【直販限定モデル】Leqtique「Caelum OD」「6/6」レビュー
- 2018-11-11 (日)
名作”CLHD” “9/9″の別バージョン
Leqtique(レクティーク)の新作「Caelum OD」と「6/6」を紹介します。
この2機種はそれぞれLeqtiqueの既発ペダルを基にした特別モデルです。
「Caelum OD」(以下COD)は「Caeruleum Lightdrive High Definition」(以下CLHD)をよりオーバードライブ的にしたもので、「6/6」は「9/9」をローゲイン化したものです。
この2機種は公式サイトLeqtiqueshopのみで販売されます。初回ロットのみL’のペダルが無料で付属する特別企画を実施しています。数に限りがあるのでご注文はお早めに。
今回も公式動画を作らせていただきました。
是非参考にしてくださいませ。
Leqtique | Caelum OD & 6/6 [Leqtiqueshop Original Pedals]
Credit
使用機材リスト
- ギター
- FGN (Fujigen) NSG100
- FGN NST200
- FGN NST11
- ギター・アンプ
- Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)
Caelum OD
それではデモ動画での設定・音色について解説します。
なお公式サイトにはペダルの詳細な説明がありますので、是非そちらもご参照ください。
Leqtique Caelum OD公式ページ
Basic Setting [演奏箇所:0:17〜0:46]
- Volume
- 12(時方向)
- Gain
- 12
- Tone/Def
- 12
まずは全てのノブを12時にした設定から。太くあたたかなドライブ・サウンドです。ローゲイン・ドライブと謳われていたCLHDに比べて明らかにゲインが高いです。角が取れたようなまろやかな質の歪みで、ヴィンテージ・テイストとも言えそうなクリーミーなトーンです。
Crunch Setting [0:47〜1:14]
- Volume
- 3
- Gain
- 11
- Tone/Def
- 3
ここではストラトと合わせてみました。まずギターのボリュームを6程度に下げると柔らかい質感のクリーン・トーンになります。ボリュームを上げると甘めのクランチへ。この甘さは実にTS的と言えます。
ちなみに動画の冒頭でのアルペジオもこの設定によるものです。
Controls [1:15〜1:36]
- Volume
- 12
- Gain
- Min-Max
- Tone/Def
- Min-Max
各コントロールの効きをチェックしました。ギターはSGを使用しています。Gain最小の状態ではほとんど歪みません。10時あたりからオーバードライブらしい歪みになります。最大では結構歪みますが、あくまでオーバードライブとしての領域に抑えてある印象です。Leqtiqueのペダルにしてはゲイン低めの部類に入るでしょう。
真ん中のノブ”Tone/Def”は一般的なトーンと同じ感覚で使えます。トーンの明暗と輪郭を調整しますが、どのポイントでも太さ/抜けのバランスが気遣われているように感じます。
CLHDとの比較 #1 | Clean [1:37〜1:51]
- Volume
- 3
- Gain
- 9
- Tone/Def
- Max
CODと、その元になったCLHDを比較してみました。まずはローゲインでブライトめの設定です。どちらもGainは9時。CLHDの真ん中のノブ”Definition”は一般的なトーンとは逆に時計回りにすると音がマイルドになります。つまりCODの”Tone/Def”とは効き方が逆なので、ここでは双方を正反対方向に設定しています。
CLHDは音にハリが出てくるようなクリーン・ブーストです。レンジが広く、特に低域が落ち着いていて安定感があります。一方CODはクランチ程度に軽く歪んでいます。そして低域がすっきりしていて高域のエッジ感もあるので輪郭がはっきりしています。クリーンかつブライトめのTSという感じの印象です。
CLHDとの比較 #2 | Default [1:52〜2:06]
- Volume
- 12
- Gain
- 12
- Tone/Def
- 12
次に、全てのノブを12時にした設定です。CLHDの方はごく軽いクランチに重心の低いクリーンが乗った感じ、CODはより歪みの粒立ちが際立ち乾いたトーンの歪みです。キャラクターの違いは割とはっきりしています。
Hot Rhythm [2:07〜2:20]
- Volume
- 3
- Gain
- Max
- Tone/Def
- 3
Gainを最大にした設定です。ハードロック的なリフにフィットする歪み具合です。Gainを上げるとTS的な中低域の粘りが強調されてきます。かつ、歯切れの良い軽やかさを押さえてあるあたりもTSを彷彿させます。
Hot Lead [2:21〜2:35]
- Volume
- Max
- Gain
- Max
- Tone/Def
- 1
Gain最大でTone/Defを先程より少し絞り、ピックアップを切り替えながらリードを弾きました。甘くマイルドな歪みと、芯のあるクリーンが共存しているように感じます。色気のあるトーンだと思います。
なお、このパートと6/6の「Smooth Lead」「Hot Lead」にはLeqtique EDMでディレイをかけています。
Leqtique EDM レビュー
6/6
Basic Setting [2:36〜3:03]
- Volume
- 12(時方向)
- Gain
- 12
- Bottom
