【技 Waza Craftレビュー】BOSS SD-1W, BD-2W & DM-2W

  • 2014-09-05 (金)

Boss 技 Waza Craft - SD-1W, BD-2W & DM-2W

蘇る名機たち | 3機種を発売前に弾き倒してみた

BOSSが2014年秋にリリースするアナログ・エフェクター・シリーズ“技 WAZA CRAFT”
SD-1, BD-2, DM-2という3種の名機を新たに作り直した事で話題になっています。
年々デジタル化を進めていたように思えたBOSSが、アナログの新製品を発売するという事で私もかなり気になっていました。

まだ発売前のこの3機種。
今回はミュージックランドKEYのご協力により、特別にデモ機を使わせていただける機会を得ました。
3機種をざっと紹介するデモ動画を制作しましたので、まずは是非こちらをご覧ください!

BOSS Waza Craft – BD-2W, SD-1W & DM-2W [Presented by MUSICLAND KEY]

Presented by
MUSICLAND KEY
Cinematography by
Yusuke Maehara
Directed by
cloudchair

技 WAZA CRAFTとは

創業以来、BOSSのエンジニアはアナログ回路設計から最先端のデジタル技術を駆使したDSPまで、あらゆる技術や培ってきたノウハウ、そして音に対する熱いスピリットを注ぎ込み、最高のギター・サウンドを追求し続けてきました。そのクラフトマンシップの結晶といえるコンパクト・ペダルが「技Waza Craft」です。熟練のエンジニアにより、一つひとつのパーツの選定からこだわり抜き、丹念に組み上げられたアナログ回路を搭載。さらに、完成品を出荷する前に日本国内で最終サウンド・チェックをするなど、細部に至るまでこだわった「技Waza Craft」は、極上のサウンドと卓越した弾き心地をギタリストに提供します。


SD-1W
マイルドな歪みとハリのある中域が特長で30年以上のロングセラーを誇るオーバードライブSD-1。そのSD-1を特別にカスタマイズしたコンパクト・ペダルがWAZA CRAFT SD-1Wです。一つひとつのパーツをじっくり選定し組み上げた完全ディスクリート構成の回路を搭載。エンジニアの熟練した技と情熱を最大限に込めたフルアナログ方式です。

さらに、SD-1Wではスタンダードとカスタムの2種類のキャラクターを切り替えできるモード・スイッチを新規搭載。このモード・スイッチは、単なるパーツひとつの切り替えではなく、それぞれのキャラクターに応じて回路設計自体が最適なものに切り替わるというこだわりの仕様です。
スタンダード・モードはオリジナルの音色を新設計のディスクリート回路で再現し、カスタム・モードではパワフルかつピッキング・ニュアンスを忠実に反映するワイドレンジ・サウンドを創り出すことができます。


BD-2W
ヴィンテージな雰囲気と心を揺さぶるクランチな歪みで世界中のペダルボードの定番エフェクターになったブルース・ドライバーBD-2。そのBD-2を特別にカスタマイズしたコンパクト・ペダルがWAZA CRAFT BD-2W です。一つひとつのパーツをじっくり選定し組み上げた完全ディスクリート構成の回路を搭載。エンジニアの熟練した技と情熱を最大限に込めたフルアナログ方式です。

さらに、BD-2W ではスタンダードとカスタムの2 種類のキャラクターを切り替えできるモード・スイッチを新規搭載。このモード・スイッチは、単なるパーツひとつの切り替えではなく、それぞれのキャラクターに応じて回路設計自体が最適なものに切り替わるというこだわりの仕様です。スタンダード・モードはブルース・ドライバー特有のブルージーなクランチ・サウンドを新設計のディスクリート回路で再現し、カスタム・モードでは繊細なピッキング・ニュアンスに反応する図太く粘りある極上のサウンドを創り出すことが可能です。


DM-2W
BOSSコンパクト・アナログ・ディレイの第一号機DM-2は、BBD(遅延素子)によって生み出されるアナログならではの暖かいディレイ音により、1984年の生産完了以降も世界中のプレイヤーを魅了し続けています。そしていま、DM-2BOSSエンジニアの熟練した技と情熱により、WAZA CRAFT DM-2Wとして現代に蘇りました。

BBDを使用したフルアナログ回路により、オリジナルDM-2のマイルドなディレイ音を完全再現。さらに、現代的な音楽スタイルにも対応するカスタム・モードを新たに搭載し、アナログの暖かみとクリアーさを両立した革新的なディレイ・サウンドを創り出すことが可能です。

3機種をそれぞれレビュー

上記デモ映像で使った機材は、アンプがFender Twin Reverb
ギターはCrews Maniac Soundのレスポール、Crews KTR STD with NFS WEEP HTBです。
手巻きピックアップを搭載した、枯れた味わいを持つサウンドです。
各ペダルの設定については動画の画面を参照してください。

それでは1台ずつレビューしていきます。

SD-1W

まずはStandardモードでチェック。
昔弾き込んだ機種なので懐かしい感じを想像していたのですが、音を出してみると意外と古く感じませんでした。
正直「こんなに良かったっけ?」と思ったくらいに好感触でした。

歪みの粒が細かく、タッチへの反応性が高いですね。
自然なコンプレッション感があってアタックにやわらかさがあり、中域が豊かでマイルドなトーンです。
そして低域がすっきりとしているのでカラッとした明るさもあります。
Driveの幅はあまり広くない分、好みの設定を探りやすいです。
Driveを絞り切ってLevelをフルアップにするとファットでソフトなミッドレンジ・ブースターとして使えます。

