Leqtique Redemptionist レビュー
- 2014-04-22 (火)
超バーサタイルに変身した名作ペダル
2014年3月に発売されたLeqtique4作目のペダル“Redemptionist”をレビューします。
BOSS OD-1X / DS-1Xに続き、ミュージックランドKEYのご協力を得てデモ映像を作らせていただきました。
まずはこちらを是非ご覧ください!
Leqtique Redemptionist
- Music & Movie
- cloudchair
- Cinematography
- Yusuke Maehara
- Cinematography Advisor
- Yawara Inafuku (+CLEAR+)
デモの設定解説
上記デモ映像での設定を紹介します。
アンプはRoland JC-120のCh2で、Treble/Middle/Bassは全て12時方向のフラットなセッティングです。
ギターとアンプのみでは全くクリーンで歪まない設定で、歪みエフェクターのキャラクターが反映されやすい状態にしています。
ギターはFujigenストラトキャスターで、パートによってピックアップをネック(フロント:シングル)とブリッジ(リア:ハムバッカー)で使い分けています。
Crunchy Drive
- Volume
- 3 (時方向)
- Gain
- 10
- Treble
- 5
- Low-Cut
- 2
Tight Distortion
- Volume
- 12
- Gain
- 3
- Treble
- 3
- Low-Cut
- 3
Smooth Lead
- Volume
- 2
- Gain
- 5
- Treble
- 7
- Low-Cut
- 12
Lo Gain Drive
- Volume
- 5
- Gain
- 10
- Treble
- 10
- Low-Cut
- 12
Standard Setting
- Volume
- 12
- Gain
- 12
- Treble
- 12
- Low-Cut
- 12
Hi Gain Distortion
- Volume
- 12
- Gain
- 5
- Treble
- 5
- Low-Cut
- 12
Shredder Dist
- Volume
- 2
- Gain
- 5
- Treble
- 4
- Low-Cut
- 3
Review
クリーンな設定のアンプに“Redemptionist”(以下RED)を繋ぎ、まずは全てのツマミを12時方向にして鳴らしてみました。
その設定のまましばらく弾き続けてしまった程、心地良いトーンが出ました。
アタックの感触やタッチへの反応が良く、サステインも長く自然で、実に楽しく弾ける歪みです。
歪みの設定幅が非常に広いです。
Gainゼロでは全く歪まず、上げていくに従ってクランチからオーバードライブ、そしてエッジ感のあるディストーションまで変化します。
しかもその変化が実になめらかで、欲しいポイントを探りやすいと感じました。
ギターのボリュームへの反応の良さも特筆ものです。
歪ませた設定にしていてもギターのボリュームを下げればクリーン・トーンになり、
しかもそれが薄くならず、抜けが良く非常に使えるサウンドなのです。
トーンを調整するTrebleとLow-Cutもよく効きます。
ゼロでもフルでも使えるトーンになる、絶妙な設定幅になっていると思います。
個人的にはTrebleで音のツヤやエッジを、Low-Cutで太さと抜けのバランスを調整する感じで使っています。
音のキャラクターとしては、独特のコンプレッション感があります。
音の粒立ちが良く、前に出てくる感じです。
このコンプ感は、ボリュームを絞ってクリーン・トーンにした時にも際立ちます。
この特徴のおかげでボリュームを下げても埋もれにくく、しかも弾きやすく感じます。
SND版, Leqtique他モデルとの比較
Leqtiqueは前モデル“9/9”発売の際にもレビューさせていただきました。
私は、更にその前作“Maestoso”を購入して以来Leqtiqueの動向に注目していまして、
Leqtiqueの前身であるShun Nokina Design (以下SND)のエフェクターも入手した次第です。
“RED”は元々SNDから販売されていたモデルで、今回はLeqtique版として装いも新たにリリースされたというわけです。
私が所有する“SND版RED”は初期のもので、ちょうど近頃メインの歪みとして使用していました。
SND版REDは生産数が少なく価格も高めで、お目にかかれる機会も限られるレアなエフェクターです。
そして、それを納得させるようなクオリティと味わいを持つペダルだと思います。
