アンブレラカンパニー “#24″【速・重・深】を備えたディストーション

  • 2023-07-07 (金)

ディストーションの概念に捉われない生々しさと幅広さ

アンブレラカンパニーのディストーション “#24” を紹介します。アンブレラカンパニーと言えばペダルギークにとってはChase BlissやDeath By Audioなどの尖ったアイテムを取り扱う輸入代理店として知られています。そんな同社が自ら開発したディストーションの実力を探ってみましょう。

今回も動画を制作しましたので、まずは是非ご視聴ください。

Umbrella Company “#24” Distortion

使用機材
ギター
FGN NSG100
FGN NST200
ギター・アンプ
IK Multimedia TONEX Pedal :(使用モデル:Two Rock TS1)

速く、重く、深く。ハードなドライブサウンドを徹底的に追求。

Umbrella Company “#24″はハードにドライブしたギターサウンドを徹底追及したディストーションペダルです。強力な電源回路から生成された信号で、フルスタックアンプを思わせる音圧感と、音速を超えるほどのスピーディなトーンを実現しました。

プレイのニュアンスによりブースト量が変化する、3モードのゲインレンジを搭載。エモーショナルな表現に完璧に追従する、新次元のプレイフィールを提供します。密度や重力を操るようなイコライジング、音の”圧”のみを制御するパラメーターなど、唯一無二のファンクションを満載しました。
群雄割拠な歪ペダル界で、ディストーションの黄金時代を取り戻す最終兵器です。


公式ウェブサイトより

レビュー

まずは各パラメーターをチェックしましょう。

Volume(左上)
音量を調節
Gain(右上)
歪み量を調節
Tone(右下)
音質を調整
X(左下)
音の圧や芯、量感を調整
Density(左スイッチ)
音の密度を変化させる
Channel(右スイッチ)
3モードのゲイン切替
ダイナミックブースト・トリム(内部左トリマー)
入力レベルに対するブースト感度を調整
Xコントロール・トリム(内部右トリマー)
“X”ノブの効果を調節

一般的なディストーション・ペダルに比べて豊富なパラメーターを備えています。まず基本的なトーンを決めるのが”Channel”スイッチで、その名の通りアンプのチャンネルを切り替えるようにノーマル/クランチ/リードの3chを選択します。ノーマルchはクリーン・トーンに真空管的なサチュレーションを付加するブースター/オーバードライブのような効き方。そこからクランチchではトップ・ブーストが、リードchではフルレンジ・ブーストが加わり歪みが増していきます。”Gain”との組み合わせでクリーン・ブーストからハイ・ゲインまで対応出来ます。”Tone”は主に高域を調整し、その効きは比較的緩やかで、どの位置にあっても破綻しない実用的仕様だと思います。

聞き慣れない”X”ノブはローエンドの音圧をコントロールするパラメーター。スタック・アンプを大音量で鳴らし低音弦をミュートして弾く時のような「ズンズン」とした重い響きを増減します。実音よりもっと下の帯域に効いている印象で、”X”を上げると低音弦の音域というよりはサブウーファーで鳴らすようなどっしりとした重心の存在感が増す感じです。ラウドなリフを弾く時は上げたくなりますし、ソロの際には下げて低域をスッキリさせても良いでしょう。そして”Density”スイッチも音の重心に関わるパラメーターで、オフ/ハイ・ミッド/ロー・ミッドの3種類からどの帯域の密度を上げるかを決定します。この独特な2つのパラメーターは音の迫力や抜け具合の調整に有効です。

もうひとつの特徴が”アクセルブースター”。「歪み回路前段に、信号が入ればブースト量が加速的に増加し深い歪みに。入力がなければブーストが行われずゲインが下がり、わずかなプレイの隙間でも驚くほどのローノイズを実現。」という仕様です。わかりやすく書くとノイズ・ゲート的な効果が得られる仕組みです。特にハイ・ゲイン設定の際は気持ち良いくらいノイズが消えて演奏のキレも増したように感じられます。ギター・ヴォリュームを下げた際や出力低めのピックアップなどでは効果が強すぎてアタックが削れる場合があるので、内部トリマーで感度を調整しましょう。

内部で2系統の歪み回路をミックスしているとの事で、ディストーションでありながらもオーバードライブ的な温かみを併せ持ち、かつクリーン・ミックス的な原音の芯を強く感じさせる音色です。一音毎の輪郭がクリアに見えやすく、俗に言う「音の速さ」が際立ったペダルです。ディストーションでここまで芯や速さが強調されたモデルは珍しいと思います。モダン・ハイゲイン系ペダルはヘヴィ・メタルに特化したような「加工を重ねて磨かれた歪み」を志向する製品が多いように感じますが、この”#24″は弦の響きやプレイヤーの指先のニュアンスといった本来の生々しさが活きていて寧ろナチュラル志向と言えるかもしれません。ナチュラルな音質でありつつモダンな仕様を搭載している点で、スタジオ向けの機材やハイエンド・オーディオに通じる印象を持ちました。実際にそのような機器を取り扱うアンブレラカンパニーらしい製品だと感じた次第です。

ディストーションの概念に捉われず、アンプ・ライクなブースターとして接してもアリでしょう。パワー感を存分に得つつリフもストロークもアルペジオもリードもこなしたい、そんな要望に力を貸してくれるアイテムです。


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