【東北発の革新的ギター】QUESTREL SWOOD 動画&レビュー
- 2017-05-14 (日)
独自の要素を盛り込んだ設計
宮城県女川町に誕生したギター・ブランドQUESTREL (ケストレル)。
第1弾モデルとして発表したのが革新的デザインで話題になっているSWOOD (ソード)。
今回このギターの公式デモ動画を制作させていただきました。
ダウンチューニング対応・クリアかつヘヴィな音質という特徴を活かして表現してみました。
是非ご覧くださいませ。
(Full ver.) QUESTREL SWOOD Standard / Played by Jake Cloudchair | GLIDE
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- OKADA International Inc.
- 荒井貿易
- Comawhite Custom Cable
SWOODは、”音と表現の革新”という、2つの要素を革新するというコンセプトのもとに開発されました。 この音とルックスを実現するために、素材、技術、デザインの3つの独自の要素を取り入れています。
音の革新
SWOOD の音は、”2000年代以降のロック”に適したサウンドを追求しており、ダウンチューニング時においても非常に鮮明であり、さらに高い厚みを得ることを実現しています。 ダウンチューニングが一般化したいまの音楽において、クリアかつヘビーという、ギタリストの求める音質に応え、さらにサウンドメイキングの可能性を広げます。表現の革新
ギタリストの表現は音だけではありません。ギターを持った自分の姿もまたアーティストの表現の一つです。 SWOOD は、革新的な音を追求した機能美を徹底的に研ぎ澄ましデザインされました。それにより、革新的でありながら洗練されたルックスを実現しています。このギターは、ギターを持つ自分の姿という表現の可能性を、さらに高めます。素材
鳴りと耐久性の良い木材のみを使うという考えから、木材は国産を中心に選定しています。国産木材を採用することで、木を切る段階から選定することができ、高いクオリティーを維持することができます。 音の振動性をより高めるために、テイルピースは既存のパーツに使われる金属ではなく、新合金コバリオン®を採用しています。この合金でパーツを作ることにより振動の減衰を低くし、音の伸びと厚みを高めています。 ボディのアルミフレームを含め、全ての素材が振動性と音質を高めるために構成されています。技術
音の振動性をより高めるために、ネックジョイントの方法を新たに開発しました。気仙大工と呼ばれる三陸沿岸部に伝わる宮大工の木工技法を応用し、ネックとボディの密着度を高めることで、2つのパーツが1つの楽器として鳴り、よりクリアな音質を得ることができます。デザイン
コンセプトにある革新性と、ギターとしての機能美を追求し、いままでになく斬新でありながらも非常に洗練されたルックスを実現しています。 変わりゆく音楽のトレンドとともに、ギタリストの表現方法も変わります。その変わりゆくトレンドにおいて新たな表現を提案するデザインです。〜公式ページより〜
解説
それではデモの内容について解説していきます。
いつもエフェクターのデモでは基本的にアンプをクリーン・セッティングにして使っていますが、この動画ではKoch Studiotoneに搭載されたClean / OD / OD+の3チャンネルを使い分け、そこにペダルを加えて音作りしました。
ギターのチューニングはドロップC。全弦を1音下げ、更に6弦を1音下げています。
なおピックはGravity、ケーブルにはこまほケーブルを使用しました。
使用機材リスト
- ギター
- QUESTREL SWOOD
- ギター・アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head
- 「L’」4機種レビュー:Roch, MAT, Red & 9/9【Shun Nokina(Leqtique)】
- 【DIR EN GREY 薫モデル】weed UGEEEレビュー
- 【デモ動画x3】Caparisonのギター3機種レビュー
Distorted Rhythm
まずは歪んだトーンでリズム・パートを弾いてみました。
アンプはKoch StudiotoneのOD+チャンネルで、エフェクターは使っていません。
前述の通りドロップCの低い帯域で弾いていますが、ローが濁ることなく響く所は流石ダウンチューニングを意識して設計されたといえます。
このギターのスケールは646mm。スタンダードなロング・スケールより2mm短いのですが、それでいて低域をクリアに表現出来ているのが特徴的です。
一般的なゲージの弦が張られていたのですが、このチューニングでもテンションがゆる過ぎる事なく保たれていました。
Drive Lead
続いてリード・パートです。