- 12
- Treble
- 12
- Mid-Cut
- Min
まずは全てのノブを12時にした設定。内部トリマーのMid-Cutは最小で、これがデフォルトの状態です。音質はファット&ウォームなドライブ・トーンです。9/9や姉妹機の10/10,11/11に比べて明らかにゲインが低く、中低域がふくよかです。歪みの粒感も少しなめらかに感じます。中低域が豊かながらもルーズ過ぎず、タイト感を保っています。
Bright Crunch [3:04〜3:19]
- Volume
- 1
- Gain
- 10
- Bottom
- 9
- Treble
- 2
- Mid-Cut
- Min
ゲイン低めの設定です。歪み感はありつつコードの分離感も損なわない音色で、ストロークやアルペジオに合わせやすいでしょう。このクランチ加減や重すぎず尖りすぎず…というバランスも、姉妹機との差別化を図れている所だと思います。
Smooth Lead [3:20〜3:33]
- Volume
- 3
- Gain
- 2
- Bottom
- 2
- Treble
- Min
- Mid-Cut
- Min
Trebleを最小にした設定です。少しEric Johnsonを意識してみましたが、ストラトのブリッジ・ピックアップの硬さ/痛さが抑えられて実にスムーズなトーンの歪みが作れました。この感じのトーンは何より歪みの質感がなめらかでないと出せません。9/9シリーズのこれまでの機種では作れなかったであろうマイルドなトーンです。
Controls [3:34〜4:02]
- Volume
- 12
- Gain
- Min-Max
- Bottom
- Min-Max
- Treble
- Min-Max
- Mid-Cut
- Min-Max
各コントロールの効きをチェックします。Gainは同シリーズより歪みの強さを抑えた分、微調整しやすくなっています。BottomとTrebleは効きが良く幅広いです。内部トリマーのMid-Cutは、9/9と同様に3時以降で急激に中域がカットされます。ゆるやかな効き方ではなく、微調整というよりミッドカットのオンとオフを切り替えるような感覚です。
9/9との比較 | Default [4:03〜4:17]
- Volume
- 12
- Gain
- 12
- Bottom
- 12
- Treble
- 12
- Mid-Cut
- Min
6/6と9/9を比較しました。まずは全ノブ12時&Mid-Cut最小のデフォルト設定から。比較すると、6/6の中低域の膨らみやトーンの柔らかさがわかりやすいと思います。9/9はアタックのエッジ感が特にメタリックさを醸し出しているのがわかります。
9/9との比較 | Mid Scoop [4:18〜4:31]
- Volume
- 12
- Gain
- Max
- Bottom
- 3
- Treble
- Max
- Mid-Cut
- Max
今度はMid-Cutを最大にした設定です。ドンシャリ気味のトーンですが、低域がシャープ過ぎずファットな印象です。リフを弾くにしてもガッチリとパーム・ミュートして高速で刻むタイプよりは、ミュートせずに重く弾く感じの方が合いそうです。MetallicaよりはBlack Sabbathという感じでしょうか。
Hot Lead [4:32〜5:00]
- Volume
- 3
- Gain
- 3
- Bottom
- Min
- Treble
- 12
- Mid-Cut
- 12
リード向きに設定しました。Bottomを最小にしましたが、軽くはならず抜けが良くなります。9/9シリーズ中で最もミッドレンジにフォーカスされたトーンだと思います。歪みの質は正にオーバードライブとディストーションの中間という感じで、使える場面が多そうです。それほど歪みは強くない割にサステインが伸びるのが、最後のハイトーンで伝わるかと思います。
総評
今回の2機種の基になった「CLHD」と「9/9」は私自身も気に入っているペダルです。Leqtique製品全般に言える事ですが、非常に個性的でありながら汎用性が高いという特徴が特に表れているモデルだと思います。
今回の新モデルでは、より汎用的な方向にシフトされたように感じました。独創的である事には違いないのですが、そこに気づかせないくらい自然に使える操作感に仕上がっています。どちらも幅広いジャンルに使えるペダルと言えるでしょう。
「COD」「6/6」どちらにも共通する点として、あたたかみのあるトーンを感じます。ここで私はShun Nokina Designの、つまり初代のRedemptionistを連想しました。中低域にフォーカスされ密度が高く弾力性のある歪みは、元来Shun Nokinaの持ち味とも言える特徴的な音質だと思います。そこを意識したかどうかはさておき、今回の新作2機種にはある意味「原点回帰」のような印象を受けました。
近年のLeqtiqueはどんどん音作りの幅を広げる傾向が多くなってきたように思いますが、ここにきて落ち着いたトーンの新作を出してきたのが意外でした。
それにしても「9/9」シリーズは今回で4機種目、「CLHD」シリーズはL’バージョンの「CLD」も合わせると3機種目という事で、バリエーションが豊かになってきましたね。いずれも独自のキャラクターがあるので、弾き比べるのも楽しいと思います。
今回の2機種は通販限定という事で試奏出来ないのが難点とも言えますが、Leqtique製品が好きな方にはお薦め出来るペダルです。
是非この動画とレビューをご参考にしてください。
Leqtique 販売リンク | デジマート
Photo by Yuichiro Hosokawa