【個性派オーバードライブ】Ant Craft “Camponotus”
- 2015-04-17 (金)
個性的で高品質・タッチセンシティブなOD
フィンランドのエフェクター・ブランドAnt Craft。
2015年初頭にリリースされたブランド初のペダル”Camponotus“をレビューします。
まずは動画をご覧くださいませ!
Ant Craft Camponotus
- Music / Movie / Cast
- cloudchair
- Cinematography
- Yusuke Maehara
- Styling
- Garret Works
- Thanks to
- Fujigen
- Lep International
- One Control
- PURUS Picks
- Sfarzo Strings
- Presented by
- Ant Craft
Ant Craft Camponotusは、2年間に渡り続けられた開発の成果です。多くのギタリストのテストと要望を受け、数々の回路とコンポーネンツの選択を重ね遂に完成したCamponotusは、ギタリストが本当に欲しいと感じる、熱い歪みを内包するオーバードライブです。
Camponotusは、バイポーラサプライのローノイズ・オペアンプを使用して組み上げられているため、オペアンプのポテンシャルを最大限に発揮することができます。さらに内部のステージにはハイクオリティな日本製キャパシタとフィルムレジスターを使用。Camponotusのユニークなトーンとサウンドは、これらの回路とコンポーネンツの賜物です。
ペダルはブースターからハイゲインドライブまでをカバー。ギターアンプのクリーンチャンネルも、ドライブチャンネルもクランクアップすることができます。ローゲインセッティングではクリーンなトーンですが、ゲインを上げれば、少しダーティでザラッとした質感のある“ブルージー”なオーバードライブ~ディストーションサウンドが得られます。Camponotusは、他の歪みペダルと合わせて使うことで、ドライブペダルのサウンドを“暖かく”することができます。
太く、少しダーティな自分だけのコントローラブルなギターサウンド。これがギタリストが求めるドライブトーンです。●アートワーク
Camponotusのアートワークは、ひと目でそれと分かるオリジナリティを重要視しました。ペダルは、音が良いことは当然必要ですが、美しい外観であることも大切です。エフェクターは工業製品であると同時に、楽器であり、芸術を表現するものだからです。
Camponotusのオーバーレイはレーザー刻印にポリウレタンワニスで塗装しています。そして、1つ1つをプラッシュバッグに詰め、木箱に封印します。※日本国内での検品、動作確認と保証書の封入のため、木箱に貼られたシールの封印は一旦開封しています。
– ナインボルト商品ページより –
デモの設定とレビュー
今回はフジゲンの協力を得て、ギターを2本使用しています。
FGN EFL-FMとFGN EOS-FM-R、どちらも美しくハイクオリティなモデルです。
アンプはFender Twin Reverb。
そして木製ハンドメイド・ピックPURUS Picksのオリジナル・モデルを使っています。
なお映像には登場していませんが、フジゲンのベースFGN EMJ-ASH-Mも使わせていただきました。
One Controlのベース用オーバードライブHooker’s Green Bass Machineを使用してライン録音しています。
Parameters
コントロールについて簡単に説明します。
- Volume
- 音量を調整します。
- Frequency
- 所謂トーンのような役割です。
- Gain
- 歪み量を調整します。後述のモード切り替えにより効き方が変わります。
- Crunch / Drive
- モードを切り替えるスイッチです。
それではデモでの設定を紹介しながらレビューしていきます。
Basic Crunch
- Volume
- 5 (時方向)
- Frequency
- 2
- Gain
- 12
- Mode
- Crunch
CrunchモードでGainを12時にした基本的な設定です。
このモードはゲインが控えめで、ブースター的な効果になります。
ざらついたエッジ感はチューブ・アンプ的なサチュレーションを感じさせます。
レンジの広さもアンプライクと言えます。
ちなみにこのペダルはVolumeが控えめに設定されているので、全体的に高めに設定しています。
