青木裕ロングインタビュー:シグネチャーモデル”Camuro Naked Machine”を語る
- 2014-05-29 (木)
ギタリスト青木裕。
donwy, unkie等で個性的なギターを聴かせる彼の、シグネチャー・モデルとなるエフェクターが製作されました。
その名も“Naked Machine“。エフェクター工房Camuroによる完全ハンドメイドです。
製作に必要なパーツが入手困難な為、なんと限定10台という超プレミアムなこのエフェクター。
しかも全て青木裕本人がサウンドチェックした後にサインを入れているという、ファン垂涎のアイテムです。
“Naked Machine“は、本人が愛用するヴィンテージ・ペダル”Proco RAT“と”Ibanez TS-9 Tube Screamer“を基にブラッシュアップし、2台分の機能をひとつにまとめたものです。
TS系オーバードライブとRAT系ディストーションがひとつの筐体に入っていて、それぞれスイッチで個別にON/OFF可能です。
青木氏はこのディストーション部をプリアンプ的に使用しており、この製品の名目も”オーバードライブ/プリアンプ”となっています。
Camuroによる公式の紹介動画
予約の時点で完売となったこの幻のエフェクター。
興味津々だった私は青木裕氏に直々に申し入れ、試奏させてもらう機会を得ました。
その際に、せっかくなので音を出しながらインタビューさせてもらいました。
なかなか貴重な話が聞けたんじゃないかと思います。
- 青木裕
- downy、unkieのギタリスト。他にMORRIE(DEAD END)ソロ・プロジェクト、黒夢等様々なプロジェクトに参加。ギタリスト、プロデューサーの他、CDジャケットのアート・ワーク等イラストレーターとしても幅広く活動している。
- インタビュアー:Jake
- ギタリスト・作曲家。Guniw Toolsのメンバーとしてデビュー後、様々なライブやレコーディングに参加。2003年よりcloudchair名義でソロ活動を始める。近年は映像/CM音楽/ウェブデザイン等、多岐に渡る活動を展開中。
ディストーションをプリアンプとして使用
– 2014年4月某日 都内某スタジオにて –
青木裕氏はメインギターの1960年製Fender Stratocasterと、今回の主題であるCamuro Naked Machineを持参してくれました。
スタジオに設置されたアンプFender Twin Reverbに繋ぎ、まずは思うままに弾いてもらいました。
ひとしきり音を聴かせてもらってからお話をうかがいました。
Jake:まろやかな感じがあるよね。既に使い込まれた感じというか。
青木:うん、そうだよね。あのー、RAT1とか試奏するとそういう印象だものね。
Jake:なんかパーツがもう既に馴染んでる感じが…
青木:馴染んでる感じがするよね。新品なんだけど。もともとそういうヴィンテージの部品らしいんですよ。
Jake:これはRAT側というか、ディストーション(以下DS)側を常に…
青木:そう、プリアンプとしてONにしてて。要所々々、ソロとかでオーバードライブ(以下OD)をONに。
Jake:まずね、RATをプリアンプとして使う方法をあまり見たことが無くて。
青木:うん、そう言われるんだよね。
Jake:どういう設定で使っているのか興味があったんだけど。
青木:あのね…、なんて言うんだろ。フェンダーのアンプの太いクランチ・トーンを…場所を問わず・アンプを問わずに再現する、っていうのが最初のコンセプトだったのね。
自分の機材があれば良いんだけど、そうもいかないスタジオとか仕事とかで臨機応変にやる為に、その音を安定化させる為に、というかね。
Jake:なるほどね。(Naked Machineのツマミを見て)結構DS側のゲインが上がってるのかな、これは?
青木:ゲインはね、大体9時(方向)くらいがそれらしい音だよね。だからあの、今このアンプはクリーンだけど、ヴィンテージ・アンプとかってボリューム上げるとハリが出るじゃない。
Jake:はいはい。じゃあアンプのボリュームを上げた感じを再現しているという事?
青木:そうそう。だから繋ぐアンプによってちょっと設定が変わる。このプリアンプは使いやすいクランチの再現の為。
Jake:(DS部の)フィルターはあまり閉じないで開いた感じ?
青木:それはアンプの質によるかな? やっぱりアンプがハイ寄りの場合は(フィルターを)抑えるし。
Jake:RATのフィルターは凄く効くから、そういう意味では使いやすそう。
青木:あとバンドでのアンサンブルだよね…相手の出方次第で。だからある程度アンプの感じをいじれてる、このフィルターひとつで。
Jake:DSがONの状態で、例えばギターのボリュームを絞ってクリーンにしたりとかは?
青木:そういう使い方も出来るね。そういう時も常時ONでござんす。
Jake:じゃあほんとに…どの環境でも対応出来るように、というのがコンセプトという事ですね。
例えば…自分のアンプが使える場合には、DS部は使わずOD部だけでも対応出来るという事?
青木:それはやった事ない(笑)。
Jake:じゃあもう、そういうスタイルになっているわけね。
青木:そうそう。これは、究極の歪みを求めるんじゃなくて、現行の自分のスタイルを崩さずに再現するっていうのが第一の目標だったんで。
やっぱりその…クランチ気味のアンプとかとの組み合わせもやってみたいけど、今は…必要に迫られて、という理由が大きいんだよね(笑)。
オーバードライブでなめらかな味付け
Jake:なるほど。今弾いてもらったのを見た限りでは、OD部のみを使う場面は無かったね。
青木:そうだね、やっぱり要所々々のソロ的な所だけ。あと…ブーストはこのODか、今は持ってきてないけどファズのどっちかなんだよね。
Jake:あー、そうなんだ。(OD部を見て)これはゲイン・トーン・レベル全部上げ気味だよね。
青木:これはやっぱり抜けの為。1.5増くらいの。
Jake:ブーストとはいえキャラクターというか、オーバードライブの歪みも…
青木:そう、それも凄い加味される。
Jake:さっきの滑らかな歪みはやっぱりODの特徴というか個性なのかね。
青木:そうだね。基となる左チャンネル(DS部)がやっぱり粗いのでね。粗いままブーストするんじゃなくて。