【DIR EN GREY 薫モデル】weed UGEEEレビュー
- 2017-03-05 (日)
クリーン・アンプをモダン・ハイゲインへ一変させるディストーション
DIR EN GREYの薫プロデュースによるシグネイチャー・エフェクター「UGEEE」をレビューします。
公式URL : https://www.harrysjp.com/weed/ugeee/ugeee.htm
「クリーンセッティングのアンプを一瞬にして重厚で攻撃的なサウンドに変化させるハイゲインペダル」との公式説明の通り、激しく歪むディストーションです。
今回このペダルの公式デモ動画を制作させていただきました。
攻撃的なサウンドを持つこのペダルに触発されて、アグレッシブな楽曲と演奏になりました。
DIR EN GREYのファン以外にもアピールしたいというメーカー側の要望もあったので、あくまで自分のスタイルで制作させていただきました。
疾走感と重厚感のある仕上がりです。まずは是非お楽しみください。
weed UGEEE – Signature distortion of 薫(DIR EN GREY)
Credit
- Music / Movie / Cast
- Jake Cloudchair
- Thanks to
- OKADA International Inc.
解説
それではデモの内容について解説していきます。
使用機材リスト
- ギター
- dragonfly Border 666 : 666mm スケール / ドロップBチューニング(BF#BEG#C#)
- dragonfly Sottile (Prototype) : 648mmスケール / ノーマル・チューニング
- ギター・アンプ
- Koch Studiotone 40XL Head : クリーン・トーンにセッティング
- Level
- 12 (時方向)
- Gain
- 12
- Treble
- 12
- Middle
- 12
- Bass
- 12
- Mid Boost
- Off
- Level
- 12
- Gain
- 12
- Treble
- 12
- Middle
- 12
- Bass
- 12
- Mid Boost
- On
- Level
- 12
- Gain
- 8 – Max
- Treble
- Min – Max
- Middle
- Min – Max
- Bass
- Min – Max
- Mid Boost
- Off / On
- Level
- 1
- Gain
- 1
- Treble
- 5
- Middle
- 9
- Bass
- 2
- Mid Boost
- Off
- Level
- 5
- Gain
- 3
- Treble
- 7
- Middle
- 5
- Bass
- 7
- Mid Boost
- On
- Level
- 5
- Gain
- 4
- Treble
- 5
- Middle
- 1
- Bass
- 9
- Mid Boost
- On
Basic Setting (Mid Boost Off)
まずは全てのノブを12時方向に設定して弾いてみました。
上部にあるミニ・スイッチはMid Boostです。ここではオフにしました。
このシンプルな設定でいきなり深い歪みと重さのあるトーンが出てきます。
潔いくらいに狙いが定められたサウンドですね。
ダウン・チューニングを念頭に開発されていると思いましたので、この動画のリズム・ギターはドロップBチューニングにしています。
全体を1音半下げ、そこから更に6弦を1音下げています。
Basic Setting (Mid Boost On)
上記と同じ設定のまま、Mid Boostをオンにしてリードを弾きました。
リード・ギターはノーマル・チューニングで弾いています。
ミッド・ブーストするとあたたかみを感じる太さが加味され、音が前に出てきます。
ゲインは高いですがナチュラルな太さがあり、コードの分離感もあります。
このペダルのポテンシャルの高さをうかがわせるトーンだと思います。
Sound Check
まずエフェクトがかかっていない状態からスイッチをオン、そして各ノブをいじって効き具合を確認しました。
Gainは8時くらいだとクランチ、そこから12時までは段階的に歪みが強くなり、12時以降はほぼ同じキャラクターのままゲインが上がっていく感じです。
Bass, Middle, Trebleの各EQは設定幅が広めです。実用的な幅より少し広めて、エッジの効いたトーンを追い込めるような仕様だと感じました。
Mid Boostはその名の通り中域を持ち上げます。効果としてはトーンのキャラクターをタイト/ファットで切り替える感覚です。
Mid Scooped
モダンなハイゲイン・ディストーションでチェックしておきたい項目のひとつ、中域をカットした歪みです。
前半のベーシックな設定に比べると重さやキレが増したのを感じられます。
ダウン・チューニングでのザクザクしたリフにハマります。
ここでは個人的に程良く感じた設定にしていますが、Middleは更にカット出来ますしBassもまだ上げられるので、より極端なトーンを探る事も可能でしょう。
Smooth Lead
TrebleとBassを最小、Middle最大でMid Boostオンにした、極端な中域重視セッティングです。
各ノブの効き幅が広いので、かなりマイルドな音色になるかと思ったんですが、意外なほどにバランスの取れたリード・トーンになりました。
タッピングの速いフレーズでも輪郭がはっきり聴き取れる解像度を持っています。
Shred Lead
Trebleを強めにした設定でリードを弾きました。
かなり歪んでいるのですが中低域の厚みがあるおかげか、アンプ的なナチュラル感のあるトーンです。
速弾きした時の音の粒立ちも十分ですが、より歯切れ良くしたいならMid Boostをオフにしても良いでしょう。
総評
簡単に太く激しい歪みを得られる、いかにもハイゲインに特化したディストーションらしいモデルです。
当初は名前やルックスから凶暴な歪みを想像してまして、実際そういうトーンも得られますが、個人的にはむしろ中域の厚みと調整幅に個性を感じました。
MiddleやMid Boostの効くポイントが、正にハイゲイン・ディストーション使いのギタリストが求める所を押さえているように思います。
ブーストすれば甘さを感じるような味わいがありますし、カットすれば冷たい質感にする事も出来ます。
TrebleとBassの幅も広いのですが、音の印象に大きく関わるのは中域の扱いの方だと感じました。
歪みのキャラクター自体は一定で、粒が細かくエッジが効いたトーンです。
ダウン・チューニングへの対応も納得の仕上がりです。
ローBでも無理なく歪み、低域をスポイルせず出力します。
ただ例えばジェント等に求められるような極端に硬質でメタリックなトーンや強烈な重低音を出したいなら、ペダル単体だけではなくアンプとの相性やセッティングも関わってくると思います。
このペダル自体は歪みこそ深いものの、実はトーンのバランスが取れた音色こそが持ち味ではないかと感じました。
逆に過激さを求める方からすると、若干物足りなさを感じるかも知れません。
非現実的で過激なディストーションというよりは、クリーン・セッティングのアンプにモダン・ハイゲイン・チャンネルを加えるような役割に向いたエフェクターだと思います。
音質的にはハイファイなクオリティで、歪みの強さに対してノイズの少なさも印象的でした。
限定販売には勿体無いくらいの完成度を持つペダルです。
アーティスト・モデルではありますが、是非先入観なしに使ってみて欲しいディストーションです。