【高出力/ハイセンス】Anasoundsからパワーサプライ「K+ Power Source」登場

  • 2020-11-10 (火)

圧倒的なパワーによる余裕の電力供給

フランスのエフェクター・ブランドAnasoundsの新製品「K+ Power Source」を紹介します。
Anasoundsは高品質でユニークなギター・ペダルを主にリリースしてきましたが、今回の製品は彼らにとって初のパワー・サプライです。今回のリリースにあたって公式動画を制作させていただきました。いつもの動画と異なり演奏は少なめでナレーションがメインの内容です。新たな分野への一歩を踏み出した彼らに倣って、私も初の英語ナレーションに挑戦してみました。日本語・英語・フランス語の字幕を用意しましたので、是非字幕機能をオンにしてご覧ください。

Anasounds K+ Power Source | Modular power supply for your pedalboard

使用機材
ギター
APⅡ MAF-8120GP
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb / Vox AC30 / Friedman)
使用エフェクター
Lazy Comp(コンプレッサー)
Savage(オーヴァードライヴ)
EGO Driver(オーヴァードライヴ)
High Voltage(ディストーション)
Bitoun Fuzz(オクターヴ・ファズ)
Sliver(トレモロ)
Utopia(ディレイ)
Element & La Brute(スプリング・リヴァーブ)
Credit
Movie / Photo / Music / Voice
Jake Cloudchair
English pronunciation adviser
Lynne Hobday

レビュー

まず製品の詳細に触れる前に書いておきますが、この「K+ Power Source」は2020年11月現在プリオーダー受付中でまだ流通していません。日本国内での販売予定も未定なので代理店や楽器店へのお問い合わせは暫しお控えくださいね。

さて「K+ Power Source」は数種のアイテムで構成されているパワー・サプライ・システムです。その内訳は主に下記のようになっています。

  • K+ Motherboard(大)
  • K+ Daughterboard(小)
  • Fx Power Source(自作キット)
  • 24V DCアダプター

このシステムの概要をざっくり説明すると以下のようになります。リンクをクリックすると本文へスクロールします。

大容量
各ブロック毎に最大2000mAの出力が可能。
ノイズレス/高音質
複数のフィルタリングを施す事で電源由来のノイズを遮断。
モジュラー式
各ユニットをリンク使用可。DCアダプターはひとつでOK。
ペダルボードにフィット
薄型設計によりPedaltrain等のペダルボード裏側に設置可能。専用ブラケットあり。
外観
これまでに無いスタイリッシュなデザイン。
自作キット
自分好みの仕様に組み立て可能。
デメリット
DCアダプターがかさばる。機能をフルに活かせない場合あり。

機能面や組み合わせてシステムを構築出来る面において、Strymonの”Zuma”や”Ojai”に近いコンセプトの製品と考えて差し支えないと思います。それでは各特徴についてもう少し踏み込んでみましょう。

大容量

なんと言っても最大の売りは出力の大きさでしょう。各ブロック毎に最大2000mAの出力が可能です。ブロックというのはフロントパネルの表示を見ると分かり易いです。”Motherboard”と”Daughterboard”の両方に「3端子で合計最大2A」というブロックが2つあり、”Motherboard”には更に9/12/18Vを切り替えられる「2端子で合計最大2A」というブロックが2つあります。つまり小さい方の”Daughterboard”は合計4A、大きい方の”Motherboard”はなんと合計8Aもの大出力を誇ります。マルチ・エフェクターやチューブ・プリアンプ、スイッチャーなどの電力消費量が高いアイテムでは専用パワー・サプライが必要な場合も多いですが、それらの電源も賄えるクラスのモンスター級パワー・サプライと言って良いでしょう。

ノイズレス/高音質

複数のフィルタリングを施す事で電源由来のノイズを遮断します。簡潔な公式説明が無いのでここでは詳しく触れませんが、Anasoundsのウェブサイトにノイズ問題を含むパワー・サプライについての英語記事がありますので興味ある方は読んでみてください。
The power supply technologies for effect pedals

電力消費量の高いものを含む様々なペダルをこのパワー・サプライに繫いでみましたが、これまで私が使用してきた一般的な製品と比べてもノイズの少なさを感じました。「3端子で合計最大2A」という表示が示すように端子毎ではなくブロック毎にアイソレートされている仕様なので、デジタルとアナログが混在する場合は何をどの端子に繋ぐかを考えた方が良いかも知れません。特に気を使わず繫いでみたりもしましたが、私の環境では今の所ノイズの問題は感じていません。

電力の余裕やノイズ対策は音質の向上にも貢献しているように思います。音のハリが増して明瞭感も上がるように感じました。電源周りの音質への影響は人により評価が分かれやすい所ですが、タップやケーブルを上質な物に換えた時のような変化が感じられると思います。

