【新作最速レビュー】One Control | Purple Humper
- 2014-09-08 (月)
BJFE幻のモデル復活 – 公式デモを制作
One Controlの新作エフェクター “Purple Humper”。
かつてBJFEからごく少数のみ販売された幻のモデルがミニサイズで復活しました。
1ノブのシンプルなデザインながら、単にレベルを上げるブースターとは異なる独特な効果を発揮するペダルです。
今回はOne Controlとのコラボによる公式デモ動画を制作させていただきました。
まずは是非ご覧ください!
One Control | Purple Humper – Designed by BJF
- Cinematography by
- Yusuke Maehara
- Directed by
- cloudchair
- Supported by
- MUSICLAND KEY
デモの設定とレビュー:謎の効果に迫る
上記デモ映像で使った機材は、アンプがFender Twin Reverb。
ギターはdragonfly HI STA CUSTOM SSHです。
フレイムメイプルの見事な杢目と鮮やかなピンクが美しく弾き心地も極上なこのギター、今回はミュージックランドKEYのご協力を得て特別に使わせていただきました。
デモ演奏について
Purple Humper (以下PH)は独特な効果を演出するエフェクターです。
キャラクターを極端に変えるような派手な変化ではなく、あくまでも元の音色の持ち味を活かした上で感触を整えるようなペダルです。
補佐的な使い方に向いているエフェクターだと思いましたので、今回のデモでは他のエフェクターと組み合わせて演奏してみました。
組み合わせたエフェクターはPHと同じくOne ControlのBJFシリーズ3機種です。
基本の音色に対してどのような効果を表すのか。パート毎に同じフレーズを繰り返し弾いていますので、変化を聴き比べてみてください。
それではデモでの設定を紹介しながらレビューしていきます。
Basic Tone
- Purple Humper
- Blend : 12 (時方向)
まずはPH単体で、クリーン・トーンでのアルペジオに使ってみました。
実に独特な変化を見せるエフェクターです。レベルを調整する一般的なブースターとは異なる効果です。
ストラトのネック・ピックアップを使っていますが、シングルコイルの音がハムバッキング的な太さに変化していきます。
そしてソリッド・ボディの音がセミ・ホロウ的にふくよかになるような感覚があります。
音が太くなるのは確かなのですが、だからといってトーンを絞ったようなコモる感じはなく、極端なレベル差もありません。
アタックの感触が柔らかく、丸みを帯びてくる感じもあります。
with Clean Booster
- Granith Grey Booster
- Level : 1
- Purple Humper
- Blend : 12
Granith Grey Booster (以下GGB)の後ろに繋ぎ、クリーン・トーンでリードを弾いてみました。
GGBは味付けが非常に少ないブースターです。このパートではクリーン・トーンのゲインを上げてハリを出す役割に使いました。
PHをOnにすると如実にファットになりますね。例えるなら弦のゲージが太くなったような変化です。
そしてトーンが実に甘くなります。ギターの色気を感じさせる帯域を強調するような絶妙さがあります。
with Overdrive [Pre Boost #1]
- Purple Humper
- Blend : 3
- Strawberry Red Over Drive
- Treble : 12 / Vol : 12 / Drive : 12
Strawberry Red Over Drive (以下SROD)との組み合わせです。
まずはSRODをクランチ程度の歪みに設定して、ブリッジ・ハムバッカーでコード・カッティングを弾きます。
そしてPHをSRODの前段に繋いでブーストしてみました。
音のキャラクターは基本的に変わりませんが、中低域とゲインが増し、より前に出てくる印象です。
with Overdrive [Post Boost]
- Strawberry Red Over Drive
- Treble : 3 / Vol : 12 / Drive : 12
- Purple Humper
- Blend : 10
続いてPHをSRODの後段に繋ぎ、ネック・ピックアップでリードを弾きました。
ここでも大きな変化は無いのですが、音が前面に出てくるようになり芯も太く感じます。
音量をあまり上げずに抜けを良くしたいという場面で効果的だと思います。
with Overdrive [Pre Boost #2]
- Purple Humper
- Blend : 12
- Strawberry Red Over Drive
- Treble : 2 / Vol : 12 / Drive : 10
またSRODの前段にPHを繋ぎ、ネック・ピックアップでカッティング調のリフを弾いています。
シングルコイルの乾いた感じを残しながらも太さを加え、エッジ感も増加しています。
歪みの粒が際立つ感じですね。
with Distortion [Post Boost]
- Anodized Brown Distortion
- Gain : 10 / Vol : 12 / Tone : 10
