【動画+レビュー】One Control | Baby Blue OD

  • 2018-04-01 (日)

BJFeの名機がOne Controlから蘇る

One ControlBaby Blue OD(以下BBOD)をレビューします。
これはHoney Bee OD(レビュー記事)に続く、BJFeシリーズ第2弾のペダルです。
本家BJFeのBBODはお目にかかる機会が少なく、見つけたとしても価格もそれなりで、なかなか入手しにくいアイテムです。
試奏動画もさほど多くないので、実際どんなものなのか気になっていた方もいるでしょう。

今回も公式デモ動画を制作させていただきました。
まずは是非ご覧ください。

One Control | Baby Blue OD [BJFe Designed]

Credit
Music / Movie / Cast
Jake Cloudchair
Thanks to
Fujigen
荒井貿易
Comawhite Custom Cable

使用機材リスト
ギター
FGN (Fujigen) NST200
FGN Expert Flame (with DeMont PU)
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)

解説

One Control BJFe Series Baby Blue ODは、2000年12月16日にリリースされた、BJFを代表するオーバードライブを、BJF本人の設計で新たに制作したペダルです。
当初、“Fuzz1”というモデル名が与えられていたこのペダルは、ダイナミックなオーバードライブとファズを融合させたディスクリート回路で制作されていました。
大出力アンプはもちろん、小出力アンプでも、バンドアンサンブルのバランスを取る“少し抑えた”音量でも最高の音を作ることができるペダル。クリーンからドライブまでをコントロールできるエフェクター。当時、世界中を探してもそんなペダルは“FUZZ1”くらいしか存在しませんでした。

BJFの制作するオリジナルBaby Blue ODは、NOSパーツをはじめとしたコンポーネンツを使用し、手作業で制作されます。
One Control Baby Blue ODは、より多くのプレイヤーがそのサウンドを手にできるよう、NOSパーツは使用していません。BJF本人が選択し、実際に音を出し、完全にBaby Blue ODだと認められるまで、多くのテストとリスニングを繰り返し行い、One Control Baby Blue ODは完成しました。

手元で全てをコントロールできるようなレスポンスとダイナミクスを実現しながら、弾き手に敷居の高さを感じさせない演奏性。
音色が纏う倍音成分のエッジが立ち、それでいて和音でも1つ1つの音が明瞭に発声します。音の速さや、独特の暖かさ、全てが絶妙に調整され、ギタリストが本当に心地よいと感じる音を作ることのできるオーバードライブペダルです。

●コントロール
VOLUME:全体の音量を調整します。
DRIVE:様々なタイプの歪みや幅広いゲイン、サステインを設定できるコントロールです。低く設定すればセンシティブな歪みのパターンとなり、高く設定すればよりコンプレッションが強く安定したトーンになります。
TREBLE:アウトプットシグナルの高域成分を調整します。トレブルレスポンスが高く、機材によっては最小設定でバランスが最良となることもあります。2時付近から音を作り始め、ノブ全域を使ってコントロールします。

それでは動画での設定を解説します。

Basic Setting

まずは全てのノブを12時方向にした設定で、シングルコイル/ハムバッカーとそれぞれ合わせてみました。
歪みの粒が粗めでファズっぽいのですが、原音の芯がちゃんと残っている所はオーバードライブ的。公式説明文にある「ダイナミックなオーバードライブとファズを融合」という言葉がすぐに納得出来ました。低音の量感がしっかりありながらも歯切れが良く、飽和感が強いのに和音の輪郭も損なわない絶妙なバランス。ルーズ&ファット/タイト&ブライトという相反する要素が同居するような不思議なサウンドです。

Sound Check

各ノブを動かしながらのチェックです。
Driveは最小で軽いクランチ、右に回すにつれ歪みが増し、3時あたりからかなり派手な歪み方になります。
Trebleは音の明るさを調整するBJFeらしい効き方です。

Crunch Setting

Driveを低めにしたクランチ設定です。あたたかみを感じるトーンです。ピッキングの強弱で歪み具合を変えられるので、ニュアンス重視の演奏に向いた設定と言えます。この手のダイナミックな歪みペダルにありがちな弾きにくさが無い、というのが大きなポイントかと思います。
コンプ感は強めです。HBODやSAODにも通ずる、小口径のコンボ・アンプを歪ませたような飽和感を感じます。この感触を表現するのがBJは得意だな、と改めて思いました。

Dark Drive

Driveを低め、Trebleを最小にした設定です。甘いオーバードライブ・トーンです。Treble最小だと結構マイルドになりますが、コモッた感じにまではなりません。この甘い歪みはIbanez TS808を想起させます。TSと比べると歪みの粒が粗く重心が少し低めですが、ローゲイン・オーバードライブとしては近い傾向にあると感じました。この設定で他の歪みペダルと合わせるのも面白そうです。

Clean to Drive

ゲインを高めにした設定で、ギター・ボリュームへの反応性をチェックしてみました。ギター・ボリュームを絞るとクリーン・トーンに出来るのですが、その際に少し鈴鳴り感があるのが特徴です。アルペジオに合うクリーン・トーンから、ギター・ボリュームを少し上げたクランチもブルージーで心地いいです。ボリューム全開にすればジャリッとした感触の荒々しい歪みが得られます。意外とBOSS BD-2に通ずる面もあると思いました。
このように反応性は高いです。挙動はアンプライクというよりファズ的に感じました。

Hot Drive

ゲイン全開でハムバッカーと合わせてみました。密度の高い歪みが心地良いです。歪みの質はやはり粒が粗くファズ的で、ビッグ・マフとの共通点すら感じました。サステインの長さもマフ的と言えるかも知れません。マフとの主な違いとしてはゲインが高すぎずナチュラルで暴れ感が少ない点、そして歯切れの良さがある点ですね。深く歪ませても扱いやすいです。 


総評

私は数年前にBJFeの初期BBODを弾いたことがあります。知人所有の個体を弾かせてもらったのですが、それがあまりに心地良かったので後日また弾かせてもらいに行ったくらいに魅力的なペダルでした。何が良かったのかと言えば、ファズ寄りな粗めの歪みながら暴れすぎず、中域に甘さを感じさせる味わい深いトーンです。コンプ感強めで若干平面的な感触もあったのですが、そんな言わば「隙」も含めてヴィンテージ的な名機の雰囲気を醸し出していました。
というように個人的にかなり気に入ったペダルでした。他の知人にもうかがった所、その初期の個体はかなり独特な音がして、現行品とは違うとの事でしたが。

で、今回のOne ControlのBBODはBJFeと同じ音が出るのか?という点については、上記のようにしばらく前に初期モノしか弾いていないので正確な比較は出来ません。しかしながらその心地良かった感触、それはなかなか迫るものがありました。具体的にはDriveを2時以降の高め、Toneを12時より少し絞ったくらいの設定が特に近い感じがしました。

ペダルの印象を手短に述べると、やはり「オーバードライブとファズの融合」です。粗さと甘さ、ワイルド感とマイルド感を併せ持っているのが個性的だと思います。
粗めな質感の歪み、強めのコンプ感、そしてTrebleの効き方など、総じてBJFe的と言えるでしょう。
あと特筆すべきは、反応性が高いのに弾きにくくないという点ですね。トランスペアレント系やアンプライク系に比べるとダイナミクスが圧縮される感覚はありますがその分弾きやすく、それが心地良さに通じている気がします。

個性の強さと使いやすさを持った歪みペダルです。
今後のBJFeシリーズにも一層の期待が持てました。


One Control Baby Blue OD | ナインボルト

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