禁煙記2007 その4 – すとっぱSぱぱぱ

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禁煙ネタでこんなに引っ張るつもりはなかったんだ。
だので。今回でそろそろ終わりにしたいと思います。


さて。前回に書いたように、予想外の影響が精神面に表れたのだが
それでは肉体面ではどうでしょかってーと、こちらにもやはり変化があったのだった。
「煙草をやめると太るらしい」ってのは実によく聞く話である。
しかしどういう理屈でそうなっとんのや、と考えてみたらば、
「煙草をやめると食事が美味しくなる」というこれまた定番のフレーズに思い当たる。
さて真偽やいかに。

味覚・嗅覚が鋭くなるというのは、僕も確かに実感した。
味・匂いをより正確に認識出来るようになると言おうか。
例えるならば、知らず知らずの内に曇っていた眼鏡を綺麗に磨いたような感じ。
そうすると、視界がクリアになったおかげで、より美しく見えるものもある。花とかね。
しかしその一方で、見たくないものもまた鮮明に見えてきてしまうわけだ。毛穴とかね。

そのような違いを味・匂いについて感じるようになってしまった。
素材のほのかな甘みやダシの旨み、微妙かつ複雑に絡み合う味のハーモニー等々を、より豊かに味わえるようになってくる。
ああ、なんて美味しいご飯なんでしょう!食事が楽しみでたまらなくなったよ!おかわり!
…なんて台詞が出てきそうな所であるが、否。待。違。

よく考えてみましょうよ。旨いものはより旨く感ぜられるっつったって、逆に言えば不味いものの不味さもより際立ってくるのであり、
元々そんなに旨いものばかり食べていたわけではない場合、旨さよりむしろ不味さに気付く事の方が多かったりするのだ。
あくまでこれは僕の場合ですが。で。
そんな事が重なった末に、今一番美味しく感じるものは何かというと、

「水です」

という感じなので、禁煙→過食→太る。なんて事には今の所なっていない。
強いて言うならば、肌の弾力が増したせいであろうか、ほんのり顔がふっくらして見えなくもない。
あとは、血行が良くなってきたおかげで冷え性気味だったのが改善されたようで、指があったまってギターを弾く動きも軽く感じる。
こりゃいいね。実にいい。


そんなこんなで気付けばもう禁煙開始からかれこれ6週間程経っていた。
もう禁煙達成と言ってもよかろうと思われる。うん、言おう。
僕は、禁煙を、達成、したのだ。僕は。

しかしまぁ、例えば42.195kmのフルマラソンを完走するのだっつって決意して努力して苦労の末ついにやり遂げた、
なんてな感じからは程遠く、そもそもが思いつきから始まり、気がついたらやめていたという感じなので、
満面の笑顔で両手を広げ輝く汗をほとばしらせ胸でゴールの白いテープを切って、達成しました!
と言うや否や拍手・歓声・くすだま・クラッカー・シャンパン・おひねり・胴上げ・花火・パレード、
というような祝賀ムードなど全くない。
「へぇ。えらいね。」という、やけにあっさりとした友人からのメッセージがあった程度である。
その、えらいね。という言い方が、若干上から目線の言い方に思えてしまうのは僕だけであろうか。
頭をなでられながら、グッボーイ、なんて言われたような気がして、僕は犬じゃないワン、あ、ワンって言っちゃったワン。クーン。
なんてって、しっぽが下がったような気分になってしまうのであった。しょぼーん。ぽつねーん。ぽーん。

ここでいきなり、煙草だけにすぱっとおしまい。おあとがよろしいようで。

完。

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