【透明感ある揺らぎ】One Control | Dimension Blue Mongerレビュー
- 2016-11-19 (土)
コーラスとフランジャーの中間的なモジュレーション
One Controlのモジュレーション・エフェクト・ペダルDimension Blue Monger (以下DBM)をレビューします。
デモ動画を制作しましたので是非ご覧ください。
コーラスとフランジャーの中間的な効果を持つというこのエフェクターを、One Controlの色々なペダルと組み合わせて音作りしてみました。
80年代風のテイストに特にハマる音色なので、その辺りの音楽へのオマージュを散りばめた内容にしました。
One Control | Dimension Blue Monger [Designed by BJF]
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- Fujigen
- OKADA International Inc.
- Garret Works
深く透き通った青。清水をたたえた静淵を覗き込めば、複雑な揺らぎが絡み合い、全体が揺れ動いています。
“水”。そこからインスピレーションを受けた、全く新しいモジュレーションエフェクト。それがOne Control Dimension Blue Mongerです。Dimension Blue Mongerは、コーラスやフランジャーエフェクトのような、透き通った空間的広がりを持つ独自のモジュレーションエフェクトです。
コーラスやフランジャーのようなサウンドをもっと音楽的にできないか。あまりにもエフェクト然としたサウンドではなく、楽器の音に寄り添いながら、透明で小さな渦が起こるようなサウンド。コーラスとフランジャーの中間であり、コーラスでもフランジャーでも無い新しい音。Dimension Blue Mongerを設計したBJFは、“Watery”という表現を使いました。どこまでも深く、いくつものモジュレーションが複雑に絡み合いながら空間に沁み渡る。その音をよくよく聴けば濃い揺らぎを組み合わせたものであることが分かりますが、音色全体は常に凛とした静けさに覆われ、どこまでも透明な広がりを感じさせます。
Dimension Blue Mongerには、一般的なモジュレーションエフェクトとは違った3つのコントロールノブが与えられています。特にComplexityはノブ1つでモジュレーション全体をコントロールします。モジュレーションスピードやかかりの深さなどが同時に可変し、シンプルな揺れから複雑な揺らぎまでを調整することが出来ます。さらに、エフェクト全体の音色の明るさはColourコントロールノブで微調整可能。大きく音を変えることはありませんが、アンプやギタートーンに合わせて調整することで、サウンドの持つ雰囲気を変えることが出来ます。
最後にMixノブでエフェクト全体の濃淡を調整。ほとんど見えないような薄い水色から深淵へと引き込まれるような青まで、エフェクト全体のバランスをコントロールすることが出来ます。
透明感と豊かな響きを両立したトーンは、どこか幻想的で幽玄な響きを伴っています。設定によってはクラシックヴァイブエフェクトのようなトーンをもカバーします。
歪みエフェクトと同時に使用しても、音が濁って使えなくなるようなこともありません。様々なエフェクトと組み合わせ、自分だけの全く新しい音を探求できる。それこそがOne Control Dimension Blue Mongerです。
Dimension Blue Monger(DBM)は、フランジャーに近いディレイタイムに設定したモジュレーションエフェクトだが、その音は既存のエフェクトカテゴリから逸脱した全く新しいサウンドだ。音楽的で美しいトーンを作り、7ヴォイスのコーラスのように使うこともできる。いろいろな楽器と組み合わせ、新しい音を楽しんで欲しい。
───Bjorn Juhl
解説
デモの内容について解説していきます。
このデモではDBMの効果をわかりやすくする為、各エフェクターの一番後ろに接続しています。
DBMの後に歪みやプリアンプ等のエフェクトをかけると、より原音に馴染んだ音色になります。
使用機材リスト
- ギター
- FGN NST200
- FGN EFL-FM (with DeMont PU)
- アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head
- Complexity
- 12 (時方向)
- Colour
- 12
- Mix
- 3
- Complexity
- 3
- Colour
- 5
- Mix
- 3
- Complexity
- 12
- Colour
- 12
- Mix
- 12
- Complexity
- 7
- Colour
- 7
- Mix
- 5
- Complexity
