The Heroin Diaries

1987年、世界的な成功を収めスターダムへの道を駆け上がっていたモトリー・クルー。
華々しい活躍とは裏腹な、そして毒々しいイメージの数倍上を行く、どぎつい舞台裏のストーリー。
この本は、バンドを牽引していたニッキー・シックスが当時つけていた日記を基にしたものである。
あらゆる中毒症状が生々しく書き連ねられ、依存者の実態を浮き彫りにしていく。

毎日のように次々と起こるクレイジーな出来事。
しかしそれはあまりに破天荒で浮世離れしていて、ファンタジーのようにも思えてくる。
全体を通じて実際には相当に痛々しい話のはずだが、
当人の感じていた虚しさが表れているせいだろうか、重苦しさよりも妙な軽さがある。
そのおかげで割とサラッと読めるのだが、よく考えてみればこれもまた恐い話である。
しかしエンターテイメント作品としてまとめられているのは、流石ロックスターの仕事だと感じた。
時折挿まれる親類のエピソードがとても切ない。

豪華な装丁のおかげもあって、大人向けの絵本という印象を受けた。
この本が何処かの瀕死のジャンキーの命を救えるかどうかはわからないが、
どんな状況でも生き残り、自分を笑い飛ばしてきた著者のタフネスとユーモアは充分に楽しめると思う。

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