Basic Drive
- Volume
- 1
- Frequency
- 12
- Gain
- 12
- Mode
- Drive
Driveモードでの基本設定です。
こちらのモードでは若干ゲインが上がり、ローゲイン系オーバードライブ的な歪みとなります。
ワイドレンジかつ粘り気のある厚いトーンです。
倍音が豊かで、タッチへの反応性がかなり高いです。
Crunch Lead
- Volume
- 5
- Frequency
- 2
- Gain
- 3
- Mode
- Crunch
Crunchモードは基本的にローゲインですが、VolumeとGainを高めにするとハリのあるクランチ・トーンになります。
タッチへの反応も実に活き活きとしています。
昇圧するタイプの歪みやブースターに通じる音のハリを感じます。
Clean Boost
- Volume
- 5
- Frequency
- 3
- Gain
- 10
- Mode
- Crunch
Mild Boost
- Volume
- 5
- Frequency
- 9
- Gain
- 8.5
- Mode
- Crunch
ゲインを抑えたクリーンな設定2種です。歪みを付加しない使い方ではミッド・ブースター的な味付けをします。
Frequencyは一般的なペダルのトーン的な役割ですが、幅広くわかりやすい効果を持っています。
右方向に回せば明るく(Clean Boost)、左方向ではジャズ的にダークで丸みのあるトーン(Mild Boost)を演出出来ます。
Edgy Drive
- Volume
- 3
- Frequency
- 3
- Gain
- 2
- Mode
- Drive
DriveモードでVolumeとGainを上げてみました。
低域の厚みや高域の良い意味で暴れる感じが、大出力のアンプを感じさせます。
クリーンなアンプに対して深く歪ませるのではなく、ジャリッとした倍音を付加させて迫力を演出する事が出来ます。
BOSS BD-2に近い要素もあると思いますが、よりアンプ的で独特なトーンを持っているように感じます。
Fat Drive
- Volume
- 3
- Frequency
- 7
- Gain
- 3
- Mode
- Drive
Frequencyを絞り切ったマイルドなトーンです。
クリーミーな感触や豊かなサステインを持っています。
若干アタックが抑えられた丸みのあるトーンですが、こもった感じとはまた違いダイナミクスも平坦になりません。
Hot Drive
- Volume
- 5
- Frequency
- 3
- Gain
- 5
- Mode
- Drive
VolumeとGainを最大にした設定です。
高域のエッジ感が強く、また低域も豊かなので音圧感が強いです。
この設定で高域がうるさく感じるなら、Frequencyを下げてブライト感を抑えるのも良いでしょう。
ピッキングへの反応がタイトで、切れ味が鋭いです。
総評
ヴィンテージ・チューブ・アンプの特性を独特な視点で再現したペダルだと感じました。
それもマーシャルというよりはVOXやSuproを思わせるサチュレーションです。
タッチへの反応を、荒さも含めて心地良く増幅するペダルです。
設定によるエッジ感の変化もチューブ的だと感じました。
個性が強めなので人によって好みが分かれそうですが、ハマれば実に使い途の多いペダルだと思います。
クリーン・トーンにあたたかさを付加する、その逆に荒々しさやきらびやかさを強調する、どちらの用途にも実用的だと思います。
あくまでチューブ・アンプ的な自然なトーンを提供するエフェクターなのでオールドスクールに感じるかも知れませんが、ダイナミックレンジやタイト感などはモダンに仕上げられています。
ハイファイかつヴィンテージ・テイストを持つオーバードライブ/ブースターです。
外観も独特で、デザインや仕上げの質感が個性的です。
しかも特製の木箱に入れて販売されているんですが、この箱がやけに豪華で所有欲を満たしてくれます。
最後に。「ぜひ弾いてみたい」という日本からのリクエストに快諾してくれたフィンランドのAnt Craftに多大なる感謝を。
Ant Craft Camponotus | ナインボルト
FGN EFL-FM | フジゲンオンラインショップ
FGN EOS-FM-R | フジゲンオンラインショップ
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