Customモードではレンジ感が広くなっています。
特に低域が豊かに、そして高域も伸びて、よりオープンなトーンに感じます。
コンプ感も強く、音が前に出てくる感触があります。
歪みの傾向は基本的にStandardモードと同じなのですが、低域が出ている分音圧がありますね。
そしてゲインが増しています。

SD-1はブースターとして使われる事が多く、単体で深く歪ませるイメージは無いのですが、SD-1Wは結構深く歪みますね。なかなかジューシーな歪みで、ニュアンスも出しやすいし弾き心地もかなり良いです。

BD-2W

BD-2も弾き慣れた機種です。定番の、安心感のあるトーンですね。
弦のギラつきが強調されるジャキっとしたクランチはやはり独特です。
Standardモードのトーンは基本的にオリジナルと同じですが、より反応が速くノイズが少なくなったように感じます。
これはSD-1Wにも共通して言えます。

Customモードにすると、SD-1W同様に低域が豊かになります。
BD-2はモディファイ品が数多くありますが、オリジナルよりローを強く出すのが基本、という風潮があるように思います。BD-2WのCustomモードでは遂に本家がその傾向を取り入れた、と言えるかも知れません。
低域が増えた事によって、高域の伸びはオリジナルより若干ロールオフしているように感じました。

ローが強くなった分、わかりやすくファットになりました。
ツマミの位置を同じ状態にしたままモードをStandardからCustomに切り替えると、ジャキっとした高域の成分が減るように感じられます。
そしてこの変化によって、Toneツマミを積極的に上げられるようになったと思います。
オリジナルでは高域のギラつきが強いのでToneツマミを上げると耳に痛い、という特性がありましたが、Customモードでは実用的な幅に設定されていると言えるでしょう。
この辺もモディファイ品やユーザーの意見を取り入れたのではないでしょうか。

Gainを上げると歪みと共に低域と音圧も上がります。歪みの質はエフェクター的だと思うのですが、歪みの増え方はアンプ的と感じました。
Customモードではゲインも増します。BD-2と他のブースター等を組み合わせて使っていた人なら「これ1台で足りる」と感じるかも知れません。

DM-2W

オリジナルのDM-2を弾いた事はあるのですが、自分で所有して使い込んだりはしていませんでした。
ヴィンテージと言えるアナログ・ディレイが刷新され新製品として発表された事、これが今回のWaza Craftシリーズで最も大きなニュースだと思います。

まずはStandardモードからチェック。
古いアナログ・ディレイはエフェクト音がコモッている印象がありましたが、この機種は思ったよりクリアです。
勿論アナログならではの丸さはあるんですが、単純にローファイというわけではなく、意外と解像度が高いという感じを受けました。なめらかで心地良いディレイです。

例えばアナログ・ディレイをデジタルでシミュレートしたものだと、アナログ感をデフォルメしているような印象を受ける事があります。
このDM-2Wは実際アナログ・ディレイですが、ヴィンテージ的な演出は敢えてしていない印象を受けました。
自然なアナログ感は、実に嫌味がありません。

Standardモードは最大ディレイ・タイムが300msと短めです。
U2でよく使われるような、シーケンス的にリズムを感じさせる用途にはディレイ・タイムが少し短いかも知れません。

Customモードでは最大ディレイ・タイムが800msになるので、上記のようなシーケンス的用途にも十分使えると思います。
エフェクト音はStandardモードに比べて高域が伸び、ローカットされているように感じました。更にクリアで明るいトーンになっています。
ディレイ音が段々丸くなっていく、その減衰のカーブも緩やかに感じます。そしてStandardモードよりも高域が削られていない分、広がりを感じさせます。
Standardモードはダークで甘くて沈んでいく感じ、Customモードは明るくて薄く溶けていくような感じ、という印象です。

そしてアナログ・ディレイの醍醐味とも言える特徴、発振はかなり楽しいです。
Intensity(一般的なディレイで言うFeedback)が9時くらいから発振し始めます。
勿論更に上げればより派手に発振しますし、Repeat Rate(Delay Time)を動かすと期待通りの反応が返ってきます。

Customモードだと、ディレイ・タイムを長く設定した時に発振しずらいような気がしました。
Intensityを最大にした状態で、Repeat Rateを12時より長くすると発振しませんでした。
オリジナルDM-2では発振の効果に個体差があるという話を聞きますが、DM-2Wの発振設定にはやはりマニアックなこだわりがあったりするのでしょうか…
発振させた際の効果についてはStandardモードと大差ないように感じました。

総評

かつての名機をメーカー自ら刷新したという事で、力の入った製品であると予想させるWaza Craftシリーズ。
どれも期待を裏切らない納得の出来でした。OD-1X / DS-1Xに関してもそうでしたが、新たなスタンダードと成り得るクオリティの高いエフェクターだと思います。2014年のBOSSは実に熱いです。
是非試してみてください!

MUSICLAND KEY | BOSS BD-2W

BOSS BD-2W

MUSICLAND KEY | BOSS SD-1W

BOSS SD-1W

MUSICLAND KEY | BOSS DM-2W

BOSS DM-2W

MUSICLAND KEY | Crews KTR STD with NFS WEEP HTB

Guitar

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