隠し技を使ったクリーントーン | PODとVariaxを活用したライブ用音作り #2/4
- 2012-05-31 (木)
POD HD500とVariaxを活用したライブ
前回に続き、ライブ映像を題材にした音作りを紹介します。
題材の動画は、好評をいただいている “POD HD500 Live Sound | Beat Of Variax” です。
Line 6 POD HD500とVariax 500を使用してアコースティック、ギター・シンセ、クリーン・トーン、ディストーション、その他特殊エフェクトなど様々な音色を鳴らしています。
更にPODのルーパー機能を活用して、演奏をループ&ダビングしています。
PCでこの動画をご覧いただくと、操作状況などが画面上に表示されますので参考にしていただければ幸いです。
この演奏で使用したPODのパッチ(音色のデータ)は4つです。
この4つのパッチはCustomtoneからダウンロード出来ます。下記のリンクからどうぞ。
4回に分けて、それぞれのパッチの設定を紹介しています。
今回は2つめのパッチを紹介します。
#2 隠し技を取り入れたクリーントーン
- Tone Name :
- Dly Cln Lead
- Amp Model :
- Blackface Dbl Vib (Fender Twin Reverb Vibrato CH)
- Variax Guitar Model :
- Stratocaster | Neck Position
- Routing :
- Vetta Juice > Tape Echo > Analog Echo > Amp > Mixer > Stereo Delay > Spring
- Customtone URL :
- http://jp.line6.com/customtone/tone/219220/
Amp Parameters
- Drive
- 33%
- Bass
- 61%
- Mid
- 100%
- Treble
- 70%
- Pres
- 84%
- CH Vol
- 100%
- E.R.
- 12%
- Cab Model
- 2×12 Blackface Dbl
- Mic
- 57 On Axis
Effects
Vetta Juice (FX Type : Dyn)
- FootSwitch
- FS1
- Amount
- 40%
- Level
- 50%
Tape Echo (FX Type : Delay)
- Tempo Sync
- Off
- Time
- 279ms
- FdBack
- 39%
- Bass
- 50%
- Treble
- 50%
- Mix
- 0%
Analog Echo (FX Type : Delay)
- FootSwitch
- FS3
- Tempo Sync
- 1/4 (dot)
- Time
- 642ms
- FdBack
- 30%
- Bass
- 50%
- Treble
- 65%
- Mix
- 15%
Stereo Delay (FX Type : Delay)
- FootSwitch
- FS4
- Sync Left
- 8th
- Sync Right
- 8th (dot)
- L-FDBK
- 20%
- R-FDBK
- 40%
- Mix
- 65%
Spring (FX Type : Reverb)
- Decay
- 50%
- Pre Delay
- 100ms
- Tone
- 50%
- Mix
- 20%
ふたつの隠し技
これはストラトとツイン・リヴァーブのモデリングによるクリーン・トーンです。
VariaxのモデリングはストラトのフロントPUを使用しています。
隠し技のひとつは「Variaxのトーン」です。
通常ギターのトーン・ノブは“10”、つまりフルの位置が音質的にフラットな状態です。
トーンを絞る(下げる)と高音域が削られ(この表現が正しいかはさておき)、丸みのある音が得られます。
そしてVariaxのトーンには、通常のギターと少し異なる特徴があります。
Variaxのトーンを少し絞ると高音域が抑えられるだけではなく、中音域が強調されて音圧が増すポイントがあります。
特にストラトキャスターのモデリングがその変化を感じやすいです。
ここではトーンを“8〜9”の位置にしています。“10”の位置と比べて音量が上がったようにさえ感じる変化です。
僕はこの特徴をミッド・ブースター的によく使用しています。
あまり語られる事が無いようですが、これはVariaxの魅力的な特徴だと僕は感じています。
これはVariax新旧モデルに共通の特徴です。お持ちの方は是非試してみてください。
(歪みが強い音色だとわかりにくいかも知れません)
ちなみにVariaxのトーン数値はPODのパッチに記憶させる事が出来ます。演奏中の操作では再現が難しい微妙なノブの位置も、ワンタッチで呼び出せます。
アンプはフェンダー・ツイン・リヴァーブのモデリングで、強く弾いても歪まないようにゲインを設定しています。
コンプに”Vetta Juice“を使って、音の粒立ちが際立つようにしています。
そしてふたつめの隠し技は”Tape Echo“です。
これはエコープレックスをモデリングしたディレイですが、ここではディレイ音を“0”にしています。つまりディレイとしては使用していません。
人気のブースターXotic EP Boosterなどエコープレックスの特徴的なプリアンプ部を模したエフェクターがありますが、この”Tape Echo“もEP Boosterほどのわかりやすい効果ではないものの、通すだけで中域が強調されて音質が少しマイルドになります。
ここではそのプリアンプ効果のみを活かしています。これも特殊な使い方かも知れません。
「PODならではの音作り」だといえるでしょう。
そしてディレイとしては”Stereo Delay“を使用しています。
U2のジ・エッジ (The Edge) がよく使うようなクリアでリズミカルなディレイとして使っています。
ディレイ音をクリアに鳴らす為に、アンプの後に配置しています。これがアンプの前だと音が濁る感じになります。
更に通常時はオフにしていますが、上記とはディレイ・タイムを変えた”Analog Echo“も用意してあります。これは更に奥行きを演出する時に使います。
こちらは上記の”Stereo Delay“と異なりアナログ感を強調したいので、アンプの前に配置しています。
最終段に”Spring“リヴァーブを配置しています。
基本的に”Analog Delay“以外の全てのエフェクトはかけっぱなしです。
正に「隠し技」といえる一見地味な効果を並べたセッティングですが、このような音作りへの探究心をしっかり反映してくれるPODとVariaxだからこそ意義のあるこだわりだと思っています。
さて、次回は「パット・メセニー的ギターシンセ」を紹介します。
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