【最新作レビュー】SviSound MetalZoid mz07
- 2015-02-22 (日)
スチームパンク風の筐体と多彩なコントロールを持つディストーション
存在感の強いルックスと確かな音質を持ったブルガリアのブランド“SviSound”。
同社のオーバードライブ”OverZoid”がアメリカのエフェクター紹介サイト”In The Blues”で2014年のベストエフェクターに選ばれるなど、注目を浴びているブランドです。
今回はSviSoundの最新作“MetalZoid mz07”をいち早く入手しました。(なんとシリアル・ナンバー#1!)
早速デモを制作しました。
まずは動画を是非ご覧ください!
SviSound MetalZoid mz07
- Music / Movie / Cast
- cloudchair
- Cinematography by
- Yusuke Maehara
- Thanks to
- Magneto Guitars
- Scorelay Japan
- PURUS Picks
仕様
- オーバードライブからメタル・ディストーションまでをカバーする幅広いゲイン
- BasisやFrequency等を備えた多彩なコントロール
- メインの音域を切り替える3ウェイPregainスイッチ
- 特製パラメトリック・フィルター
- トゥルー・バイパス
- 9Vアダプター駆動
- フルメタル・デザイン
Description
- Gain from overdrive to metal distortion
- Gain, basis, volume, tone, frequency and level controls
- 3 way pregain mode switch
- Special parametric filter
- True bypass
- Power from adapter 9V
- Full metal design
デモの設定とレビュー
上記デモ映像で使った機材は、ギターがMagneto GuitarsのSonnet。
スコアレイ・ジャパンのご協力により使用させていただきました。
ヴィンテージ・テイストを持つヴァーサタイルなギターです。
アンプはFender Twin Reverb。
そして木製ハンドメイド・ピックPURUS Picksのオリジナル・モデルを使っています。
MetalZoid mz07 parameters
このモデルにはノブが6個、そして3ウェイ・スイッチが搭載されています。
独特のレイアウトによるコントロール類を説明します。
- Volume
- 一般的なボリュームです。音量は勿論、音圧にも影響します。
- Basis
- 音色のキャラクターを特徴付ける音域を調整します。一般的なエフェクターの”Tone”に近い効きです。
- Gain
- 一般的なゲインです。ゲイン設定は高いですが、絞りきればクリーンになります。
- Tone
- こちらは一般的な”Tone”ではなく、ハイエンドのフィルターです。ギター・アンプの”Presence”のような効き方です。
- Frequency & Level
- この2つは、組み合わせて使うパラメトリック・フィルターです。
“Frequency”で帯域を選択し、”Level”でその帯域をカット&ブーストします。”Level”が12時の位置ではフラットで、効果を及ぼしません - Pregain
- 左下に位置する3ウェイ・スイッチです。”インプット・トーン・コントロール”という、メインとなる帯域を選択するスイッチです。上からMid, Treble, Bassと変化します。
それではデモでの設定を紹介しながらレビューしていきます。
Edgy Rhythm
- Volume
- 12 (時方向)
- Basis
- 3
- Gain
- 10
- Tone
- 1
- Frequency
- 12
- Level
- 12
- Pregain
- Treble
まずはゲインを若干低めにしてリフを弾きました。
粒が粗めで硬質な歪みです。
図太くメタリックなトーンで、ディストーションとファズのテイストをあわせ持っています。
Basic Lead
- Volume
- 12
- Basis
- 12
- Gain
- 12
- Tone
- 12
- Frequency
- 12
- Level
- 12
- Pregain
- Treble
全てのノブを12時にした基本設定でリードを弾きました。
芯が太く高域にツヤがあります。アタックの倍音が派手で、特に複音を弾いた時のザクザクした感触がワイルドで心地良いです。
サスティーンの豊かさはBig Muffを思わせます。
Crunch Rhythm
- Volume
- 12
- Basis
- 1
- Gain
- 8
- Tone
- 2
- Frequency
- 9
- Level
- 11
- Pregain
- Treble
ゲインをほぼ最小にしたクランチ設定です。
このパートのみ、ギターはネック・ピックアップを使っています。
ここでは、ダイナミクスへの反応の良さを感じていただけると思います。
まずはギターのボリュームを”7″程度に下げた状態でアルペジオを弾きました。
歪みの落ちたクリーンなトーンで、抜けが良く色気のある音色です。
そしてボリューム”10″では音圧とエッジが増します。
軽く弾けばアルペジオの輪郭が出ますし、かき鳴らせば潰れた飽和感が得られます。
Smooth Lead
- Volume
- 2
- Basis
- 7
- Gain
- 1
- Tone
- 7
- Frequency
- 3
- Level
- 3
- Pregain
- Mid
エッジを抑えたトーンでのリードです。
ここでは”Pregainスイッチ”を”Mid”にしました。
ミッド・ブースト感が強く出ていると思います。
とても分厚く、よく伸びるトーンです。
Brutal Distortion
- Volume
- 5
- Basis
- 5
- Gain
- 5
- Tone
- 5
- Frequency
- 3.5
- Level
- 11
- Pregain
- Bass
“Pregain”を”Bass”にすると、図太いキャラクターが更に強調されます。
ここではゲインも最大にして荒々しいトーンにしてみました。
ベース用の歪みとしても使えるペダルだと思います。
Mid Scooped
- Volume
- 5
- Basis
- 5
- Gain
- 3
- Tone
- 3
- Frequency
- 5
- Level
- 7
- Pregain
- Treble
“Frequency”と”Level”は一般的な歪みペダルにはあまり搭載されないパラメトリックEQです。
特定の帯域をカット&ブースト出来て、音作りの幅が広がります。
ここでは中域を極端にカットしてみました。
ざらついたエッジ感が強調された爽快な歪みです。
Metallic Lead
- Volume
- 2
- Basis
- 5
- Gain
- 3
- Tone
- 2
- Frequency
- 5
- Level
- 12
- Pregain
- Mid
中高域を強調したハイゲイン設定でのリードです。
メタリックで伸びやかなトーンです。
分離感はあまりタイトなタイプではないようにも感じますが、速いフレーズでも潰れずしっかり追従してきます。
総評
コントロール/音色ともに個性的なペダルです。
モデル名が「メタルゾイド」で本体側面にも「ディストーション」と書かれているので、弾く前にはモダンなハイゲイン系ディストーションを想像しましたが、実際はもっと独特なキャラクターを持っていました。
一聴して感じたのは、ファズのテイストを強く持っているという事です。音の図太さ、特に低域の強さはモダンなディストーションのタイト感とは真逆の印象です。
粒の粗さやギター・ボリュームを絞った時の反応も含め、ファズに近い操作感があります。
歪みの傾向はオールドスクールと言って良いと思います。
「太く荒々しく歪むファズ/ディストーション」というペダルです。
パラメーターが多く、また独特の効果を持っているので、扱いに慣れるまでは音作りの難易度が高いかも知れません。
しかしそれぞれの効果を理解してしまえば、積極的な音作りの為のパラメーターが揃っていると感じられるでしょう。
基本的な音色のキャラクターが強いのでヴァーサタイルとは言えませんが、ファズ/ディストーションという範疇での操作性はかなり気が利いていると思います。
そして、なんといってもルックスの存在感が抜群ですね。
塗装や印刷ではなく彫刻/削り出し/メッキ加工などの工程で仕上げられる筐体は、質感が強く味わい深いです。
乗りこなすのが難しい暴れ馬かも知れません。しかしそれだけに魅力的で価値のあるエフェクターだと思います。
現時点での日本発売は未定ですが、市場に出た際には是非触れてみてください。