【南部鉄器エフェクター】”しずく”×”IRON 808″ 動画+レビュー
- 2021-03-03 (水)
南部鉄器エフェクターに新しい仲間
KGR Harmony独自の「南部鉄器エフェクター」。第1弾の“あられ”は新聞やテレビなどで取り上げられたりと話題になりました。(“あられ”レビュー記事)
今回は”あられ”に続きリリースされたブースター/オーバードライブ“しずく”とTS系オーバードライブ“IRON 808”を紹介します。
今回も紹介動画を制作させていただきました。”しずく”、”IRON 808″ともにフェンダー/JC/マーシャルと3種のアンプ・サウンドと組み合わせて音作りしてみました。まずは是非ご視聴くださいませ。
【南部鉄器エフェクター】KGR Harmony | しずく& IRON 808【字幕】
使用機材
- ギター
- APⅡ MAF-8120GP
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb, Roland JC-120 & Marshall JCM800)
それでは1機種ずつ紹介していきましょう。
ブースター/オーバードライブ”しずく”
“あられ” Overdrive のブースト能力にフォーカスし、鉄感をさらに磨き上げた音色となっています。
レンジが広くハリと質量のある音色は、弾き手の感情をブーストさせます。
南部鉄器の特徴を最大限に活かした最小単位モデルです。水面に落ちる一粒の “しずく” が波紋を広げていくように、心地よく伸びる音色を作りました。
VolumeとGainの2コントロールのシンプルな南部鉄器エフェクター “しずく”
Gainを下げた状態でVolumeを上げていくと、レンジをスポイルすることなく音色に艶とハリが加えられてブーストされます。
また、Gainを上げていくと、歪み量は多くはありませんがサチュレーション感を持ち始め、Gain最大では、鋭いクランチが作れます。
サイズ感は、Hammond 1590Aサイズよりもやや横幅があり、小さいながら安定感のあるサイズになっています。公式ページより
“しずく”は2ノブ式のブースターで、”Volume”で音量をブーストするのに加え”Gain”で歪み感を増減します。”Gain”最小ではクリーン・ブースト、最大ではアンプがクランク・アップしたようなサチュレーションが得られます。完全なクリーンから歪み始めるまでの範囲が広く、程良いクランチを得たい場合の微調整が容易です。コンプ感が薄めでギター・ヴォリュームへの反応も良く、常時オンでバッファ的な用途にも向いたペダルです。
特筆すべきはそのトーン・キャラクター。バイパス時と同程度の音量/歪みに設定しても、音にハリが感じられます。そして音圧が重めで、特に低域がクリアに押し出されます。ベースでの使用や、多弦/ダウン・チューニングのギターとも好相性だと思います。この音の質感は”あられ”にも感じたものなので、これが南部鉄器の筐体に由来する音質なのかも知れません。ちなみに筐体のサイズは一般的なエフェクターより少し小ぶりなのですがずっしりとして重みがあり安定感と風格を醸し出しています。
JC-120との組み合わせでは、歪み感を足し過ぎずに音を太くし、クリーン・トーンを際立たせる事が出来ました。アンプのキャラクターを邪魔せずにパワー感を足してくれるブースターと言えるでしょう。
TS系オーバードライブ”IRON 808″
日本人エンジニアが作った伝説の名機 ”Tube Screamer”
世界中のギタリストを魅了し、素晴らしい音楽を作り続けいるこのペダルを、岩手の伝統工芸品、”南部鉄器”で筐体を作成し作り上げました。
回路は、イン・アウトのバッファーを外し、自然なレンジ幅を保持しています。メインとなるオペアンプには、新日本無線株式会社(JRC)がオーディオIC技術を結集した ”MUSES 01″ を採用。
オペアンプの高い解像度ながら柔らかい音色と、南部鉄器のレンジが広くストレートな押し出し強い音色が掛け合わさり、唯一無比の音色となっています。公式ページより
“IRON 808″はその名と形状が示すようにTS系オーバードライブです。形は本家”TS808″と全く同じではなく微妙に小ぶりなようですが、やはり南部鉄器の重みと鉄肌の質感が異彩を放っています。トーン・キャラクターは、ロー・カットされ中域にピークがあり歪みの粒が細かい、”Tube Screamer”らしさを存分に感じさせるものです。歪み幅は本家より2割程度増し、”Tone”は実用的な範囲にまとめてある印象です。TS系の扱いに慣れていれば違和感なく使えるでしょう。
“あられ”や”しずく”に感じられた低域の重量感は、回路上でロー・カットされているせいか感じられませんが、本家TSよりは重心が低いように感じます。TS系エフェクターの中には本家より低域が出るものも多いですが、’IRON 808″は低域を拡張するのではなくあくまでTS系らしい範疇で重心を下げてみたという感じがします。TSの枠を逸脱せずに使い勝手や音抜けを向上させたペダルです。
“しずく”×”IRON 808″の合わせ技|まとめ
せっかくなので”しずく”と”IRON 808″の重ねがけも試してみました。”IRON 808″→”しずく”の接続順で、”しずく”でメインの歪みを作り”IRON 808″でブーストさせると、低域の重さとキレに中域の厚みが加わったメタリックな音色に。逆の”しずく”→”IRON 808″という接続順では、”しずく”でアンプをプッシュした歪みに”IRON 808″で中低域の太さと倍音豊かなサステインを加えました。両機種の相性が良いのは勿論、他のペダルとの組み合わせでも効果を発揮するでしょう。
「南部鉄器エフェクター」というキーワードから物珍しい印象が先行するかも知れませんが、実際に音を鳴らしてみると確かに独特の音楽的なトーン・キャラクターを感じます。特に”しずく”に強く表れている重さとクリアさが共存したバランスには、ハイ・エンド製品から受ける印象に近いものを感じます。第1弾”あられ”に比べて価格も抑えられて導入しやすくなりました。動画の音に興味を持った方は是非。
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