特殊アコースティックサウンド | PODとVariaxを活用したライブ用音作り #1/4
- 2012-05-30 (水)
POD HD500とVariaxを活用したライブでの音作り
YouTubeで好評をいただいている動画 “POD HD500 16 Clean & Crunch Tones” の音作りについて4回に渡って解説しました。
続いて、ライブ映像を題材にした音作りを紹介します。
今回題材にする動画は、こちらも好評の “POD HD500 Live Sound | Beat Of Variax” です。
このライブはトリオ編成で、ベースとドラム以外に鳴っている音は全て僕がリアルタイムで演奏したものです。
ここで僕が使用している機材はLine 6 POD HD500とVariax 500です。
チューナーとしてTC Electronic Polytuneを繋いでいますが、音作りについては上記2つの機材だけを使いました。
アコースティック、ギター・シンセ、クリーン・トーン、ディストーション、その他特殊なサウンドも全てこの機材によるものです。
更にPODのルーパー機能を活用して、演奏をループ&ダビングしています。
PCでこの動画をご覧いただくと、操作状況などが画面上に表示されますので参考にしていただければ幸いです。
前回記事:ライブ映像にキャプションを追加してみました。
この演奏では、PODのパッチ(音色のデータ)を4つ使っています。
その4つのパッチはCustomtoneにアップしました。下記のリンクからダウンロード出来ます。
PODのフットスイッチFS5〜8の4つにそれぞれのパッチを割り当てて切り替えています。
そしてFS1〜4で、それぞれのパッチに組み込んだエフェクトのOn/Offを操作します。
[クリックで拡大]
PODとVariaxを組み合わせて使うと、PODのパッチの切り替えと同時にVariaxの音色も切り替える事が出来ます。
この動画ではその機能を活用して4種類のギター・モデリングを使用しています。
この動画ではギターは旧機種のVariax 500を使用していますが、現在Customtoneからダウンロード出来るパッチは全て新機種のJames Tyler Variaxに対応したものに変更してあります。
これから4回に分けて、それぞれのパッチの設定を紹介していきます。
それでは、最初のパッチを紹介しましょう。
#1 アコースティック・サウンドをシーケンス風にする特殊パッチ
- Tone Name :
- Seq AG
- Amp Model :
- None
- Variax Guitar Model :
- Martin D-28 (Acoustic)
- Routing :
- Graphic EQ > Boost Comp > Seeker > Ring Modulator > Amp > Mixer > Digital Dly w/Mod > Plate
- Customtone URL :
- http://jp.line6.com/customtone/tone/219219/
Effects
Graphic EQ (FX Type : Pre+EQ)
- 80Hz
- -3.0db
- 220Hz
- -1.0db
- 440Hz
- 0.0db
- 1.1KHz
- 0.0db
- 2.2KHz
- +2.5db
Boost Comp (FX Type : Dyn)
- FootSwitch
- FS1
- Bass
- 50%
- Comp
- 9%
- Treble
- 50%
- Drive
- 50%
- Output
- 80%
Seeker (FX Type : Filter)
- FootSwitch
- FS2
- Tempo Sync
- 16
- Steps
- 8
- Freq
- 100%
- Q
- 66%
- Mix
- 75%
Ring Modulator (FX Type : Mod)
- FootSwitch
- FS3
- Tempo Sync
- Off
- AM/FM
- 52%
- Speed
- 93%
- Depth
- 100%
- Shape
- 80%
- Mix
- 92%
Digital Dly w/Mod (FX Type : Delay)
- FootSwitch
- FS4
- Tempo Sync
- 8th (dot)
- Time
- 321ms
- FdBack
- EXP-1 (Min=37% / Max=100%)
- ModSpd
- 19%
- Depth
- 40%
- Mix
- 55%
Plate (FX Type : Reverb)
- Decay
- 30%
- Pre Delay
- 100ms
- Tone
- 50%
- Mix
- 10%
まずはアコースティック・サウンドを基にした特殊なセッティングです。
Variaxのモデリングはアコースティック・モデルの”Martin D-28“です。
“Graphic EQ“を使って、アコースティック感を強調するように音質を補正しています。
そしてデジタル・モジュレーション・ディレイ”Digital Dly w/Mod“のディレイ・タイムを符点8分に設定し、エフェクト音のレベルを大きめにして、曲のテンポを感じさせるようにしています。
PODの右端にあるエクスプレッション・ペダルEXP-1にこのディレイのフィードバックを対応させており、かかと側に倒した状態(ボリューム・ペダルでいう所の”0″の位置)ではディレイ音が3〜4回聴こえる程度、
ペダルをつま先側に踏み込むとフィードバックが最大になり、ディレイ音が無限に繰り返されます。
エフェクトの最後には”Plate“でリヴァーブをかけています。
上記のエフェクトはかけっぱなしの状態です。
普通にアルペジオを弾けば爽やかな印象すら感じるアコースティック・サウンドですが、下記に紹介するエフェクトを加えていく事で一風変わった音色を演出します。
冒頭のシーケンス風トーンはZ-Vex Seek Wah的な効果を得られる”Seeker“を使用しました。
このエフェクトは、リズミカルに設定が変化するフィルターです。
曲のテンポに合わせてフィルターがかかるので、「ジャーン」とコードを鳴らしただけで「ジャラウワルラ…」という感じに変化します。
(言葉で表現すると変な感じですが、正にそのような効果なんです)
そしてディレイもテンポに合わせてあるので、シーケンサー風の効果が簡単に得られます。
このエフェクトはフットスイッチFS2にアサイン(割り当て)しています。
このエフェクトを使いアルペジオを弾いて、そのフレーズをループさせています。
次のメタル・パーカッション風トーンには”Ring Modulator“を使用しました。
これは機械的な倍音を加えるエフェクトです。普通このエフェクトをアコースティック・ギターに使う事はまずありませんが、このパーカッション的トーンには有効でした。
よくスネア・ドラムが入る箇所、所謂「2・4」の位置で、単音を鳴らしてループさせています。
これはフットスイッチFS3にアサインしています。
そしてリードを弾く時の為に”Boost Comp“を用意してあります。
少し音圧が上がる設定です。
これはフットスイッチFS1にアサインしました。
PODのアンプ部を使わず特殊なエフェクトを並べた、かなり変わったセッティングを紹介しました。
ここで紹介した設定自体よりもむしろ、「こんな使い方も出来る」という発想が音作りの参考になればと思っています。
次回は「隠し技を取り入れたクリーントーン」を紹介します。
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