世界初の高電圧プラズマディストーション「”Plasma Pedal” by Gamechanger Audio」レビュー
- 2020-04-20 (月)
荒々しく図太い歪みをもたらす稲妻ペダル
ラトビアの楽器ブランドGamechanger Audioのエフェクター“Plasma Pedal”を紹介します。
このペダルは以前紹介した”Plasma Coil”の原型となる機種です。入力信号を高電圧プラズマに変換し、キセノン管に放電する革新的なディストーション・ペダルです。基本的な音質は”Plasma Coil”と同等ですが、今回のモデルはスペシャル・エフェクトは搭載せず、クリーン・ミックスが可能な仕様になっています。洗練されたデザイン、そして青く光るプラズマがとにかくカッコいいモデルです。まずは今回私が制作した動画を是非ご視聴ください。
“Plasma Pedal” High Voltage Distortion | Gamechanger Audio【世界初の高電圧プラズマディストーション】
使用機材リスト
- ギター
- APⅡ MAF-8120GP
- FGN NST200
- FGN NSG100
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)
PLASMA Pedalは、オーバードライブ/ディストーションにおける革新的なアプローチそのものであり、あまりにも新しく、かつ試されたことのないシグナル・クリッピングの手法を用いています。LED回路やトランジスタ、真空管でオーバードライブを起こすのではなく、PLASMA Pedalは、キセノン管内に発生する高電圧のプラズマ放電を通じて、楽器のライブ信号を変化させます。
本質的に、これは電光そのものを演奏するということであり、楽器によって発生した放電は、瞬時にアナログのオーディオ信号に再変換され、素早いレスポンスと、溢れるほどのユニークなキャラクターを備えた、極端なまでのヘビーなディストーションを生み出すのです。
国内代理店ページより
Plasma Pedal レビュー
動画の設定を基に解説していきます。
基本的設定〜EQの効果 [演奏箇所:0:24 – 1:44]
まずは基本的な設定から。歪み具合を調整する”Voltage”とEQの”High Freq”、”Low Freq”は全て12時方向に。クリーン音とエフェクト音のバランスを調整する”Blend”は最大、全体の音量を調節する”Volume”はバイパス時より若干大きくなる3時にしました。
粒の粗い歪みはファズとディストーションの中間といった感じです。図太くて鋭さもある特徴的な音色ですね。入力信号が止まったり弱くなったりするとゲートがかかる仕様なのですが、このゲートが強力で更に個性を強化しています。ゲートの感触はベルクロ・ファズに共通するものがありますが歪みの質は異なり、これまでありそうで無かった音色を持っていると思います。
EQは”High Freq”と”Low Freq”の2バンド仕様。どちらも効きが良く、低域をブーストした重厚なトーンから高域を強調したクリスピーなトーンまで対応します。
コントロール類 [1:45 – 2:14]
各コントロールを調整しながらそれぞれの効き具合を確認してみました。”Blend”は最小だとクリーン音100%、最大でエフェクト音100%となります。”Voltage”は低くするとブチブチ途切れるようなサウンドになり、上げていくにつれ歪み量とサステインが増していきます。”High Freq”と”Low Freq”の効き方はシンセのフィルターを思わせるような強力なカット/ブーストが可能です。
本体側面には”Clean EQ”スイッチがあります。これは”High Freq”と”Low Freq”をエフェクト音のみに効かせるか、エフェクト音+クリーン音の両方に有効にするかを選択するものです。”Blend”最大時には効果は感じられませんが、低めの設定でクリーン音を混ぜる際には効果的です。特にこの次のパートのようにベースやクランチ・トーンでは”Clean EQ”オンが役立ちました。
ベースでの使用 [2:15 – 2:27]
特徴的な図太い低域を活かしてベースにも使ってみました。”Plasma Pedal”をオンにした途端に重心がグッと下がりスピーカーの口径が上がったかのようにファットな音色になります。ここではクリーン音多め・歪み抑えめな設定にしていますが、更に激しい音色にする事も簡単です。ベース向けの歪みとしてもお薦めしたいです。
クリーン音多めのクランチ [2:28 – 2:57]
荒々しい歪みが特徴的な”Plasma Pedal”ですが、”Blend”と”Voltage”の設定次第ではまた違う質感が得られます。クリーン音を大きめにし歪みを控えめにすると、ザラついたサチュレーションを纏ったクランチ・トーンを作る事も出来ます。ジャキっとした感触の歪みはギター本来の音色を活かしつつパワー感を増量します。
ちなみに”Voltage”低めの設定だとプラズマの放電も弱めになります。動画内のこのパートでプラズマがあまり見えないのはそういう理由によるものです。
ギター・ヴォリュームの調整で得られるローファイ感 [2:58 – 3:25]
”Plasma Pedal”の入力信号への反応は独特です。このパートではまずギターのヴォリューム・ノブを4にして弾いています。かすれたようなトーンとブチブチ途切れがちなゲート感はローファイ的な味があります。ギター・ヴォリュームを上げるとサステインがグンと伸びるようになります。
ゲートを活かしたリフ向け設定 [3:26 – 3:47]
ファズ的な印象を与える”Plasma Pedal”ですが、一般的なファズと大きく異なるのは素早く鋭く効くゲートです。このパートでは”High Freq”と”Low Freq”を高めにしたドンシャリ気味の設定にして、細かく刻むリフを弾いてみました。重めのトーンながら歯切れの良さもあります。これもまた特徴的な音色と言えるでしょう。
最大電圧のリード・トーン [3:48 〜]
最後は”Voltage”を最大にしてリードを弾きました。まずは冒頭のロング・トーンが”Plasma Pedal”ならではの質感です。サステインが長いのですが”Big Muff”のように無限に伸びるような感じではなく、独特のザラザラしたノイズが混ざった咆哮のような荒々しさを持つトーンです。音色はファズとの共通点を感じさせますが、速いフレーズに対しての立ち上がりの良さなどはディストーションに近いと言えます。ファズとディストーションの中間という印象はこのパートによく表れていると思います。
総評
実はこの”Plasma Pedal”、2018年のNAMMで発表された時に私が一目惚れしたエフェクターでした。まず見た目がカッコいいですし、独自設計による全く新しいタイプの歪みという点も気に入りましたし、何よりこの個性的過ぎるキャラクターを持った音が決め手でした。実際に入手した時もあらゆる点で予想を裏切らない仕上がりで感動がありました。非常に所有欲を満たしてくれるアイテムだと思います。
Gamechanger Audio製品全般(今の所)に言えるのですが、筐体は大きめ・重ためです。また電源仕様は300mA、9V DCなので大容量のパワー・サプライか”Plasma Pedal”用に電源アダプターを用意する必要があります。ペダルボードに組み込むなら以上を考慮した方が良いでしょう。
音はとにかく個性が強いので好みが分かれる所だと思います。整った音とは真逆の方向性と言えます。逆に言えば荒い要素を簡単に付加してくれるので、音を積極的に暴れさせたい場合には持ってこいのエフェクターです。動画の音をカッコいいと思った方ならばまず間違いなくお気に召すでしょう。
「Plasma Pedal」通販リンク
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