ここではアンプのODチャンネルで歪ませた上に、One ControlのTS系オーバードライブPersian Green Screamer(レビュー)でブーストしています。
先程のリズム・パートでは低域に特徴を感じましたが、実は中域も充実している事がわかります。
サステインも豊かで、フレーズを伸びやかに歌わせる用途にも向いています。
Crunch Tone
クランチ設定で弾いてみました。
このパート以降アンプはクリーン・チャンネルを使用しています。ここではL’のオーバードライブMAT(レビュー)で軽く歪ませました。
まずはネック・ピックアップで弾き、次にミックス・ポジションへ切り替えています。
ネック・ピックアップが一般的なギターよりブリッジ寄りに配置されている事もあり、ブライトなトーンが特徴的です。
ここでも6弦の低音がクリアに出てきますし、カッティングもシャープに聴こえます。
個人的にネック・ハムバッカーは音がファット過ぎる場合が多いので使う機会が少ないのですが、このトーンは輪郭・あたたかさのバランスが良くて実用的だと思います。
重低音や歪みに特化したギターだという先入観があったのですが、実はクランチでも個性を発揮するモデルだと感じました。
Clean Tone
クリーン・トーンの設定にして、各ピックアップ・ポジションで弾いてみました。
ここではクリーン・ブースターとしてDurham Electronics Sex Driveで少しだけブーストしています。
ここでもデザインや材質による特徴的なトーンを感じる事が出来ます。
ハムバッカーながら軽やかで太すぎない音質です。輪郭が際立っているのでアルペジオにも合います。
このパートの終盤ではタッピングを絡めてみました。立ち上がりが速いのでこういうプレイにもフィットすると思います。
Mid Scoop
深い歪みで中域をカットしたモダンなトーンで弾いてみました。
動画ではスペックが流れる箇所からこのトーンを使っています。
ここでのエフェクターはweed UGEEE(レビュー)。多弦ギターに対応する豊かな低域を持つこのディストーションはSWOODにぴったりです。
正に本領発揮というトーンですね。低音弦でザクザク刻むのがぴったりです。
Hot Lead
最後はハイゲイン設定でのリードです。
ここではLeqtique 9/9(レビュー)で歪ませました。
芳醇な中域、豊かなサステイン、速弾きもくっきり聴かせるクリアな輪郭と、ハイゲインでのリードに求められる要素を網羅しています。
総評
随所に新たな要素を盛り込んだ個性的なギターです。
しかし突飛な斬新さではなく一般的なギターからかけ離れ過ぎないデザインになっているので、手に取ると意外なほど馴染みやすいです。
近年のモダンなギターは割と軽めのものが多いと思いますが、SWOODは比較的重めで、レスポールに近い重量感とバランスを持っています。
この重さと、ボディ下部が空洞になっている事、そしてアルミ製のボディ・フレームが「クリアかつヘビー」という特徴的なトーンに大きく影響しているように感じました。
特に低音弦の立ち上がりの良さが印象的です。
デザインを手がけたのは、フェラーリのデザイナーとして知られる奥山清行氏との事です。
ノブやスイッチがボディの空洞部に配置されているのも大きな特徴です。
「ボリュームやトーンをこまめに操作しないタイプのギタリスト」をターゲットにしたデザインだと思います。
演奏中にノブやスイッチが動く心配が少ないという点では確かにこの配置の利便性はあるでしょう。
しかしボリュームを細かく操作したい方にとっては使いにくい配置かと思います。
ピックアップ・セレクターもノブを使ったロータリー式になっています。これも一般的なスイッチとは操作感が異なります。
そして「今どのポジションなのか」がパッと見で判断しにくいと感じました。
ネック・ピックアップの位置も特徴的ですね。
個人的にこの位置での音質は一般的なネック・ポジションに比べ輪郭がはっきりしているので使いやすいと感じました。
ただこの位置だと人によってはピッキングの邪魔に感じる可能性もあり、弾き手との相性を選ぶポイントかも知れません。
あとはせっかくこの配置にするなら24フレットまで欲しい…という方も多いのではないでしょうか。
公式ではあまりアピールされていませんが、ストラップ・ピンが無く、ボディ・フレームにカラビナを介してストラップを取り付けるという点も個性的です。
脱着が楽ですし、このデザインならではのアイデアという事で高く評価したいです。
独特なデザインや操作感には賛否両論あるでしょう。
しかし様々なアイデアを高いクオリティで実現しているのは確かですし、それがしっかり音に反映されています。
試奏イベントなども精力的に展開しているので、是非実物に触れてみて欲しいと思います。
QUESTREL SWOOD | 公式ページ
https://glide-guitar.jp/products/detail.php?product_id=522