KGR Harmony × クロサワ楽器コラボペダル | 初発刀 & 陰陽進退
- 2021-09-03 (金)
王道的テイストと現代的バランス
南部鉄器エフェクターで一躍注目のブランドとなったKGR Harmonyと、クロサワ楽器お茶の水駅前店のコラボレーションエフェクター”初発刀”(オーバードライブ)& “陰陽進退”(ディストーション)を紹介します。
コンセプトは「現代のシーンにマッチする伝統的なエフェクターの音・役割を提案」との事で、王道的なテイストを持ちつつ現代的に仕上げられているようです。
動画を制作しましたので是非ご覧ください。
“初発刀” オーバードライブ & “陰陽進退” ディストーション | KGR Harmony × クロサワ楽器
使用機材
- ギター
- APⅡ MAF-8120GP
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb / Roland JC-120 / Marshall JCM2000)
“初発刀”は弾力のあるトーンの歪みで正に王道のオーバードライブという印象を受けました。低域が適度にタイトで軽快なキレがあります。
“陰陽進退”は太いトーンのディストーションですね。ザクザクしたアタックとなめらかなサステインはこちらも王道という感じで使いやすそうです。低域がずっしりしているのでストーナー・ロック的な音楽にもフィットしそうです。
本機種の開発コンセプトは2つ。先ず、現代のシーンにマッチする伝統的なエフェクターの音・役割を提案すること。次に、「ディスクリート回路(IC、オペアンプを使用しない回路)でオーバードライブを作ったらどんなものができるのか?」という担当の好奇心が始まりです。
本機をカテゴライズするとブースター/オーバードライブです。いわゆる弱い歪みのペダルです。あくまで “エフェクターの音” であることにこだわったので、「○○アンプのような音」や、「ワイドレンジでロスなしの音」は出ません。ローの成分はほどほどにスポイルされ、トランジスタを多用することの効能か、ジリっとしたアナログ感のある歪み/高音成分が特徴的なペダルに仕上がっています。
回路は合計6つのトラジンスタで構成された2つの増幅段からなり、初段の増幅部の負帰還部にあたる部分でシリコンダイオードで対称クリッピングし、後段の増幅部でトーンを調整するようになっています。いわゆる TS 系回路をオペアンプを使わずに構築しています。これにより聞き馴染みのある豊かな中域を獲得しました。軽快なヌケ感と必要十分なミッドのもっちり感で、汎用性が感じられるサウンドです。
また、ローゲインのペダルなので、繋ぐ楽器によっては「歪ませない」セッティングも可能です。このように繋ぐ楽器やアンプ、もしくは弾き手など、環境によって出音の表情が変わる「楽器なエフェクター」という側面も持ち合わせています。これはディスクリート回路の効能か、入出力バッファーがないためか、ハンダ付けの妙なのか、定かではありません。もちろんピッキングニュアンスへの追従も充分あります。使用例として、チューブアンプをプッシュアップするためのオーバードライブはもちろん、アナログ感のある高音成分や充分なピッキング追従性から、トランジスタアンプのリニアな反応への緩衝材的なペダルとしてもお使い頂けます。また、低域成分がスポイルされるので、ダウンチューニングや、5弦以上の多弦ベースの散漫になりがちなローBの整頓や、Math Rock などスリムなギターサウンドが求められる場面でも活躍します。
内部の基板は一般的なプリント基板ではなく、「ジサッカー」(エフェクター自作民)にはお馴染みのストリップボード(VERO ボード)を使用しています。エビデンスはありませんが、プリント基板よりストリップボードの方が信号の劣化があり、自然な応答やレンジ感が得られると考え採用を試みました。
筐体はカナダ バンクーバーを拠点とするペダルパーツサプライヤーの GØRVA design のアルミケースを、アルミノブとフットスイッチはアメリカ オレゴンの Love My Switches のモノを採用しています。GØRVA のケースはいわゆる MXR サイズといわれるものよりも、ひと回り大きいながら軽量なので、作業性と可搬性に富みます。
そして、フットスイッチ部には、打刀・突兵拵の鍔の形をモチーフにした南部鉄器製のプレートを配しています。当初は外観上のアクセントとして取り付けましたが、結果として重量バランスを整えるウエイトとして、良い働きがあることがわかりました。本機は、トラディショナルなパーツ構成にストリップボード、アルミ製の筐体とノブで、完成当初はサイズの割に軽すぎるモノでした。それに南部鉄器プレートを取り付けることで、安心感のある重量になりました。モデル名は夢想神伝流居合道の古流初伝 1本目の業名に由来します。「初発刀」(しょはっとう)という業は初心者から達人まで修練し続ける、派手さはありませんが1番基本となるものです。審査会や試合では着装や礼法の所作と同じく、その人の練度が測られる業です。
本機もオーソドックスなオーバードライブで派手さはありませんが、素直なペダルなので、ユーザー様の音作りの修練に長くお付き合いでき、その基礎となれるよう願って命名致しました。
本機種の開発コンセプトは2つ。先ず、現代のシーンにマッチする伝統的なエフェクターの音・役割を提案すること。次に、エフェクターの販売員として、ただのエフェクター好きとして、常々あったらいいなと空想していた、クランチからディストーションまで行き来できるペダルの開発です。
本機種は歪み幅が広いのでカテゴライズするのは難しいのですが、”General-Purpose Distrotion”(多目的/一般用途向け歪み)といったとこでしょう。クランチからディストーションまで鳴らせるので、一般用途な歪みであれば1台で対応可能です。
あくまで「エフェクターの音」であることにこだわったので、回路構成は RAT や dyna red distortion などのペダルから範を取り、シングル回路オペアンプと LED のハードクリップを使用しています。DRIVE が12時以上の場合、範を取ったペダル同様のバイト感とキレのある倍音成分で、アグレッシブなディストーションを楽しめます。根幹のサウンドチューニングは、低域と高域がなめらかに鳴るようドンシャリ目にしてあるので、’80sなブリッジミュートを多用するリフでも物足りなさはありません。
一方で DRIVE を12時未満に設定した場合、元々のバイト感とキレのある倍音成分はそのままに歪み感だけ減少させ、軽快なクランチサウンドを出力します。前述のように低域の再生も考慮したサウンドチューニングなので、キャンキャンするだけの腰砕けサウンドにはなりません。既存のアンプのクリーンチャンネルやオーバードライブペダルでのクランチでは歪みたりない、アンプのドライブチャンネルや一般的なディストーションだと歪み過ぎて困ってる方、少ない機材で広い歪みレンジをカバーしたい方にオススメのペダルです。モデル名は夢想神伝流居合道古流初伝5本目の業名に由来します。「陰陽進退」(いんようしんたい)は「後の先」と「強い攻め」が一体になっている業で、しっかりとした足腰での体捌きと確実な刀の扱いが肝になります。アグレッシブな業なので、10~30代の若い剣士が演武の際に披露することが多いです。
本機もアンサンブルを引き立てるクランチから、攻め気のディストーションまで、受け攻め一体の性質を持っているので、現役時代に多用したこの業にあやかり命名致しました。
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