- Purple Humper
- Blend : 2
ここからはAnodized Brown Distortion (以下ABD)と組み合わせます。
ABDについては既にデモとレビューを公開していますので、是非そちらも参照してみてください。
このパートではPHはABDの後段に繋ぎ、コイルタップしたブリッジ・ピックアップでリードを弾きました。
コイルタップしたピックアップの音は基本的に細いものですが、PHを加えると如実に太くなります。
「ブリッジ・ピックアップの音がトレブリー過ぎる」という問題の解決策に向いているといえるでしょう。
with Distortion [Pre Boost]
- Purple Humper
- Blend : 5
- Anodized Brown Distortion
- Gain : 12 / Vol : 12 / Tone : 12
ここではPHをABDの前段に置き、ザクザク刻むリフを弾いています。
Blendを上げていく事で音が太くなっていく感じがあるPHですが、フルアップにするとまた印象が変わります。
フルアップ付近では、それまでマイルドに抑えられていたハイとローが派手に出てくるような感じがあり、音圧が上がります。
ただしフルアップでも音量的には極端に上がったような感じがしないのが不思議な所です。
アンプのプレゼンスを上げたような、またはパワーアンプによるサチュレーションのような自然なエッジが出てきます。
ディストーションのザクザク感が倍増されます。
with Booster + Distortion
- Granith Grey Booster
- Level : 3
- Anodized Brown Distortion
- Gain : 3 / Vol : 12 / Tone : 12
- Purple Humper
- Blend : 5
最後は3台重ねてリードを弾いてみました。
ここではまずGGBでゲインをブーストし、ABDで歪ませた後にPHをフルアップにしています。
中域の密度が上がるような感覚があります。
ここではミッドレンジ・ブースターと言える効果を強く感じました。
中域以外の帯域の質感には手を加えず、ニュアンスや肉感を感じさせる成分を上げてくれるような印象を受けました。
総評
色んなセッティングで弾いてみましたが、それぞれで「PHの独特な効果」を感じました。
ブースターやフィルターといった枠に収まらない、カテゴライズの難しいエフェクターと言えます。
Blendノブは中域だけを操作するわけではなく、ブーミーな低域をタイトに聴かせるポイントがあったり、また耳障りな高域をまろやかに馴染ませるポイントもあります。
Blendを絞り切った状態ではほとんど変化はありません。若干ハイエンドが抑えられ、BJF製ペダルに共通するまろやかさが表れます。
Blendが9時くらいまではミッドを中心に全体の太さを微調整、10時からはかなりミッドが強調され、上げるに従い音の密度が上がっていくような変化を感じました。
しかしその他にも微妙な変化があり、「上げれば太くなる」という単純な効果とは異なる、他のエフェクターのノブでは感じた事のないような変わり方を見せます。
そして、特に歪みエフェクターと組み合わせる際には、繋げる順番によって効果が変わってきます。
歪みの前に繋げばゲインを稼ぎエッジを強調し、またタイトに仕上げる効果が。
後ろに繋げば中域が強調されファットに、そして前段の場合とは逆にウォームなヴィンテージ感を付加します。
説明の難しいエフェクターですが、確実に「効きます」。
その感覚が今回のデモ動画から伝われば幸いです。
そして是非、実際に弾いてこの感覚を味わって欲しいと思います。
発売は9月下旬予定です。どうぞお楽しみに。
ギターサウンドに於いて、最も重要とされるのはミッドレンジです。
BJFE Purple Humperは、もともとストラトキャスターに搭載されたミッドブースト回路を元に、様々なギターにも使えるように作って欲しいという要望に応えて作られました。
60s ストラトキャスターの出力を、60s ES-335の出力と同等にし、また様々なピックアップにも合わせられるよう調整を加えて開発し、実際にごく少量、製品化されました。幻のBJFEペダルの1つです。One Controlでは、このペダルの持つ音色に注目しました。
ミッドレンジをブーストするペダルは多くありますが、Purple Humperの音色はオーバードライブでもなく、ワウペダルの半止めとも違い、さらに数々のミッドブースターとも違っていました。
そこにあったのは、ミッドが出すぎてこもってしまうようなミッドブーストではなく、ギターの音色のバランスを崩さず、さらにブリティッシュな香りを発する極上の大出力アンプトーンでした。
BJFEでは、Purple Humperをほとんど作っていない。
数少ない所有者からは、他のどのミッドブースターとも違っていると言われている。
One ControlのPHがどのように評価されるのか楽しみだ。必ず世界がPHを理解すると信じている。───Bjorn Juhl
ナインボルト | One Control Purple Humper
MUSICLAND KEY | dragonfly HI STA CUSTOM SSH
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