L’ CLD | ブースター/ローゲインドライブ【動画&レビュー/Leqtiqueとの比較も】
- 2017-10-04 (水)
幅広く使えるブースター/ローゲインOD
Leqtique (レクティーク)の姉妹ブランド「L’」 (エル) の「CLD」をレビューします。
今回のペダルはLeqtiqueのCLHD (Caeruleum Lightdrive High Definition) を、L’のフォーマットで新たにデザインしたペダルです。
ブースター/バッファー/プリアンプ/ローゲイン・オーバードライブとして幅広くカテゴライズされたモデルです。
今回も公式デモ動画を制作させていただきました。
まずは音色を確かめてみてください。
L’ | CLD [Caeruleum Light Drive] Designed by Shun Nokina (Leqtique)
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- フジゲン
- OKADA International Inc.
- キョーリツコーポレーション
- 荒井貿易
- Comawhite Custom Cable
使用機材リスト
- ギター
- Fujigen Expert ODYSSEY
- FGN EFL-FM (with DeMont PU)
- ギター・アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head : クリーン・トーンにセッティング
設定/レビュー
それでは動画の内容を基にレビューしていきます。
Basic Setting [0:24〜1:07]
全てのノブを12時方向にした設定です。
クリーン・トーンの基本的なキャラクターを変えないまま、輪郭をはっきりさせます。
歪みはあくまで軽く、チューブ・アンプのサチュレーション的な倍音が加わる感じです。
Definitionは輪郭を意味するコントロールです。12時の位置だと程良い丸さがあり、シングルコイル・ピックアップの枯れた感じも出ます。
ハムバッカーでも問題なく使えます。ネック側のピックアップでもこもった感じはありません。
歪みが少ないのでリード用としては物足りないかも知れませんが、動画のような枯れたテイストの演奏には相性が良いのではと思います。
Leqtique版と異なる点のひとつはLow-Cutコントロールが追加された事で、そのおかげもありスッキリと抜けるトーンです。
Sound Check [1:08〜1:29]
TC Electronic Ditto Looperにフレーズを録音しておき、それを再生しながらVolume以外の各ノブをいじってみました。
まず各ノブが最小の状態でオンにすると、ほとんど音の印象が変わりません。この設定でバッファとして使う方法もあります。
Gainではジャリッとした感触の歪み成分が少しずつ増えていきます。
Definitionの効果を簡潔に説明すると、ハイファイ/ローファイの質感を調整するような感じです。
所謂トーンやフィルター的な感覚でも使えます。一般的なトーンとは逆に、左側に回すと輪郭が際立ち、右側だとスムーズなトーンになります。
そしてL’になって追加されたLow-Cutは主に音抜けに影響するコントロールです。基本のトーンが決まった上で補正用として調整するのが良いかと思います。
ここでひとつ注意点を。
9V駆動の場合は仕様上「電源をONにしてから強くピッキングするまで」ブチブチ音しか鳴らず完全な動作をしません。
強いアタックで1度オペアンプに強い信号を入力すると安定動作する仕様になりますので、故障ではありません。
との事です。私も最初これを知らず、不良品かと思ってしまいました。
一度強い信号を入力すれば、電源を切るまではON/OFFを繰り返しても大丈夫です。
対策としては、18V駆動にしてスイッチONの状態で電源を入れるとこの状態を回避出来ます。
Dark Drive [1:30〜1:39]
ゲインを最大にした設定です。
「Light Drive」と銘打つようにゲインは控えめで、単体で得られる歪みはクランチ程度です。
Definitionは右寄りにしました。エッジの角が取れた柔らかい質感で、ヴィンテージのような雰囲気が感じられます。
Bright Drive [1:40〜2:12]
今度はDefinitionを左寄りにしました。
エッジの鋭いクランチ・トーンが得られます。
ここではリフとリードを弾きましたが、コードをかき鳴らす用途にも合うでしょう。
動画の後半で鳴っているストロークはこの設定で弾いています。
High Definition [2:13〜Last]
ゲイン低めでDefinitionを最小にしたクリーンな設定です。
高域がクリアに伸びて鈴鳴り感もあり、特にアルペジオに合う透明感を持っています。
コンプ感もあり、軽く弾いた音も自然に前に出てきます。
こういうクリーン・ブースターを求めている方は多いのではないでしょうか。
CLDの電源は9〜18V対応です。電圧が高い方が歪みにくく、よりクリーン・サウンド向きなのでこのパートでは18Vで使用しました。
他のパートは全て9V駆動です。
ネック&ミドル・ピックアップの所謂ハーフトーンは個人的にあまり使わないのですが、このペダルにはとても合う気がしたので今回はこの主要パートで使ってみました。
Leqtique版との比較
ここで、Leqtique版CLHDとL’ CLDを比較してみましょう。
Leqtique版は「超HiFiオペアンプLT1028を内部昇圧回路により30V前後で動かしたことと、内部に隠された真鍮のケーシングのコンデンサーに由来する、超解像度、透明度のブースターとして機能します。」と説明されています。
一方L’では上記の30V駆動と真鍮コンデンサーが簡略化されているとの事です。
名称からHD (High Definition)が外されているのはそのような理由によるものです。
その代わりLow-Cutが追加されている事で、音作りの幅は広がっています。
音色の違いを簡潔に表すと、Leqtiqueの方がやはり高級感が上です。
特に低域が豊かで重心が低く、アタックの感触に厚みがあり、芯の太さを感じます。
そしてL’の方は重心が高く軽やかな感じがします。Definitionを最小にした際は、こちらの方が高域が際立ちます。
更にLow-Cutもあるので、今回の動画の後半のようなアルペジオやコード・ストロークにはL’の方が適しているかも知れません。
Leqtiqueの方が音の色付けは薄く、より自然な効き方だと思います。
対してL’は特に音抜けの面でわかりやすく効きます。こちらにしかない独特の枯れた質感もあり、オリジナルとは違う個性を持ったモデルに仕上がっています。
総評
ブースター/バッファー/プリアンプ/ローゲイン・オーバードライブ、確かにどの用途でも使えるペダルです。
お手持ちのシステムに加える事でトーンのグレード・アップを狙えるのではないかと思います。
今回の動画ではやりませんでしたが、ブースターとして他の歪み系ペダルと組み合わせる用途にも向いています。
歪みペダルの前段に置いてゲイン・ブースト、あるいは後段でレベル・ブースト、そしてDefinitionとLow-Cutで質感を調整、と音作りの幅が広がるアイテムです。
1台あると何かと役に立つのではないでしょうか。
L’販売リンク | デジマート
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