モジュラー式

「K+」シリーズには電源入力用の24V In端子ともう1種類、24V Thru端子が搭載されています。上の図を見てもらうと分かりやすいと思いますが、1台のDCアダプターを1台の「K+」に接続し、Thruから他の「K+」のInに接続する事で電力供給出来ます。まず1台を導入し、もし端子の数が足りなくなったら、もう1台または複数台を足して拡張していける仕組みです。「K+」基本バンドルにはDCアダプターが同梱されていますが、アダプターが同梱されずその分価格を抑えた拡張用バージョンも用意されています。このシステムはStrymonと同様ですね。

デメリットの項で後述しますが、24V In端子がセンタープラス、24V Thru端子がセンターマイナスになっている点が要注意です。

ペダルボードにフィット

“Motherboard”の寸法は186 x 80 x 35mm、”Daughterboard”は102 x 80 x 35mm。ペダルボード上面に置くのは勿論、Pedaltrain等の背面に固定する事も考慮されています。背面マウント用に特製ブラケットが用意されており、「K+」の側面にブラケットを取り付け、ペダルボード背面にネジで固定出来ます。(ペダルボード側にネジ穴を自分で開ける必要あり)手持ちのPedaltrain4種類に配置してみた所、最も小型の“Pedaltrain Nano”ではゴム足の高さが足りず背面には取り付けられませんでしたが、他の“Classic Jr”, “Classic 2”, “Classic Pro“では問題なく背面に配置出来ました。

Pedaltrainを含む各種ペダルボードへの取り付け方法がAnasounds公式ウェブサイトに紹介されていますので詳しくはこちらをご覧ください。
Mounting brackets for our power supplies, compatible with all pedalboards!

外観

Anasoundsといえば木材を使用したりユニークなグラフィックが描かれているのが特徴です。「K+」でもフロントパネルとバックパネルに木材が使われています。木をあしらったパワー・サプライは初めて見ました。メタリックで角張っているという一般的なパワー・サプライの印象を覆すようなデザインですね。トップパネルの心臓を表すグラフィックは好みが分かれるかも知れませんが、製品のコンセプトを象徴するユニークな意匠だと思います。背面に設置するのが勿体なく感じるような、上品な質感を持っています。

自作キット

Anasoundsには主に自作キットを販売するFx Teacherというセカンド・ラインが存在します。そのFx Teacherから自作パワー・サプライ・キット”Fx Power Source”を販売します。各部品を組み立てハンダ付けして自作する仕様です。基本セットは8出力で、好みに応じて9/12/18Vを選択出来る他、パーツを足していく事で最大9V × 60出力という特大パワー・サプライを製作することも可能です。「K+」とは異なり”Fx Power Source”は基板1枚=2端子につき最大出力200mAとなっています。こちらは大出力ではないので、一般的なアナログ・ペダル向きのパワー・サプライと言えます。

デメリット

ここまで主な長所を紹介してきましたが、気になる点もいくつか。

「K+」シリーズに電力供給するには付属の24V DCアダプターを使用します。このアダプターが割と大きめでかさばります。DCアダプターをペダルボードの外側に配置する場合には問題ありませんが、アダプターもボードに固定したい場合には場所を取ってしまいます。またこのアダプターから「K+」シリーズへ接続する端子がセンタープラスになっています。ペダルへ電力供給するケーブルは一般的な両端がセンターマイナスの物を使用しますが、24V Thru端子を使って複数の「K+」をリンクさせる際にはThru側がセンターマイナス、In側がセンタープラスになっている仕様のケーブルを使う必要があります。(この仕様のケーブルは同梱されています。センタープラス側に赤いマーキングが施されています)センターマイナスとセンタープラスが混在する点がややこしく感じるかも知れません。間違えて接続すると故障の原因になる可能性もあるので要注意です。

“Motherboard”には9/12/18Vを切り替えられるブロックが2つありますが、2つの端子がセットで切り替わる仕様になっています。つまり18Vに設定すると端子2つがどちらも18Vになるわけですが、例えば18Vを使いたい機材が1台のみの場合は端子がひとつ余ってしまう事になります。私個人の経験では12Vや18Vで駆動したいペダルはボード内に1台ずつ程度かなと思います。せっかく10個の出力を備えていても8個しか使えない場合もあるわけです。また内部昇圧するペダルなどでは9V以上で駆動すると壊れる物もあるので、出力を12/18Vに設定した際には間違って接続しないよう気を付ける必要があります。


以上、「K+ Power Source」を紹介しました。大出力、拡張性、そしてデザイン、いずれも魅力的なパワー・サプライです。今年は個人的にパワー・サプライやDCケーブル、電源タップなど電源周りを見直していたのですが、パワー・サプライについては迷う事なくこの「K+」の使用を決めました。お勧めの製品です。早く国内販売される事を願いましょう!

デジマート|「Anasounds」販売ページ
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