ギターでヴァイオリントーンを実現”Gizmotron”【feat. いまみちともたか】
- 2016-08-10 (水)
オーガニックなヴァイオリントーンと無限に続くサステイン
今回はユニークなアイテム、Gizmotron 2.0を紹介します。
Gizmotron(ギズモトロン)とはギターに取り付ける機器で、各弦に備えられたホイールを弦に接触させることでヴァイオリンのようなサウンドや無限に続くサステインを実現するものです。
- Gizmotron 公式ウェブサイト
- http://www.gizmotron.com/
今回このGizmotronを紹介するにあたり、コラボによるデモ動画を制作しました。
コラボのお相手はいまみちともたかさん (ヒトサライ、BARBEE BOYS)。
いまみちさんには作曲と演奏をお願いし、私がミックスや撮影・編集を行いました。
素晴らしいギター・オーケストレーションをお楽しみください!
Gizmotron 2.0 feat. いまみちともたか Tomotaka Imamichi
- Composed and performed by
- いまみちともたか (ヒトサライ、BARBEE BOYS)
- Mixed, camera and directed by
- Jake Cloudchair
- Presented by
- Lep International
使用機材
いまみちさんの機材は下記の通りです。
いまみちさんといえばストラト、シングル・コイルのイメージが強かったのですが、今回の使用ギターはハムバッカー搭載モデルです。
ピックアップ・セレクターは殆どのパートでミックス・ポジション (ブリッジ&ネック)を使用されていて、一部のみブリッジ・ピックアップ使用との事です。
中盤から出てくる歪みっぽいトーンでオーバードライブを使用した以外はアンプ直のサウンドだそうです。
シンプルな機材ながら様々なトーンを出しているのは流石ですね。
サステインを得るアイテムとしてはE-Bowやサスティナーが有名ですが、Gizmotronはどちらとも違う個性を持っています。
Gizmotronはアタックの立ち上がりやリリースが早いので、細かいフレーズでも制御しやすいように感じます。複数の弦を使うフレーズにも使いやすいと思います。
サウンドはアタックが柔らかくて倍音が多く、ヴァイオリンやチェロを思わせます。
コード弾きではメロトロンを思わせるような質感もあり、実に独特な味わいを持っています。
キーを押している限り音が伸び続けます。当然ながら歪みエフェクターによるサステインやフィードバックとは全く違うトーンになります。
そして注目すべきはダイナミクスです。
勿論いまみちさんの表現力ありきなのですが、強弱やニュアンスなど実に表情豊かなトーンです。
単に珍しさだけではない、演奏の可能性を広げる魅力を持ったアイテムだと感じました。
使用には取り付け作業が必須ですが、ギター自体にネジ穴を空けたりといった改造は不要ですのでギターに傷は付けません。必要工具も付属しています。
各ドライバーにGizmotronロゴが付いているのが個人的にツボでした。
弦に当たるホイールの位置を調整する必要があるので、開けてすぐに使えるわけではないのが若干面倒に感じるかも知れません。
ウイークポイントをいくつか挙げると、まず電源ですね。USBケーブルで電源供給する仕様になっており、充電機能はありません。
ステージで使用する際にはUSBケーブルの取り回しに注意するか、或いは小型のモバイル・バッテリーを服のポケットなどに仕込んでおく等の工夫が要るでしょう。
また、Gizmotronはホイールを回す為にモーターを搭載していますが、シングル・コイル・ピックアップだとモーターの影響によるノイズを拾う場合があります。その為メーカーはハムバッカー使用を推奨しています。
そして気軽に導入するには価格が高めという問題もありますね。
特殊なアイテム故に気をつけなければならない点は上記のようにいくつかありますが、個性的な音色と演奏の可能性は他に代え難いものだと思います。
デモ動画の音を気に入った方は是非!
Gizmotron 2.0 | ナインボルト
Gizmotronとは
以下、販売ページより引用。
Gizmotron 2.0(特許出願中)は、無限に続くサステイン、オーガニックなヴァイオリントーン、そして新たな和音のアレンジやコードを実現します。Gizmotron 2.0は完全に機械的なデバイスです。つまり、ギターサウンドそのものに影響を与えることは無く、シグナルを加工することもありません。
弦ごとに備えられたホイールを弦に接触させることで弦振動を永続させます。音を永続させたい弦のキーを押すことで、必要な弦の音だけを出すことが出来ます。また、ピッキングと併せて使用することも出来ます。
回転するホイールの圧力を変えることでセンシティブにプレイングのニュアンスを表現でき、さらに音色のトーン、アタック、サステインを1音ごとやコードごとに制御することができます。
特徴
- 楽器を改造したり、特殊なピックアップ、MIDIインターフェイス、モバイルアプリなどは全て不要。シグナルチェーンにも干渉しません。
- ほとんどのエレキギター、エレキベース(5弦ベースを含む)に対応。ギター用はGuitar Gizmotron 2.0、ベース用はBass Gizmotron 2.0を使用します。
- 100%機械的な構造で、リッチでオーガニックなヴァイオリンやチェロのようなトーンを実現
- Gizmotron 2.0の音量やトーンを調整できるSpeedコントロールノブ
- 3つのマウンティングパッドを使用し、簡単に取りはずし/取り付けの出来る、ユニバーサルクイックリリースマウンティングシステム
- USB端子からの電源で駆動(USBケーブルとACアダプター付属)
- 耐衝撃ABS、ハイクオリティDCモーター、スイス製高精度ドライブシャフト、静音に優れたロングライフボールベアリングによる高耐久性、堅牢な構造
- 取り付けに必要なドライバ等の工具は全て付属
Gizmotronの歴史
「ギズモトロン」、その変わった機器は、1970年代半ば、10ccのロル・クレームとケヴィン・ゴドレイによって発明されました。ギターのサステインを無限に伸ばし、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロのような音を作る、革命的な機器でした。
数年に渡る開発と投資の後、コマーシャルバージョンが制作されます。Musitronics社を前身とするGizmo社がライセンスを取得し、1979年には一般的に販売されました。
しかし、オリジナルのGizmotronは信頼性の低い設計、製造上の問題などにより長続きすることなく、最初のギズモトロンは失敗に終わってしまいます。現在、オリジナルのギズモトロンはその殆どが残っていません。
2004年、長いこと忘れられていたこのデバイスに、アーロン・キプネスは注目しました。アーロンは、伝説のホフナークラビネットのレストアパーツを開発、製造しています。
そしてアーロンはオリジナルGizmotronの調査を開始。10年に渡りオリジナルGizmotronを収集し、それらを管理しています。
2013年、アーロンはオリジナルGizmotronの研究、および復元を行うためのチームを立ち上げます。そして、現代の技術や素材、製法を用いて、Gizmotronの改良版を設計しました。
オリジナルGizmotronの技術を出来る限り使いながら、アーロンとエンジニアチームはオリジナルにあった設計上の問題を解決しました。
さらに複数の技術革新により、サウンドや機能性、信頼性を大幅に向上させました。完成したGizmotron 2.0は、今新たに、ギターとベースプレイヤーに、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロのような音を作る機会を実現しました。
関連記事
- One Controlベース用ペダル動画3本公開 – feat.根岸孝旨
- 【4週連続レビュー#4】One Control Purple Plexifier
- 【デモ動画2本同時公開】One Control ディレイ&ブースター