3. 閃光

━ 少年を照らしたまばゆい光とは ━

拳法の通信教育なる物を発見した私は、
雑誌の広告を手当たりしだいに切り取ってスクラップしておりました。

「ブルース・リーの原点! 詠春拳」
「ブルース・リーが編み出した! 戴拳道」
「伝説の奥義! 十六羅漢拳」
「カマキリ拳法ここにあり! 蟷螂拳」
…等々。

正直、何が何やらわかりません。
想像してみる事しか出来ないのです。
その広告の内容は中国拳法のみではありませんでした。
格闘技全般の広告を集めているうちに、
集める事自体が目的になりつつありました。

「柔道」「空手」「合気道」「ボクシング」
うんうん、やっぱり格闘技の基本はこの辺だよな。
しかし、私はその中で異彩を放つ物に遭遇してしまったのです。

「 忍 法 」

え。

私は見間違いかと思い目を擦った後に
もう一度見直してみたのですがやはり。

「 忍 法 講 座 」

忍法! ってー事はアレですか? 忍法ですよね?
忍者が使う術とかの事ですよね? 忍者になれるんですか?!
水上を歩いたり木の葉に隠れたり
挙げ句に分身とかしちゃったりして!!
忍者! 忍者!!

少年はそのまばゆい光のような自分の想像に
すっかり興奮しきってしまいました。
そしてこう口走ってしまったのです。

「ママ、ぼく忍法やってみたいんだ」

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