- 5
- Colour
- 5
- Mix
- 5
- Complexity
- 9
- Colour
- 9
- Mix
- 3
- Complexity
- 9
- Colour
- 1
- Mix
- 1
- Complexity
- 10
- Colour
- 12
- Mix
- 12
- Complexity
- 12
- Colour
- 3
- Mix
- 3
- 【4週連続レビュー#1】One Control Little Copper Chorus
- 【4週連続レビュー#4】One Control Purple Plexifier
- 【ティーザー動画】One Control Sonic Blue Twanger
Watery Modulation
まずは基本的と思われる設定で、Mixを大きめにしてみました。
コーラス的なエフェクトなんですが、モジュレーションの揺れ方が独特です。一般的なコーラスはRateで設定したスピードで揺れますが、DBMはいくつかの細かな揺れが重なっているような感じで、リズムを感じさせない揺れ方です。
みずみずしさを感じさせる音色で、クリーン・トーンのアルペジオにぴったりだと思います。
ちなみに冒頭のこのパートから「Deep & Bright」パートまではずっと、One Control Sonic Blue Twangerで基本的な音色を作った後にDBMをかけています。
Bright Tone
Complexityという聞き慣れないノブは「モジュレーションスピードやかかりの深さなどが同時に可変」するもので、ここでは強めにしてみました。
Colourは所謂Tone的な役割です。ここでは最大にしています。きらびやかな音色になりますね。
この音色にはLemon Yellow Compressorを最初にかけてサステインを稼いでいます。
Basic Setting
全てのノブを12時にした設定です。
エフェクトをかけない素の音と聴き比べると、広がりと奥行きが増すのを感じてもらえると思います。
Soft & Mellow
ComplexityとColourを最小にした設定です。
この設定でも効果はしっかり感じられます。
Colourを絞るとヴィンテージっぽい柔らかいトーンになります。この辺はBJFらしいチューニングだと感じました。
Deep & Bright
全てのノブを最大にしました。
独特なモジュレーションの複雑さが際立ちます。
正に水面を思わせるような揺らぎだと思います。
with Fuzz
ファズで歪ませたトーンにDBMをかけました。
使用したのはBaltic Blue Fuzzです。
粗い粒立ちの歪みに光沢を加えるような効果が得られます。
Fuzz Lead
引き続きファズで歪ませてリードを弾きました。イメージしたのはデイヴ・ギルモアのリード・トーンです。
彼はElectro HarmonixのElectric Mistressというフランジャーを使っていましたが、このDBMもフランジャー的に使えます。
ジェット・サウンド的なエグいフランジャーではなく、きらびやかさを加える効果が得られます。
ダブリングに薄いモジュレーションが複数かかったような、ある意味80年代のラック・エフェクターを使って得られるような複雑なエフェクトだと感じました。
with Distortion
今度はプレキシ系の歪み、Purple Plexifierと組み合わせてみました。最初にLittle Green Emphaserでブーストしエッジ感を強調しています。
DBMをオンにすると厚みとツヤが加わるのがわかると思います。
コーラスとフランジャーの中間的な効果はディストーション・サウンドにも映えます。
Metallic Lead
次は別のディストーション、Anodized Brown Distortionと組み合わせました。ここでもLittle Green Emphaserでブーストしています。
LAメタルに代表される80年代的な音作りと演奏を狙ってみました。
フランジャーのような金属的な質感がこのアプローチにぴったりです。
揺れをあまり感じないのでフレーズのピッチ感を邪魔せず使いやすいと思います。
総評
エフェクターでディメンションと聞くと、やはりBOSS DC-2を連想します。
変調感の少ない「揺れないコーラス」として独特の効果を持つペダルです。
DBMがDC-2をどの程度意識したのかはわかりませんが、通づる要素はあると感じました。
音色への色付けは濃いのに、アクは強くないという点ですね。
DBMはDC-2的な役割としても全然使えると思います。
私はコーラスもフランジャーも好きですが、強めにかけたいけれどエグくはしたくないというある意味矛盾した願望があり、それを満たすエフェクターにはなかなか出会えません。
このDBMは正にその用途にうってつけです。個人的にこんなモジュレーションを求めてました。
是非試してみてください。