5
“Tone”を少し絞り”Decay”も抑えた設定です。ここではCLHDに加えMini EQでミッド・ブーストしています。
スプリングとルームを組み合わせたようなリヴァーブ感ですね。あたたかさを感じるような響きです。メロウな雰囲気を演出できるので、ジャズ的な音作りにも合うと思います。
For Crunch [1:28〜1:50]
- Mix
- 3
- Tone
- 9
- Decay
- 9
- Stella
- 1
Berylでクランチ・サウンドを作った上で、”Stella”を低めにした設定でリヴァーブをかけました。
歪ませたカッティングに合わせると、アナログ・ディレイ的な残響を感じます。リヴァーブのレベルは大きめに設定しているのですが、実音を邪魔せず演奏の切れ際でエフェクト音が聴こえてくる印象です。ダッキング・リヴァーブ的な機能はないと思いますが、それと同様の効果を感じさせるような音質です。
For Overdrive [1:51〜2:13]
- Mix
- 5
- Tone
- 3
- Decay
- 9
- Stella
- 3
L’ Rogerで歪ませたサウンドにStellaclasmを加えました。
ここでは”Tone”を低めに設定した事もあり、スプリング的な響きになっています。かけっぱなしで使えそうな、自然で主張の薄い空間演出です。
Controls [2:14〜2:41]
- Mix
- Min-Max
- Tone
- Min-Max
- Decay
- Min-Max
- Stella
- Min-Max
各コントロールを動かしながら、それぞれの効き方を確認してみました。
“Mix”はエフェクト音の大きさを調整します。最小だとエフェクト音ゼロで、最大では原音と同じか、他のコントロールの設定次第では原音より若干大きめになります。エフェクト音のみを出力する所謂キルドライは出来ません。
“Decay”はリヴァーブの長さを調整します。どの設定でも極端に短くや長くはならない実用的な仕様だと思います。
“Tone”はエフェクト音の音質調整です。一般的なトーンとは逆の効き方で、時計回りにすると音がこもっていきます。このコントロールがリヴァーブ音の質感に大きく関わってきます。聴感上のリヴァーブの大きさにも影響します。この”Tone”の効きの良さが、このペダルの汎用性を高めていると思います。
ミニノブの”Stella”はもうひとつの”Decay”と言えるような特殊なパラメーターで、空間のスケール感を調整するような効き方をします。最小では控えめなスプリング・リヴァーブのように、そして最大では広大な空間を感じさせます。”Stella”と”Tone”を最大にした際にはプレゼンスを上げたような効果も得られ、指先の微妙なニュアンスにも繊細に反応します。
For Acoustic [2:42〜3:15]
- Mix
- 3
- Tone
- 7
- Decay
- 12
- Stella
- 5
エレクトリック・アコースティック・ギターでも試してみました。CLHDをプリアンプ的に使用しています。
アコースティックにもぴったりの響きですね。ここでは”Tone”を明るく設定していますが、暗めにしても落ち着いた雰囲気で合うと思います。
In the Effects Loop [3:16〜3:32]
- Mix
- 5
- Tone
- 12
- Decay
- 12
- Stella
- 5
このパートのみStellaclasmをアンプのセンド/リターンに繋いでみました。基本のトーンは6/6で歪ませた上にCaelum ODでブーストしています。(6/6&Caelum ODレビュー)
深めに歪ませた音にリヴァーブをかけると濁りがちなので、クリアな響きを得たい場合はこのようにエフェクト・ループを使うのが良いですね。
アンプに搭載されているリヴァーブのような感覚で、常時オンにしても使えると思います。
動画の冒頭の歪んだトーンもこの設定で弾いています。
Stellaclasm [3:33〜4:10]
- Mix
- 3
- Tone
- 9
- Decay
- 5
- Stella
- 5
最後は11/11を使って先程よりも強く歪ませ、Stellaclasmを派手めな設定でかけてみました。
歪んだ音に迫力が増して、音圧も上がるような印象を受けます。演奏もつい熱くなってしまいます。
ここではディストーションを使いましたが、ファズで歪ませても合うと思います。
総評
このリヴァーブについてShun Nokina氏曰く「星が爆発するような」との表現がありました。非常に抽象的なイメージですが、それがこの特殊な響きを象徴していると思います。特に”Stella”最大&”Tone”最小時のブライトな質感は星の煌きを思わせます。このようなきらきらした質感のリヴァーブとしてはシマーが良く知られています。シマーはオクターブ上のピッチ・シフト音を加えたり等の手法でその質感を作っていますが、このStellaclasmは全く違うアプローチでこの演出を実現しています。これは革新的と言っていいのではないでしょうか。
特殊な空間演出だけでなく、”Tone”の設定次第で常時使えるような自然な残響を作れる所も素晴らしいと思います。一般的なリヴァーブではスプリング/ルーム/プレート…等エフェクトのタイプを切り替えてヴァリエーションを増やしているものも多いですが、Stellaclasmにはそのようなタイプ切り替え機能はありません。しかしその代わりシンプルに各ノブを回す事でシームレスに質感を変えられます。4ノブで幅広い音作りに対応した仕様は完成度が高いと感じます。
機材から受けるインスピレーションが、演奏や作曲に影響する事がままあります。実際私はいつもそのインスピレーションを基に動画を作っているわけですが、今回は特に楽器の選択や音数・間(ま)など、ペダルからの影響が大きかったように感じます。Stellaclasmは音楽的というよりむしろ、音楽の一部と成り得るようなエフェクターだと感じました。Shun Nokina氏渾身の自信作、是非体感して欲しいです。
Leqtique 販売リンク | デジマート
Photo by Yuichiro Hosokawa