Guyatone | Cooler Booster CBu1レビュー

  • 2019-06-23 (日)

コンパクトで高品質なブースター&バッファー

Guyatone(グヤトーン)からリリースされたCBu1 Cooler Boosterをレビューします。
Guyatoneは老舗ブランドですが2013年に休止、その後数年を経て復活しました。今回紹介するCBu1は復活したGuyatoneの国内販売第1弾製品となります。

このCBu1は、旧GuyatoneのCB3を基に改良・発展させたブースターとの事です。
簡単に説明するとゲインとトーンを搭載したブースターです。加えてバイパス時の音量を調整可能なアクティブ・バイパス機能が付いています。

コントロール類


M-Out:ブースターON時の音量設定
Tone:1KHz以上の音域をコントロール
Gain:増幅回路への音量設定(クランチ・レベル)
Active:トゥルー・バイパスとアクティブ・バイパスを切り替え
Level:アクティブ・バイパス時の音量設定

アクティブ・バイパス

まずはブースターをオンにする前に、アクティブ・バイパスの音質を確認してみます。Activeスイッチが上の位置だとトゥルー・バイパスで、下にするとアクティブ・バイパスとなりバッファーが機能します。そしてこのバッファーが、既にエフェクトと言っても良いくらい音色に影響を与えるものとなっています。原音にハリが出てきて音圧が上がる印象を受けます。ここで連想したのがKlon Centaur及びKTRの、通すだけで音が良くなると言われるバッファー効果です。KTRではスライド・スイッチでバッファーのオン/オフを切り替えられる仕様で、このCBu1も同様なのですが、CBu1の方が如実に音質の変化を感じます。通すだけで音が太く、前に出てくるような効果です。更にLevelノブでバイパス時の音量を設定出来るわけですが、最小でもトゥルー・バイパス時と同程度の音量で、音圧は若干高くなります。そして上げていけば、後ろに繋ぐペダルやアンプをプッシュするブースターとしても機能します。このバッファーだけでも製品として売れるレベルだと思います。オンにした時に「お、いいな」と思うのですが、それよりむしろオフにした時にさびしく感じてしまう、そんな自然かつ効果的なバッファーです。

ちなみにトゥルー・バイパス/アクティブ・バイパスによる音質の違いは、バイパス時のみならずブースターをオンにした時にも影響します。つまりブースターをオンにした際、トゥルー・バイパスならブースター単体の効果が得られ、アクティブ・バイパスならブースター+バッファーの音になるわけです。フット・スイッチとアクティブ・スイッチの組み合わせによって4通りの動作をする事になります。

  1. トゥルー・バイパス(バッファー無し:通常のバイパスと同等の音)
  2. アクティブ・バイパス(バッファーによる音質変化あり)
  3. ブースター+トゥルー・バイパス(ブースター部のみの音)
  4. ブースター+アクティブ・バイパス(ブースターとバッファーを組み合わせた音)

ブースター

アクティブ・バイパスの説明が長くなってしまいましたが、そろそろブースター部分を探ってみましょう。まずアクティブ・バイパスをオフにして、ブースター単体の効果をチェックします。

音質についてまず言えるのは、音に味付けするタイプのブースターだという事です。基本的にバイパス時と全く同じ音は出ないと思います。例えばToneを12時方向にしてGain最小、M-Out最大にするとバイパス時と同程度の音量になるのですが、音質は中低域あたりが持ち上げられ高域が少し抑えられた、太くて角の取れたトーンになります。例えるなら弦のゲージが太くなったような、そしてフルアコのようなホロウ・ボディ的なふくよかさを感じます。フットスイッチの横に「Jazzi」という表記がありますが、正にジャズを思わせる落ち着いたトーンだと思います。

Gainノブを最小から時計方向に回していくと、真空管のパワーアンプ的なサチュレーションが徐々に増していきます。歪むというよりは音圧が増し輪郭が際立っていく変化です。そして最大付近ではクランチ的な歪みが得られます。最大時のトーンはエッジーで乾いた明るさが感じられ、最小時のジャジーなトーンとは随分印象が変わります。Gainだけでもこのようなアンプ的な音質変化を持っているのが特徴的です。M-Outノブは純粋に音量調整用ですね。このノブによる音量のブーストはあまり大きくないです。あくまでGainと共に、そしてアクティブ・バイパスのLevelと組み合わせて調整するものだと思いました。

続いてToneノブ。12時の位置にセンタークリックが付いている仕様で、ここが基準だという事がわかります。反時計回りにすると、中域の音の固さに影響する帯域が抑えられていき、最小ではこれもまたジャジーでまろやかなトーンになります。時計回りにするとだんだん明るいトーンになっていき、最大ではジャリッとしたギラつきが得られます。Toneノブによる音質変化は、Gainノブによるものと近いキャラクターを感じました。双方の組み合わせで、丸くメロウなトーンから尖ったブライトなトーンまで対応します。両方が12時の位置だとエッジが抑えめで若干ダークな太いトーンになります。

