禁煙記2007 その1 – すぱすぱをすぱっと

gainsbourg

僕は愛煙家である。
自分で書くのも何だが、割と煙草が似合う男である。
「で、あった」と書くべきであろうか。

僕が初めて煙草を吸ったのは中学生の頃。
当初は、不良を演出する小道具に過ぎなかったのだが、
程なくして本当に不良品になってしまったのと同様に、
喫煙も日常的な行為となってしまった。

以来僕は約20年に渡って、
雨の日も風邪をひいた日も、
体調のすぐれない日でも、
盲腸を切った日でさえも
毎日欠かさず喫煙に励みながら生きてきた。

JTから表彰されてもおかしくないくらいだ。
表彰状とまではいかなくとも、お中元くらい贈ってくれてもよさそうなものだ。
度重なる値上げをものともせず、健気に買い続けてきたのだから
「お誕生日は一箱プレゼント☆」くらいの粋なサービスも欲しい所である。
ま、そんな事はさておき。

とにかく僕はずっと禁煙など考えた事がなかった。
煙草のせいで病気を患った事もなかったし、
少々体調が悪かったとしても「喫煙は緩やかな自殺である」
なんてうそぶいてゲンズブール気取りでシャンソンを口ずさみながら煙をくゆらせてきたのだ。
デカダンに。アンニュイに。コケティッシュに。
健康の為などと言って軽い銘柄に替えたり本数を減らしたり、といった行動もしゃらくさいと感じていた。
吸うなら死もいとわず味わって深く吸い込むべし、なんて思っていたのだ。
いたのだが。

しかしふと思った。
己の心の弱さ故に依存を断ち切れず、開き直って自己正当化の為に強がって建前を並べ
実は惰性で吸い続けているだけだとしたら。これは非っ常に情けない事ではあるまいか?
自分はそうではないと言い切れるのか?そこんとこどうですか?どうなのよ、Huh?
…なんて思って、必要もないのに独り自分を追い込んでしまったのである。
ここはひとつ自分を試してみよう、執着や妄想を捨てるのも修行のうち、禁煙も人生経験のうち、云々。
加えて、こうすればすんなりやめられるのではないかという考えが頭に浮かんできた。
という理由により、ある日突然に、僕は禁煙を決行したのであった。

現在、禁煙開始から2週間が経過している。

~ つづく ~

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