ギターを弾く前のウォームアップ – 上達を助け、腱鞘炎を防ぐ為に
- 2012-11-23 (金)
超絶技巧を支える習慣 – ストレッチ
先日、Dream TheaterのギタリストJohn Petrucci (ジョン・ペトルーシ)の教則映像を観ました。
超絶テクニックを持つギタリストとして知られるペトルーシ。
その彼の教則映像ですから、最初から難易度が高い内容だろうと思い込んでいました。
しかし彼がこの映像で最初に行ったレッスンは実に意外で、そして大いに納得のいくものでした。
それは、上半身のストレッチです。
上記の映像では指や手首だけでなく、肩や背中までも含めたストレッチで上半身の筋肉をほぐしています。
私は以前から演奏前のストレッチがとても重要だと考えていたので、このレッスンがストレッチから始まった事にとても共感しました。
ギターを弾く前のストレッチは習慣にすべきだと思います。
ギターを弾くという行為は運動なのです。
運動といっても別にアクロバチックな難しいフレーズを弾いたり、激しい音楽性ゆえに首を振りまくったりという事を指している訳ではありません。
例え、ゆったりした曲を軽いタッチで弾いていたとしても、それが少なくとも指の運動である事はご理解いただけると思います。
そして意識してみると指だけではなく手首・肘も使っている事が分かりますし、実は肩や背中も関係しているのです。
演奏前にストレッチを行う理由
私がストレッチを推奨する理由は、身体をほぐして無駄な力を抜く事のメリットが非常に大きいからです。
主に、次のふたつの効果があります。
- 演奏中の事故を防ぐ
- 上達を促進する
演奏中の事故を防ぐ
「ギターを弾くだけなのに事故なんて大げさな」と思うかも知れませんが、決して大げさではありません!
ここで言う事故とは主に腱鞘炎などの、痛みを伴う故障です。例えば、親指の付け根や手首に痛みを感じたら要注意。
その痛みが慢性的なものになると、演奏どころか日常生活にまで支障をきたしてしまう可能性もあるのです。
特に、痛みを感じていても根性で乗り越えようとするタイプの方は気をつけてください。
(少々おどかすような書き方になってしまいましたが、私の実体験に基づくものです。詳しくはまたの機会に)
腱鞘炎などの故障の原因となるのは、無理な姿勢や無駄な力み、そして急に激しく動かす事です。
自分にとって難しいフレーズを練習している時など、集中している時ほど無意識に不自然な姿勢になったりしているものです。
姿勢が歪むと不要な力が入ってしまいがちになります。特にそんな状態で難しいフレーズを力ずくで弾こうとすると身体への負担がかなり大きくなります。
身体への負担が大きい弾き方を長時間続けていると故障につながりやすくなります。
ギターを弾くのは本来楽しい事の筈です。しかし度を越えたスパルタ的練習の末にギターを弾く事が苦痛になってしまう、挙げ句に弾く事さえ出来なくなってしまうとしたら本末転倒です。
身体の各部位を意識しながらストレッチを行う事で、演奏中の身体の違和感も察知しやすくなるので、故障を未然に防ぐ事が出来ると思います。
上達を促進する
ギターを手に取る前にストレッチで身体をほぐし血行を良くし、筋肉をリラックスさせ無駄な力が抜ければ、指の動きをよりスムーズにする事が可能になります。
無駄な力みを取る事は上達の秘訣でもあります。
力むほどに身体の動きは固くなり、その逆に脱力するほど身体の動きは軽やかで自由になるからです。
ちなみにこの記事を書いているのは11月下旬ですが、急に寒くなるこの時期には特にストレッチで身体をほぐす事が有効です。
私は北海道出身でしかも冷え性でして、地元にいた頃の寒い時期は全然指が動かなかったので、演奏前には熱い飲み物を握りしめたりして手を温めていたものです。
しかし温かい物に触れて指先だけを温める効果は長くは続きません。
それよりも、身体全体を動かして血行を良くする方がずっと効果的でした。
(勿論双方のやり方を併用するのも効果的です!)
ギタリスト向けのストレッチを解説する映像はYouTubeなどで観る事が出来ます。
私が見つけた動画をいくつか紹介しておきますので、参考にしてみてください。
最後の動画に至ってはもはやギターすら登場しない、本格的なストレッチの紹介になってしまいましたが…。
「このストレッチ方法が最適」というのは個人差もあると思いますので、自分に合った方法を探してみてください。
いずれの方法にも共通するのは身体の部位に意識を集中して、無理せずゆっくり動かす事です。
ギターを弾く前のストレッチは、演奏を助ける事はあっても決して邪魔する事はありませんので、是非試してみてください!