ブースター+アクティブ・バイパス

さて、ブースターに加えてアクティブ・バイパスもオンにしてみましょう。音が更に一段階ブーストされるような効果を感じます。まるでごく自然なコンプレッサーをかけたかのように音が前に出てきます。(コンプレッション感はありません)ブースターのみの音と比べると、バッファーが加わった音はよりリッチな印象を受けます。歪み感をあまり増やさずに音を持ち上げたい場面というのがあると思いますが、そのような用途にハマるのではないでしょうか。アクティブ・バイパスLevelを上げればアンプをプッシュして歪みを増す事も出来ます。

歪み系エフェクターとの組み合わせ

CBu1単体だけではなく、歪みエフェクターとの組み合わせも試してみましょう。CULT “TS808 #1 Cloning Mod.”の前段にCBu1を繋いでみます。アンプはクリーンな状態で、TS808はクランチ程度の設定にします。CBu1はアクティブ・バイパスのみ/ブースターのみ/アクティブ・バイパス+ブースターの3設定で試してみます。

アクティブ・バイパスのみ

バッファーを有効にするだけでも、ブースター並の効果を感じます。わかりやすく書くと「音が元気になる」感じで、輪郭がはっきりして音圧も一段階上がります。このバッファー有り/無しの音を比較したら、殆どの人がバッファー有りの音を選ぶのではないでしょうか。アクティブLevelノブが最小の位置でも十分効果があり、上げていくにつれ効果が強くなっていきます。最大にすればゲイン・レベルも上がり、ハイゲインの領域にまで踏み込みます。

ブースターのみ

ToneとGainを12時方向にした設定では、聴感上のゲインはさほど変わらず音の重心が下がり、トーンがファットになった印象を受けます。例えるなら、キャビネットのサイズが大きくなったような重厚感があります。Toneを3時以降にするとプレゼンス的な帯域が上がってブライト感が出てきます。Gainは上げるにつれて音圧とエッジ感が増していく感じです。特徴的なのは低域の量感が重めで安定している点です。ローカットされるTS808の前に繋いでも、十分なローエンドを感じます。

アクティブ・バイパス+ブースター

バッファーとブースター、正にそれぞれを組み合わせた効果が得られます。ブースターで作った音が更に前に出てくる感じです。TS808のキャラクターを保ちながらも、ローエンドを持ち上げてファットにし輪郭を際立たせ、歪み量や音圧も調整する事が出来ます。歪みペダルに迫力を加える強力なアイテムと言えるでしょう。ただ基本的に低域が増強されるので、それが太すぎたり重すぎると感じる場面もあるかも知れません。

歪みの後段に繋ぐ

TS808の後ろにCBu1を繋ぐ方法も試してみます。基本的に前段に繋いだ場合と同様の変化をしますが、CBu1のキャラクターが強く出て、太さと輪郭がより強調されます。前段/後段どちらに繋いでも特に違和感ないので、用途やトーンの好みに応じた並び順で使えるでしょう。

総評

まずはアクティブ・バイパスの音質、これがとても気に入りました。既存のシステムにこのバッファーを加えるだけで音抜けが良くなる可能性があります。音質を変えるのではなく補正する目的で、非常に簡単かつ有効なバッファーです。
メイン機能のブースターは、シンプルかつツボを押さえた仕様だと思います。トランスペアレントなタイプのクリーン・ブースターとは違い、積極的に音に変化を与えるタイプのブースターですね。リッチな低域は、音を太くしたい時に特に効果的です。逆に、ローカットしてすっきり聴かせたい場合には不向きかも知れません。Gainはヘッドルーム広めでなだらかに可変するので、クリーンとクランチの境界を微調整しやすいです。Gainを高めにした際の歪みは、コンプレッション感が少なくチューブ的なクランチ感を得られます。

コンパクトな筐体も特徴的です。正に手のひらサイズで、ペダルボードにも組み込みやすいです。小さいながら9V電池もしっかり内蔵出来ます。ミニサイズのエフェクターといえば細長い形状が多いですが、このCBu1の縦横比は安定性が高い気がします。独自に開発したというフットスイッチも、ほどよく滑らかな感触を持っていて踏みやすいです。ノブもミニサイズながら操作性は悪くないです。ただノブが黒1色なのでステージ上などでは視認性が低いかも知れません。ちなみにこの製品には「Rook Cap(ルークキャップ)」というノブに被せるキャップが1個付属します。ノブが回しやすくなる他、ピックを持ったまま操作しやすいようにスリットが入っています。(上の写真ではGainノブに装着しています)

ありそうで意外とない、ユニークなブースター/バッファーだと思います。Guyatoneブランド復活第1弾としては少々地味に感じられるかも知れませんが、汎用的かつ個性的なアイテムとしてスタンダードに成り得る可能性を秘めていると思います。このペダルを始めとした今後のGuyatoneの展開にも期待しています。


Guyatone CBu1販売リンク | デジマート

関連記事

Return to page top