キャラクターとしてはその小さいサイズに反してとても肉厚といいますか、中低域が豊かな密度の高い音です。
その反面高域のブライト感は抑えられていて、それがこのペダルの個性ともなっています。
ギター・ボリュームへの反応の良さはSND版から持っている特徴です。
こちらのペダルも、ボリュームを下げれば味があって抜けの良いクリーン・トーンを出せます。
SND版は実になめらかなトーンを持つ、ある意味ヴィンテージ的な味わい深いペダルだと思います。
そしてLeqtique版は改良を重ねた結果、非常にモダンでバーサタイルなOD/DSに仕上がっています。
「心地良い歪み・豊かな中低域・音が際立つコンプ感」というキャラクターは共通していますが、Leqtique版はより扱いやすく輪郭のくっきりしたトーンになっています。
使いやすくなった分、個性が薄くなったという側面はあります。ただ、正にその点こそ制作者Shun NokinaがLeqtique版REDを作り上げた理由ではないかと思いました。
どんなジャンルにでもフィットするような、色んなシチュエーションで使えるエフェクターです。
Leqtiqueの現行モデル3種を並べてみました。
“Maestoso” (通称“MAT”)はTS系のオーバードライブ、“9/9”はハイゲインのディストーション、これら前2作はどちらも非常に個性的な歪みエフェクターです。
その2種と比べると“RED”は実に癖の少ないモデルだと思います。
それら全てにLeqtiqueらしいといえる共通の要素を感じます。それは音作りの幅広さ・音抜けの良さです。
Leqtique4作目となる今回の作品は、Shun Nokina Designのフラッグシップモデルでありベストセラーであった“Redemptionist”(aka RED)をLeqtique版として低価格に抑えながらも、よりサウンドのバリエーションを拡張することを目的とし設計されました。
2009年に最初のバージョンがSNDより発売されて以来、弱点とも捉えられる利きの狭められたTrebleコントロールをRED特有のスムースなサウンドを残しながらどうにか拡張できないかと、“RED V2”、“RED V3”(いずれも未発売)といったプロトタイプを試作してきましたが、当時は適切な回路が思い浮かばず断念していました。
そして、その4年間の経験で培われた多くの新たな回路、パーツ双方のアイデアにより、今回のLeqtique版Redemptionistは完成されました。
基本的なキャラクターとしては、Overdrive/Distortionというべき中庸的かつ強力なバーサタイルさを持っています。
まずGainコントロールに関しましては、0%の状態ではSND版REDに対して遥かに拡張されたTrebleコントロールと併せて、サウンドにソフトさ/煌びやかさを付加するようなクリーンブースター・プリアンプ的な用途として、またそれ以降の50%前後までの範囲では特にギターのボリュームによく反応し、太いクリーンサウンドまで即座に戻せるようなPop/Rock/Fusionなど全般に使用できるようなピッキングによく食いつく粘りのある歪みサウンドを、そして50~100%のGainレベルでは特にShredなどにぴったりなレガートで、サステインの長いリードサウンドを演出します。
次に、Trebleコントロールは前述にもあるとおりSND版REDよりも拡張されているため、0~50%の範囲でほぼ妥協なくオリジナルREDのサウンドをカバーし、50~100%ではトップエンドのソフトさや全体のフィールを残し、破綻しないようにTrebleがより上げられる様に設計してあります。
アンサンブル時の音抜けの調整などにも非常に効果的です。
この二つのコントロールを基本として補佐する形で存在するのがLow-Cutコントロールで、50%方向を基調とし他の機材との相性やお好みに合わせてローエンドの微調整が可能です。
また、範囲の拡張されたVolumeコントロールも同様に、オリジナルREDより利きが強くなっています。
最後に、再設計時の副産物としてオリジナルREDよりも数段階ローノイズ化されたのもポイントです。前作の9/9のような強烈なモダンハイゲインサウンドや、MATのあくまでもミドルにピークのあるTSサウンドをベースとしたようなサウンドは演出できませんが、一台持っているとあらゆるシチュエーションに対応可能なRedemptionistの妥協なき懐の深さを是非お楽しみください。
Shun Nokina (Leqtique)
上に引用したShun Nokinaの言葉その通りのエフェクターだと思います。
是非、実物に触れサウンドを体感してみてください。