高電圧プラズマディストーション!「”Plasma Coil” by Gamechanger Audio × Third Man Records」レビュー
- 2020-02-17 (月)
独特すぎる仕組みと音色を持つ現代的でユニークなペダル
ラトビアの楽器ブランドGamechanger Audioのエフェクター“Plasma Coil”を紹介します。今回も動画を制作しましたので是非ご視聴ください。
このペダルは入力信号を高電圧プラズマに変換し、キセノン管に放電する革新的なディストーション”Plasma Pedal”の姉妹機種です。基本的な音色は”Plasma Pedal”と同等で、更にスペシャル・エフェクトが追加された仕様になっています。どちらも音が鳴る度に放電する様は、得も言われぬかっこ良さがあります。ちなみにこの製品はGamechanger Audioと、White StripesのJack Whiteが代表を務めるレコードレーベルThird Man Recordsとのコラボレーションによるものです。私の動画がジャック・ホワイトにも観てもらえれば良いなと思っています。
“Plasma Coil” High Voltage Distortion | Gamechanger Audio × Third Man Records【高電圧プラズマディストーション】
使用機材リスト
- ギター
- APⅡ MAF-8120GP
- Ibanez Talman TC825
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)
PLASMA Coilは入力信号を高電圧プラズマに変換し、キセノン管に放電する革新的なディストーションペダル。この方法により、非常にクリアでレスポンスがよく、信じられないほどシャープでシズル感のある歪みを楽しむことができます。この特許申請中の高電圧放電テクノロジーは天然のノイズゲートとしての役割も果たし、ファズ特有のスタッカートのような音に強烈なコントラストを与え、さらに不要なノイズやピックアップハムも除去します。
PLASMA Coilの放電管は入力信号に反応して美しいカミナリを生成し、全てのプレイヤーが夢中になってしまうことでしょう。要するに、あなたはイナヅマをプレイしているのです!
国内代理店ページより
Plasma Coil レビュー
動画の設定を基に解説していきます。
基本的設定〜EQの効果 [演奏箇所:0:18 – 1:02]
まずは各ノブを12時方向にした基本的な設定から。バイパス時と同じくらいに音量を揃える為に”Volume”は3時くらいまで上げています。ファズとディストーションの中間というか、どちらの特徴も併せ持ったような歪みの質感です。歪みの粒は粗めで、低域は図太く高域も出ている派手な音色です。かなり独特な仕組みで歪ませているだけあり音も個性的ですが、奇をてらっただけではない使える歪みになっていると思います。
そしてもうひとつの大きな特徴がゲート。弾いていない箇所でスパッと音が途切れます。こちらも一般的なゲートとは異なる独自の仕様ですが、効果じたいはベルクロ・ファズ的な印象もあり、古めかしさを感じる所でもあります。動画では、フレーズ内の一瞬の空白で素早くゲートがかかるのを確認出来るでしょう。その瞬間には勿論プラズマの放電も止まっています。
次の設定では”Low Freq”と”High Freq”をそれぞれ上げ、よりメタリックなトーンにしてみました。この2バンドEQはどちらも効きが良く、組み合わせる事で幅広いトーンに設定可能です。
スペシャル・エフェクト群 [1:03 – 3:34]
”Plasma Coil”に搭載されているスペシャル・エフェクトは下記の6種です。
- ボリューム・ブースト
- 2つのサブ・ハーモニックモード(ビットクラッシャースタイル、オクターヴダウン)
- アッパーハーモニックモード(1オクターブ上のオクターヴ・ファズスタイル)
- 2つのミックスモード(オクターヴ上/下、または両方)
中央のノブでエフェクト・タイプを選び、右側のフットスイッチで有効化します。このフットスイッチはラッチ/モーメンタリーの両方に対応しており、上部側面のスイッチで切り替えられます。
ボリューム・ブーストはシンプルなブースターで、音色は特に変えず音量を上げます。アッパー・ハーモニックは所謂オクターヴ・ファズ的な金切り音のような効果が得られます。サブ・ハーモニックではオクターヴ下の音が足された図太いトーンで、アナログ・シンセ的な響きも持っています。ミックス・モードはよりノイジーで、音程によってオクターヴ上/下がひっくり返ったりする、予測不能なエラー感があります。この制御しきれない面白さは好事家にも受けると思います。
コントロール類 [3:35 – 4:04]
各コントロールの効き具合を確かめてみました。”Voltage”は実際に電圧を調整するノブで、一般的な歪み系ペダルのゲインに相当するものです。独特なのは、歪み度合いだけでなくゲートの効きも変わる点です。低くするとほとんどサステインの無いブチブチしたトーンになり、高くすると歪みと共にサステインも長くなります。ただ音量がしきい値を下回ると音がスパッと切れるので、ビッグ・マフのように永遠に続くようなサステインとは異なります。この感じもオクターヴ・ファズに近い印象を受けます。
他のコントロール類については前述の通りです。
ベースでの使用 [4:05 – 4:35]
低域も十分に再生するようなので、ベースにも使ってみました。ここではベース→Plasma Coil→Kemper(アンプ・モデルはAlembicのプリアンプ部のみを使用、キャビネット部は不使用)と接続しています。バイパス時のベースが持つ低域を全く損なわず、寧ろ更に図太く歪ませてくれます。スペシャル・エフェクトでオクターヴ下を加えればより低い帯域も出てきます。ベースに使ってもこのペダル独特の効果を発揮します。
“Voltage”最大でのリード [4:06 – 5:04]
最後は”Voltage”を最大まで上げてリードを弾きました。冒頭のロング・トーンでサステインの長さを感じてもらえると思います。音が途切れる寸前のブツブツとした感じも入れてみました。途中からスペシャル・エフェクトをオンにしてノイジー感を強調しました。ところどころ発振音も混ざったりもして、好事家にも受けると思います。
総評
”Plasma Coil”はまず歪みの音色が独特で、スペシャル・エフェクトもエグくて、特にワイルドで個性的なエフェクトを求める方にはうってつけのペダルだと思います。この粗っぽさを例えるならばオクターヴ・ファズが近いかと思いますが、音域のレンジの広さやフィルターの効きの良さなどのおかげで、より現代的なエフェクターに仕上がっています。
筐体は昨今の一般的なペダルに比べると少し大きめで、重量も840gと重いです。ペダルボードに入れれば主張の強い存在となるでしょう。
他と比べようのない独創的な製品というのはそれだけで魅力的です。Gamechanger Audioの製品はどれもその独創性を持っています。”Plasma Coil”はその中でも激しいエフェクトに振り切っています。個性的なぶん好みもはっきり分かれると思いますが、刺激的なサウンドをお探しの方は是非。
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